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2024.05.09
陳澄波スケッチ柄皿・椀の贈呈
このたび、台湾・嘉義(かぎ、Chia-yi)市の「陳澄波文化基金会」より、陳澄波(ちん・とうは、Chen Cheng-Po、1895-1947)のスケッチをデザインした皿と椀のセットが贈られてきました。これには、本学のみならず山口県と台湾を結ぶ縁があります。
陳澄波は近現代台湾を代表する画家のひとりとして著名です。その出身地が嘉義です(嘉義は画家がたくさん出ているそうです)。最近は、山口県出身の栖來ひかり氏が翻訳された小説『陳澄波を探して』(柯宗明作、岩波書店)でも知られています。この画家に風景画を依頼したのが、防府出身の元台湾総督、上山満之進(かみやま・みつのしん、1869-1938)でした。
依頼によって1930年に陳澄波が描いた作品が『東台湾臨海道路』です(残念ながらこの絵に描かれた地域は、2024年4月3日の台湾地震で大きく崩落しました)。この絵は上山から防府市立三哲文庫(市立図書館)設立にあたり蔵書などとともに図書館に寄贈されました。そして、閲覧室などで市民に見守られていました。図書館が何度かの移転をした際、絵は倉庫に保管されました。この間に、作者陳澄波を政治の魔手が襲いました。故郷の参議会議員となった陳澄波は、1947年に台湾で発生した2・28事件の際、事態収拾に乗り出して逮捕され、裁判抜きで公開銃殺に処せられたのでした。1987年に民主化が始まるまで、陳澄波は台湾では「知ってはいけない名前」だったのです。
2015年、僧侶・歴史家児玉識(こだま・しき、1933-2019)先生が防府市の依頼で上山満之進の伝記執筆の際に図書館倉庫よりこの絵を発見し、歴史が再び動きました。本学の安渓遊地教授(現名誉教授)を通じて、陳澄波文化基金会に連絡が行き、これが台湾では世紀の大発見として報じられたことから、安渓教授率いる台湾地域実習に嘉義行きが加わるようになり、その過程で出会った国立中正大學とのMOU締結(2019年)など、とにかく驚くようなことが次から次へと起こったのでした。
今回贈られた陶磁器には、陳澄波の遺したスケッチの一つがデザインされています。
原作を収めた『陳澄波全集』(全18巻)も、既に陳澄波文化基金会から本学図書館に全巻寄贈されています。一枚のお皿にも、心を揺さぶる物語があります。
2023.12.21
「言語政策から見た日本語教育の現状と課題」国際文化学部 日本語教育関連外部講師による講義 No. 9
12月13日(水)、山口県立大学にて「国際文化学部 日本語教育関連外部講師による講義 No. 9」が行われました。
講師の嶋田和子氏(アクラス日本語教育研究所代表理事)は、40年間にわたり日本語学校、大学、地域日本語教育など、日本語教育の様々な現場に関わってこられました。
2019年の「日本語教育の推進に関する法律」制定を皮切りに大きな変化の中にある日本語教育がどのようなプロセスを経て今日に至ったのか。そして今後どのように取り組んでいくべきかということを、国際文化学部2年生の学生たちにお話しいただきました。
日本語教育の揺籃期からこれまで
日本における留学生がまだ少なかった1983年、政府は「留学生10万人計画」を打ち出しました。日本語を母語としない人を対象に、日本語を教える機関である日本語学校が増えはじめ、日本語能力試験や日本語教育能力検定試験など、日本語教育が推進されていきます。
日本語学校は激動の中で成長を目指し、「留学生10万人計画」の達成にも大きく貢献しましたが、2010年の「事業仕分け」にその道を阻まれることとなりました。
ですが2011年以降も、日本語学校の数は増えています。
「みなさんに、社会にはたらきかけることの大切さを伝えたいんです。」
長い時間をかけて仲間と一緒に国やさまざまな機関に働きかけてきた嶋田先生はそう繰り返していました。
法制化へのプロセスと現状
日本語教育に関しては、ボランティアによる教室が多く体系的な教育環境が整備できていない、専門性を有するコーディネーターや日本語教師が不足している、また地方公共団体と日本語教育関係機関の連携が不十分である等の課題がありました。
言語政策を国として行っていきたい。日本語学校の社会的位置づけを、日本語教育の質を向上させたい。そのために嶋田先生らは、努力を重ねてきました。
その結果、2019年に「日本語教育の推進に関する法律」が制定され、まさに「日本語教育元年」を迎えました。
嶋田先生の、そして日本語教育の歩んできた道筋に、学生たちは真剣に耳を傾けていました。
日本語能力のレベルについて考えてみる
2021年、「日本語教育の参照枠」が発表されました。
これは日本語学習者を社会的存在として捉えること、言語を使って「できること」に注目すること、多様な日本語使用を尊重することを柱として考えられた、日本語教育の包括的な枠組みを示すものです。
今回は、参照枠の示す熟達度を理解するために、次のような表をもとに日本語能力のレベルを周りの人と一緒に考えてみました。
それぞれのライフスタイルにおいてどこまでのレベルが必要とされるのか、その習得を促すために何ができるか。学生たちはそれぞれ考えを深めました。
「ともに社会を担う仲間」として
講義の最後に、日本語教育の取組みについて様々な事例を紹介していただきました。
その中で嶋田先生が重要だとおっしゃっていたのは、「支援」ではなく「市民としての社会参画促進」としての日本語教育の在り方です。
「ともに社会を担う仲間」として、学び合う。
学ぶ力は本人の中にある。学習者主体の日本語教育を。
それが社会にとっても貴重な「人財づくり」になるのだそうです。
嶋田先生も制作に関わったラップ動画「やさしい せかい」を観ながら、学生たちは今日の学びをさらに深く心に刻んでいました。
「思う」だけでなく、仲間とともに活動して欲しい。
今日までの日本語教育の歩みと嶋田先生の活動をお話しいただき、国際文化学部の学生たちにとってとても貴重な学びとなったことと思います。
嶋田先生らの社会への働きかけで新しい法ができ、社会が変わりはじめ、今があります。
長い時間をかけ、対話を重ねてきたからこそ実現したことがたくさんあります。
日本語教育の未来のために、仲間とともに活動して欲しい。
嶋田先生のメッセージを受け取った学生たちが今後どのような未来を実現していくのか、とても楽しみになる90分間でした。
「24時間テレビ ニホンアワサンゴを守れ!プロジェクトⅡ」及び「島じゅうキャンパス 魅力発見エコツアー2023」に参加しました
本学の学生ボランティアが、「24時間テレビ ニホンアワサンゴを守れ!プロジェクトⅡ」及び「島じゅうキャンパス 魅力発見エコツアー2023」に参加しました。
10月21日、午前7時30分に本学を出発し、周防大島に向かいました。
今回は、今年6月に実施した「地域と連携したリアルな体験活動充実事業」に続き、周防大島町地家室地区において、世界有数のニホンアワサンゴ生息地を保護する活動を支援しました。生息海域への土砂流入防止のための荒廃地整備として、かつてこの地域で栽培、自生していた「ニホンスイセン」の球根を植えました。
第1回 企画熟議
昼食後、企画熟議のために周防大島高校に向かいました。県大生と高校生で2つの班を作り、参加者同士の交流を深めながら、周防大島の魅力を生かした学びのツアーのコンテンツ作成に向けて、地元高校生のアイデアを取り入れながら、ツアーに参加する小中学生にとって有意義となる企画を話し合いました。
第2回 企画熟議
本学の学生ボランティアが、「島じゅうキャンパス 魅力発見エコツアー2023」に参加しました。11月18日、午前11時30分に本学を出発し、周防大島高校に向かいました。県大生と高校生で4つの班を作り、参加者同士の交流を深めながら、周防大島の魅力を生かしたエコツアーのキャッチフレーズと紹介文を作成しました。地元高校生のアイデアを取り入れながら、ツアーに参加する小中学生にとって魅力が伝わるようなキャッチフレーズをつくりました。また運営者の立場になって、エコツアーが成功するために必要な要素をまとめました。
国際文化学科の学生が山口県韓国語弁論大会で最優秀賞を受賞しました
11月12日(日)に山口韓国青年商工会主催の山口県韓国語弁論大会が開催され、国際文化学部 国際文化学科4年生が出場し、最優秀賞を受賞しました。
出場した学生の出場体験談は下記をご覧ください。
出場体験談
今回の弁論大会では、私の一番好きな韓国ドラマ『二十五、二十一』の、IMF危機という時代でも諦めず努力する主人公の姿と、コロナ禍に韓国語の勉強を始めた私の経験を照らし合わせながら発表しました。
発表では、発音やアクセント、強調する部分の声の大きさやスピードなど、意識しなければならないことが多く大変でしたが、先生のお手本を聞いて、口に出すことを繰り返すことで慣れていきました。また、そのなかでも日本語と韓国語のアクセントの違いには特に苦戦しましたが、自分のいわゆる「日本人っぽいアクセント」に気がつけたことは、今後も活かしていけると思います。
大学生活の最後に何か挑戦したいと思っていたので、今回弁論大会に挑戦し、最優秀賞をいただけてとても嬉しく思います。この機会をくださった先生や、練習に協力してくださった皆さんに感謝しています。ありがとうございました。
2023.11.08
国際文化学科の学生が「第20回北九州ハングル弁論大会」に出場しました
11月3日(金)に北九州ハングル弁論大会実行委員会主催の「第20回北九州ハングル弁論大会」が開催され、国際文化学科の学生4名が出場しました。そのうち、福田芽久さんが最優秀賞を受賞しました。
出場した4名の学生の出場体験談は下記をご覧ください。
国際文化学科1年 今仁 雅桜奈さん(努力賞)
私は韓国語で文章を書くことも、韓国語で弁論をすることも初めてだったので最初のうちは、自分が本番で発表をやり遂げるイメージが全く付かなかったです。なので、少しでも良い、悔いの残らない発表が出来るように小さいことから一つずつやってきました。本番では聞いている人に届くようにということを意識できました。
そして、韓国語の授業で一度発表をさせてもらったときに、アドバイスしていただいたことを本番で活かすことが出来ました。努力賞をいただけたこと、他の出場者の上手な弁論を聞いたことから、これからの韓国語の勉強のモチベーションに繋がっています。
また細かい発音や、リスニングがまだまだであることを実感したので、これから磨いていきたいです。
国際文化学科1年 大迫 知華さん(参加賞)
韓国人の友達の力も借りながら原稿を作成したあと、ひたすら発音や暗記に取り組みました。また、韓国語の授業中に発表の練習をして友達から改善点を指摘してもらったり、先生にできていなかった発音の指導をしていただいたりしました。その後もとにかく発音をメインに練習を繰り返しました。
本格的に韓国語の勉強を始めて6ヶ月、経験不足のまま韓国語弁論大会に参加させていただきました。結果は参加賞でしたが、自分にとってとてもいい経験になったと同時にこれからの韓国語能力向上へのモチベーションを高めるいい機会になりました!
国際文化学科1年 福田 芽久さん(最優秀賞)
準備の段階から初めての経験が多く不安な気持ちもありましたが、今回の大会出場によって多くのことを学ぶことができました。自分で準備したものを多くの方の前で発表し、そして賞をいただいたことで自信や達成感を得ることができ、韓国語学習へのモチベーションも向上しました。今回の経験を経て、今後の韓国語学習にさらに力をいれ、成長していきたいと思いました。
国際文化学科1年 藤本 愛莉さん(奨励賞)
私は、韓国語弁論大会に参加してすごくよかったと感じました。特に良かったと感じたのは、自分の韓国語力がどれくらいなのかを確かめることができたことです。他の大学の学生さんも参加していて、比較して自分はここができていないなど多くのことに気づかされました。また、初めて日本語以外の言語で弁論をすることができて貴重な体験だったとも感じます。たくさんの人に自分の体験や感じたことを聞いてもらうことができとても嬉しかったです。さらに、韓国語を勉強することで大会にも出場でき、多くの人とも出会えることができたので韓国語を勉強することへのモチベーションも高まりました。今後もこの経験を活かして学習に取り組みたいです。