卒業式


 3月20日(水)山口県立大学講堂(桜圃会館)で「平成30年度山口県立大学・山口県立大学大学院学位記授与式」を執り行いました。卒業生・修了生合わせて361名が、本学を旅立っていきました。



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式 辞

平成31年3月20日
山口県立大学学長
加登田 惠子

 ただ今、国際文化学部国際文化学科71名、文化創造学科50名、社会福祉学部社会福祉学科108名、看護栄養学部看護学科54名、栄養学科49名、合計332名の学部卒業生の皆さんに卒業証書及び学位記を、大学院国際文化学研究科4名、健康福祉学研究科 前期課程9名、後期課程 4名、合計17名の大学院修了生の皆さんに学位記を、さらに別科助産専攻12名の皆さんに修了証書をお渡ししました。
 この良き日に、山口県知事さま、山口県議会議長さまをはじめ、ご来賓の皆様のご臨席を賜り、かくも盛大に学位授与式を挙行できますことは、本学にとって大きな慶びであります。
 卒業生・修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 また、長い間、皆さんを温かく支えてこられたご両親やご家族の皆様にも、山口県立大学教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。

 おりしも、今回は、平成最後の学位授与式となりました。今回卒業する皆さんの多くは、平成に生まれて、平成に育ち、これから次の時代の担い手となる、いわゆる「平成っ子」です。
 皆さんが育った「平成」とはどのような時代であったでしょうか。
 平成元年、東西冷戦の終結とともに始まったこの三十年は、「経済」の面では、バブル及びその崩壊の過程でした。世界経済の牽引力であった日本の地位は次第に下がってきました。また、平成七年の阪神淡路大震災、平成二十三年の東日本大震災、さらにそれらに引き続く各地の自然災害は、平成がまさに『天変地異の時代』でもあったことの象徴となるものでしょう。
 情報産業の発展により、人々の生活の中心は「モノ」から「情報」へ変化し、さらにグローバル化を背景として、世の中は「能力主義」による「自由競争社会」へと急速に変貌しました。このめまぐるしく変わる、先行き不透明の社会を生きる人々の、不安な気持ちを反映した事件が「オウム真理教事件」だったのかもしれません。また、近頃の国際関係に目を転ずると、世界中で分断と対立による軋轢がますます高まっています。
 その中にあって、昨年の暮れ、今上天皇陛下がお誕生日の会見で「平成が『戦争のない時代』として終わろうとしていることに、心から安堵しています」と述べられたことは大変印象的でした。このお言葉の重みに、深く心を打たれた方も多かったのではないでしょうか。
 しかしながら、やはり総じて言えば「平成」は多くの苦難・試練に見舞われた時期であったと思われます。
 しかも、これらの現代社会の苦難の多くは、平成に始まって平成に終わるといった単純な問題ではありません。その克服の多くもまた、平成の次の時代に持ち越されていくでしょう。
 私たちは、「これからの激動の時代」を、これまで先人たちがひたむきに生き抜かれたのと同じように、たくましく、切り拓いていかなければなりません。

 さて、みなさんは、『赤毛のアン』という小説を読まれたことがあるでしょうか?
 20世紀の初めに、カナダ人のモンゴメリが発表した作品で、両親を早くに亡くし、孤児院で育った空想好きな少女アン・シャーリーが、失敗を繰り返しながらも聡明な女性へと育っていくという成長の物語です。
 それを初めて日本に紹介した村岡花子という児童文学者がいます。花子の人生については、少し前に朝のテレビドラマ「花子とアン」で取り上げられましたので、それをご覧になった方もおられるかもしれません。花子の家はとても貧しかったのですが、東洋英和女学校というミッションスクールの給費生となって英語を学び、翻訳者の道を志すことになります。
 大正二年、花子が晴れて二十歳で迎えた女学校の卒業式の日に、友人たちは「この先何十年たっても女学校時代ほど楽しい時代は、二度と来ないと思います。生涯で学生時代が一番幸せな時代だと思います」と、涙を浮かべながら口々に感想を述べたといいます。女性が、今ほど伸びやかに生きられない時代ですから、なおさら、ことさらの思いであったことでしょう。
 すると、謹厳で知られるイザベラ・ブラックモア校長は、イギリスの詩人であるロバート・ブラウニングの詩のGrow old along with me! The best is yet to be 「我と共に老いよ、最上のものは なお後に来たる」という一節を引き、こうおっしゃいました。
 「皆さんが後に、(学生)時代が一番幸せだった、一番楽しかった、と心底から感じるなら、私はこの学校の教育が失敗だったと言わなければなりません。
 人生は進歩です。若い時代は準備の時であり、最上のものは過去にあるのではなく、将来にあります。旅路の最後まで、希望と理想を持ち続けて、進んでいく者でありますように」

 私も、これからも続くであろう『激動の時代』を生き抜く皆さんへの餞として、皆さんにこの言葉を贈りたいと思います。  

The best is yet to be. 最上のものは なお後に来たる

 山口県立大学における様々な出会いを通じて、皆さんが身に付けられた力は、単なる専門知識や国家資格だけではなく、それぞれの人生の困難や試練を乗り越えていくための、人間力=生きる力であると信じるからです。
 The best is yet to be.
 旅路の最後まで、希望と理想を持ち続けて、進んでいく者でありますように

 本日は、おめでとうございました。