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山口県立大学「令和7年度前期公開授業」の開講結果

令和7年4月上旬から7月下旬にかけて、「外交史」「地域環境論」の2科目を令和7年度前期公開授業として、地域の方にも受講していただきました。

【公開授業とは】

山口県立大学では大学生や大学院生が受けている授業科目の一部を地域の皆様にも公開し、学生と一緒に学ぶことができる機会を提供しています。

公開授業受講期間中は、学生と学ぶとともに、大学の施設(図書館、学生食堂、売店等)を利用できるなど、キャンパスライフを楽しむこともできます。

【外交史】

国際文化学部情報社会学科の井竿富雄教授が令和7年4月14日から7月28日まで講義を行った「外交史」には、地域の方11名が受講されました。

授業では、日本を含むアジア地域の外交史について、歴史的に働いてきた国際政治・国内政治の力学を解明しながら、政治のみならずそれぞれの地域などがいかなる経緯のもとに歴史的事件を起こしていくかについて史実をもとに学びました。

受講者からは、「毎週主なニュースを問われるのは良いことでした。ボーっと過ごす日々、世間、世界の出来事を考えることが出来ました。」「普段、目に付くことがないような専門的な資料等が豊富でした。新聞を隅々まで読むようになりました。」「各国にはそれぞれの特徴的な外交の歴史があることを認識できました。」などの感想をいただきました。

外交史の授業

【地域環境論】

国際文化学部情報社会学科の今村主税准教授が令和7年4月10日から7月24日まで講義を行った「地域環境論」には、地域の方5名が受講されました。

授業では、地球および地域レベルの環境問題や持続可能性に関わる社会的課題について、気候変動や生物多様性の損失について現状と課題解決のために必要な考え方や取組、協働することの重要性などを学びました。

受講者からは、「自分自身の生活を振り返り二酸化炭素排出が削減できるよう行動を実践していきたい」「新たな行動を起こすためには、学びから始めることが必要だと考えており、その目的を満たしてくれる授業を学生さんと共に受講できると、モチベーションも上がります。」などの感想をいただきました。

地域環境論の授業

また、公開授業について、「講義内容が奥深く、知らなかった事を知ることが出来て、受講するのが毎回楽しい。」「いつまでも知的好奇心をもって過ごしたいので、公開授業はとても貴重な機会です。」「受講日には図書館や学生食堂なども利用させていただきました。県立大学の素敵な雰囲気が味わえ、私の楽しみな一日でした」という感想もいただきました。

【令和7年度後期公開授業】

2025.08.07

日本×ベトナム 看護学科学生のオンラインで国際交流

8月5日(火)、看護学科の学生たちが、ベトナム・ビンズン省の東部国際大学の看護学生とオンラインで国際交流を行いました!

本学と学術交流に関する覚書を締結している大学との、今回が2回目の交流です。

今回のテーマは、「高齢者の健康管理」。お互いの文化や制度の違いを学び合いながら、高齢者を取り巻く現状について英語でプレゼンテーションを行いました。

最初は「英語が苦手で不安だった」という声もありましたが、好きな食べ物や看護実習の違いなどを話す中で、和やかな雰囲気で楽しく交流することができました。

インスタグラムを交換してつながるなど、今後の交流の広がりも楽しみです。

オンライン国際交流の様子1
オンライン国際交流の様子2
オンライン国際交流の様子3
オンライン国際交流の様子4
オンライン国際交流の様子5

2025.08.06

地域連携スペースイベント講演会「海外旅行(留学)の危機管理」を開催しました。

県立大学1号館の地域連携スペースは地域の方と県立大学学生・教職員をつなぐ交流拠点として昨年4月にオープンし、様々な交流イベントを企画・開催しています。

今回は元日本大学危機管理学部教授河本志朗氏と外務省領事局の協力を得て、令和7年7月23日(水)18:00~19:30の間、山口県立大学1号館4階ミーティングルーム(地域連携スペース)に、参加者56人(学生32人、教職員9人、一般の方15人)を集めて、「海外旅行(留学)の危機管理」をテーマに開催しました。

講演「海外旅行(留学)の危機管理」チラシ
地域連携スペースイベント講演会の様子1

講師の元日本大学危機管理学部教授 河本志朗氏は、警察出身で、外務省出向中の在ムンバイ日本国総領事館での勤務では、海外における日本人の保護・援護に携わられ、その後、公益財団法人「公共政策調査会」では海外展開する企業への危機管理上のアドバイス等を行われ、日本大学危機管理学部では海外留学の危機管理に関する講義も行われてきました。

地域連携スペースイベント講演会の様子2

今回はご自身の経験やこれまでに蓄積された事例や外務省の統計などを利用して、海外で日本人が遭遇する危険(事件・事故、自然災害、疾病等)や日本ではあまり経験しない危険(テロ・暴動、風土病等)などを紹介されました。

一般犯罪に関しては、「多くの国では発生率が高く、凶器を使用するなど凶悪であり、日本は例外的に安全な国であること」について、銃撃事件の統計や事例が示されました。

自然災害に関しては、「途上国などでは、予防、警報発令、発生時の救援・復旧、緊急医療体制などが不備である国が多いこと」について、「2004年のインド洋大津波」で、死者・行方不明者が約30万人に上った事例が示されました。

疾病に関しては、「途上国など、衛生環境が悪く、医療体制が不備である国も多いこと」について、かつて勤務されたインドのムンバイで経験された感染症や悪質な飲料水などの事例が示されました。

日本ではあまり経験しない危険(テロ、内戦、暴動、クーデター、銃撃戦)では、過去、日本人が死亡したテロ事件の統計のほか、風土病のデング熱や狂犬病について事例が示されました。

講演では、特に、「日本人の危機管理意識の問題点及び意識改革の必要性」と「海外旅行へ行く前及び海外の情報(知識)の収集の重要性」が強調されました。

日本人の危機管理意識の問題点では、日本人の警戒心の薄さや「No」と言えない心理やルクソール観光客襲撃テロ事件での教訓などが紹介されました。

さらに海外の情報(知識)を集める情報収集ツールとして、外務省領事局の「海外安全ホームページ」や「たびレジ」の活用などについて説明がありました。

地域連携スペースイベント講演会の様子3

また、今回の参加者には外務省領事局から提供いただいた資料、①中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル(ゴルゴ13版)、②たびレジカード、③海外渡航の「テロ・誘拐」安全対策を配布しました。

地域連携スペースイベント講演会の様子4

受講者アンケートでは、学生からは講演について、

「これから留学するにあたってとても参考になった。」

「海外ではさまざまなリスクがあることが再認識できた。」

「留学することに心を踊らせるばかりだったが、海外での危機管理の大切さを知るよい機会になった。」

「『日本での安全に対する考え方は海外では通用しない』」という言葉が一番印象に残った。」

また外務省領事局提供資料については、

「ゴルゴ13版のマニュアルは漫画で読みやすそうだと思った。」

「たびレジカードはありがたい。登録しようと思う。」

「たびレジを初めて知ったが良いシステムだと思った。」

などといった感想が寄せられました。

また教職員や一般の方からは講演について、

「多くの事例に基づくわかりやすい話しで海外での危機管理意識が高まった。」

「日本の治安の良さを再認識するとともに、日本人の危機管理の甘さを改めて痛感した。」

「ルクソール銃撃テロ事件で日本人が固まって逃げることなく、亡くなった話しが印象に残った。」

また外務省領事局提供資料については、

「たびレジのことを知らなかったのですぐに登録した。」

「たびレジを知ることができて良かった。海外渡航時には登録しようと思う。」

「ゴルゴ13版の資料を見て、外務省が学生などにも受け入れられるように工夫していることを知った。」

などといった感想が寄せられました。

今回の講演で、海外旅行(留学)では、「安全に対する意識を切り替えること」、「情報(知識)を集めて準備すること」が大切だということがよくわかりました。

2025.08.05

曽根研究科長が日本運動生理学会第26回学会賞を受賞されました

健康福祉学研究科長の曽根文夫教授は、運動と温熱に関する生理学的研究の成果により、日本運動生理学会第26回学会賞を7月12日(土)に受賞されました。同賞は、運動生理学の進歩に多大な貢献をした研究者に与えられるもので、以下の5編の論文(筆頭著者)が受賞対象となりました。

  • 1)  Fumio YAMAZAKI: Importance of Heat Acclimation in the Prevention of Heat Illness during Sports Activity and Work. Advances in Exercise and Sports Physiology, 18(3): 53-59, 2012.
  • 2)  Fumio YAMAZAKI: Finger Vascular and Cardiac Responses to Apneic Facial Immersion in a Hyperbaric Environment. Advances in Exercise and Sports Physiology 22(3): 45-51, 2016.
  • 3)  Fumio YAMAZAKI: Effects of Aging on Body Temperature and Cardiopulmonary Responses to Light Exercise in a Cool Environment. Advances in Exercise and Sports Physiology 27(2): 31-36, 2021.
  • 4)  Fumio YAMAZAKI: Acute Effects of Mild Cycle Exercise on Thermal Sensation and Brain Activity in Cold-sensitive Young Women. Advances in Exercise and Sports Physiology 29(2): 13-18, 2023.
  • 5)  Fumio YAMAZAKI: Effects of Short-term Aerobic Exercise Intervention on the Cold Discomfort and Sleep of Women with and without a Cold Constitution. Advances in Exercise and Sports Physiology 30(1): 1-9, 2024.

なお、表彰式は同日、第32回日本運動生理学会大会(東海大学)において行われました。

日本運動生理学会第26回学会賞受賞

令和7年度 山口県立大学・柳井市サテライトカレッジ2回目を開催しました。

令和7年7月26日(土)柳井市文化福祉会館にて、柳井市サテライトカレッジ 第2回目を開催しました。

今回の講座テーマは、「嘘か本当か、果たしてどうか?―「情報社会」とのつきあい方―」と題し、山口県立大学 国際文化学部 情報社会学科 井竿 富雄 教授が、受講者30名に対し講義を行いました。

柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子1

現代は、インターネットの普及やデジタル化が進み、ネットワーク上のデータ流通量が飛躍的に増えました。いつでもどこでもあらゆる情報を収集できる環境になり、生活はとても便利になりました。しかしその情報の中には「フェイクニュース」と言われる偽情報が混在していることもあります。何かの情報を聞いたり知ったりした場合に、「本当かどうか」を見極めなければなりません。そんな「本当か噓か」のようなことについて、いろいろな側面から見た解説がありました。

柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子2

講座は、「今までにどんな偽情報を見たり聞いたりしたことがありますか?」という質問からはじまりました。受講者の方から、「アンケートの電話がかかってきたが、最終的にはセールスの電話だった」、「選挙の時、候補者などについていろいろな情報が流されているので何が本当か分からない」などの体験談をお聞かせいただきました。

柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子3
柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子4

メディアやブログ、SNSに本当ではない記事が公開されていることがあります。これらの記事をフェイクニュースと呼びます。騙すつもりはないが誤った情報、意図的に作られた偽情報、事実だが悪意のある情報などの種類があります。フェイクニュースに多くの人が騙されて誤った情報が拡散し、選挙結果や政治情勢が変化するともいわれています。

柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子5
柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子6

ネット上には様々な偽の情報があふれています。「動物園からライオンが逃げたという投稿」、「地震や災害の際、被災者を装い救助を要請する投稿」などフェイクニュースが投稿、拡散され問題になったこともありました。最近ではAI技術を活用し本物と見分けがつかないような動画や画像、音声などの「ディープフェイク」で投資詐欺が発生するなどフェイクニュースが巧妙化しています。

柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子7
柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様子8
柳井市サテライトカレッジ 第2回目の様9

フェイクニュースに騙されないようにするには、その情報が本当かどうか複数の情報源で比べること、周りの人に相談すること、一呼吸置いて考えみることが大切と教わりました。

受講者アンケートでは、

「正しく情報を得ることが大事だと分かった。」

「嘘か本当か、よく考えることを改めて意識しようと思った。」

「偽情報に惑わされずしっかり考えて行動したい。一呼吸置くことの重要性を感じた。」

「今の世の中は大量の情報があふれているので、自分自身で正しく判断できる能力を身に付けたい。」

「偽情報を広めてしまう人にならないように、注意しなければならないと思った。」

などの声が寄せられました。

私たちは、だれでもフェイクニュースに惑わされる可能性があります。"自分は大丈夫"と安心している人ほど、騙されやすいといわれます。騙されて被害者にならない、偽情報を信じ拡散して加害者にならないように、得た情報が正しいかどうか、いったん手を止めて一呼吸置き、冷静になることが大事だと分かる講座でした。