入学式


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このたび、学部生・大学院生・別科生合わせて363人が、本学に入学しました。

学長式辞

2022年4月5日
山口県立大学学長 
田中 マキ子   

式辞

 満開の桜から新緑へ変わるここ宮野は、新しい時を告げています。本日、山口県立大学及び大学院、別科助産専攻に入学されました363名の皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。全教職員と共に、皆さんの入学を心よりお祝申し上げます。新型コロナウイルス感染症への対策を行いつつ、例年とは異なるスタイルの入学式でございますので、残念ながら、一堂に会することはできませんが、山口県知事 村岡 嗣政 様、山口県議会議長 柳居 俊学 様のご臨席を賜り、令和4年度入学式が挙行できますことは、本学にとり、この上ない喜びでございます。また、これまでみなさんの成長をいつくしみ、育んでこられましたご家族、関係者の皆様におかれましても、さぞお喜びのこととお祝い申し上げます。

 さて、皆さんは、本日より大学生となられるわけですが、大学生になったら何をしようと思い描いていますか。大学生になれば、何かが変わり、素晴らしい力が身につくと考えている方があるかもしれません。果たして、そうでしょうか。大学では、これまで皆さん方が頑張ってこられた勉強・学習スタイルとは異なった方法で、あるいは今までの方法を打ち壊して、新たに作りなおすことが求められるかもしれません。私たちは、分からなかったことがわかるようになることが「学び」と思っています。しかし、学べば、学ぶほど、実は「わからないこと」が、たくさんあることを知り、それこそが「学び」であると気づきます。私たちが生き・生活する現実社会は、すぐに答えがみつかるような問題だけから成り立っているのではありません。一つの問いに複数の異なる答えがある場合もあれば、そもそも答えがあるのか、ないのか、わからない問いもあります。答えがわからなくても、何らかの方向を選択し、進んでいかなくてはならない厳しい現実社会があります。こうした社会を生き抜くためにも、みなさんには、「わからないことを知り」、「わかろう」と答えを求める努力を惜しまず・へこたれず、食いついていく気構え・方法を、本学において身につけていただきたいと思います。

 時代は、socuety5.0といわれる超スマート社会や人生100年時代の到来も見据えた高齢社会への対応、グローバル化の進展、社会全体のデジタル化が求められ、こうした時代で活躍できる、あるいはリードする人材が求められています。デジタル化社会では、Artificial Intelligence、つまりAIを日常生活、仕事の場で使いこなすことができることが求められます。AIは、知識を外部化することができますが、意識や感性をデータ化することはできないと言われます。私たち一人ひとりが異なるように、同じ現象をみても、なにからなにまで同じと感じることはないからです。私たちひとりひとりが違うからこそ、これまでに経験したことがないような出来事にも対応でき、対処できる方法を考えつくことができるのかもしれません。

 では、「わからないことを学び」、「意識・感性の違い」を知るためには、どのような学び・経験をすれば良いのでしょうか。私は、様々な事柄に触れ、心が動く体験を、大学生活においてより多くしていただくことが大切だと思っています。心が動く体験は、もっと知ろうとする探究心や研究心、人に聞くなどの質問力、多くの情報をあつめ分析し判断しようとする力を、刺激すると考えるからです。これら一つひとつの力は、学修過程の中で調和され、そして創造する力を涵養すると考えます。創造する力が磨かれ、そして、創造する力を携えたみなさんは、様々な事柄におくせず「やってみよう」「頑張ってみよう」とする挑戦する力をえ、その力が前へ踏み出す行動を誘ってくれると考えます。
 時代の変化が激しく、これまでに経験したことのないような事態を、これから私たちはもっとたくさん経験することになるかもしれません。そのような時に、唯一無二の個性豊かな一人として、考えを巡らせ、意見を述べ、そして行動できる存在へと成長して欲しいと願います。

 80周年を超える歴史と伝統を有する本学は、地域からの信頼も厚く、地域貢献大学として、多くの実績を残しています。小規模大学故に、皆さんと教員の距離は近く、講義やゼミを通して、先生方から豊かな知識や感性を刺激されることでしょう。先輩との関係も密で、みなさんが困ること、迷うことがあったら、周りの友人・先輩、教職員に気がるに声をかけてみて下さい。本学には、人を想いやり・励ましあい・共に創り出すといった、心地よい流れが学舎を包んでいます。この心地よい流れは、本学の校是である「人間尊重の精神」「生活者の視点の重視」「地域との共生」「国際化への対応」から作りだされるものです。専門資格を有するための学部・学科も多い本学は、「人に優しい大学」として、人との交流を大切にします。多くの友に交わり、教職員と関わり、地域の方々と触れあって下さい。山口県立大学だからこそ磨かれる精神があります。

 最後になりますが、入学生のみなさんは、新型コロナウイルス感染症が蔓延するただなかで、厳しく・辛い受験を乗り越えて、今ここにおられます。人に会えない・交流できない閉塞感は、否応でも孤独感を一層増長したかもしれません。表現しようのない不安や、やりきれない思いを振り切り、乗り越えた結果、今皆さんはここに立っています。この事は、「There is always light behind the clouds」「空の向こうはいつも青空」ではないでしょうか。これは、1868年に書かれた『若草物語』が代表作であるルイーザ・メイ・オルコットの格言です。雲の向こうにはいつも青い空が広がっています。止まない雨はありません。天気のように自分の力では変えられない状況でも、その先に青空がいつも広がっていること。状況は必ず良くなることを示唆するものです。私たちは今、コロナという雨雲の下にいるかもしれませんが、雨雲のすぐ上には、青空が広がっていることを常に意識し、前向きに・明るく進んでいきましょう。

 山口県立大学で、「私はこんな事を学んだ」「こんな事ができた」と声高に述べることができるよう、積極的に主体的に、本学での生活を楽しんでください。大学生活が、みなさんにとって、豊かなものとなることを願い、式辞といたします。