サテライトカレッジ

令和7年度 山口県立大学・周南市サテライトカレッジ2回目を開催しました。

令和7年9月5日(金)周南市学び・交流プラザにて、令和7年度山口県立大学・周南市サテライトカレッジ 第2回目を開催しました。

今回の講座は、「健康に良い」食品とは何? と題して山口県立大学 看護栄養学部 栄養学科 人見英里 教授が受講者40名に対して講座を行いました。

最近のテレビやネット上には、健康に役立つという情報があふれています。カプセルや錠剤といった薬のような形のサプリメントは、実は食品の仲間です。また、一見普通だけど「何か特別」らしい食品もたくさんあります。いったい何を基準に選択すれば良いのでしょうか。

講座では、「健康に良い食品」の考え方や選び方、「健康食品」とは何か、年齢とともに変わる「栄養課題」について最新の知見をふまえた解説がありました。

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健康に良い食品といえば、納豆やブルーベリー、ブロッコリー、トマト、鮭、バナナ・・・などを想像しますが、ある食品さえ食べておけば健康になれるということはありません。

例えば、バナナはカリウムが豊富で高血圧やむくみの予防に役立ちます。また、GABA(ギャバ)を含む品種のバナナは血圧を下る機能があることが報告されています。しかも手軽にエネルギーを摂ることができます。しかし、糖質が多く含まれるため、摂取量や食べ方、摂取する人の体質によっては血糖値を上昇させることにもなりかねません。

このように、ある食品さえ食べておけば健康になれるという夢のような食品は存在しません。という話題から講座が始まりました。

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次に、「健康に良い食品」の考え方も時代とともに、変化していくことについて、マーガリンを例に挙げて詳しく説明されました。

1980年代にはバターはコレステロールが多く健康に悪いのでマーガリンの方が良いとされてきました。ところが、2000年代になるとマーガリンは「トランス脂肪酸」が多く含まれ体に悪いと評判になりました。2010年代以降ではマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の量は、製造技術の改良により以前より大幅に減少しており、最近ではバターよりも少ない製品もあります。

ただ、そのことを知らない消費者も多いため、現在でもマーガリンを避ける方が居るのも事実です。受講者は「そんなことは知らなかった。」「以前の知識のままでいた。最近のことは知らなかった」などの声があり、初めて聞く内容に聞き入っていました。

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さらに、現在では最新の技術を使って個人に最適化され、個人差にも対応する「プレシジョン栄養学」(個人対応型栄養学)という考え方があることや、食物繊維や腸内細菌、短鎖脂肪酸、発酵性食物繊維など「腸活」の話題もあり、最新の知見を聞き、健康に良い食品の考え方が時代により変化、進歩していることが分かりました。

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健康食品は、不足しがちな栄養素を手軽に補給できるメリットがある反面、過剰摂取のリスクや医薬品との相互作用、根拠が不十分な製品も存在するなどデメリットもあります。特に輸入サプリメントには注意が必要との説明がありました。

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最後に、フレイル(加齢によって心身が衰えた状態)や、経口補水液(OS-1)についても解説があり、盛りだくさんの内容でした。

受講者アンケートでは、

「健康について、サプリメントについて正しい知識を得られた。健康や食品についての考え方が変わった。」

「先生のお話はテレビの情報番組に比べて、学術的で大変勉強になりました。」

「健康食品のトレンドが変わってきているのがよく分かった。ネット情報では得られない新発見があった。」

「例を挙げての説明がわかりやすく、新しい情報が得られた。」

「食品について、時代にあった正しい知識を身につけようと思った。」

などの声が寄せられました。

健康に良いとされる食品やサプリメントは様々なものがありますが、摂取するだけで健康的な体になれるわけではありません。健康を保つには、バランスの良い食事、適度な運動や睡眠、ストレスをためないことなど生活習慣を見直すことも必要です。

「健康は一日にしてならず」今日からコツコツ始めましょう。

令和7年度 山口県立大学・周防大島町サテライトカレッジを開催しました。

令和7年9月2日(火)周防大島町 大島文化センターにて、令和7年度 山口県立大学・周防大島町サテライトカレッジを開催しました。

今回の講座テーマは、「呼吸と運動でこころも身体もリフレッシュ」と題し、山口県立大学 看護栄養学部 看護学科 曽根 文夫 教授が、受講者37名に対し講義を行いました。

講座では、こころと身体をリフレッシュさせる方法として、腹式呼吸やストレッチ体操が有効であることや、ロコモティブシンドローム予防の簡単な筋力トレーニングを行いました。呼吸を整えながら軽い運動を行うことで筋力は向上し、気分もスッキリして行動力が高まります。いつまでも自分の足で歩き続け、自分らしく暮らすために、普段の生活の中に運動を取り入れることの紹介がありました。

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はじめに、受講者の方それぞれが現在の心理状態を、簡易チェック表で確認しました。精神的な健康度を高めるために腹式呼吸をすると、自律神経が整い緊張が緩和されることや、リラックスできることを学び、全員で腹式呼吸のやり方を実践しました。

次に、中高齢者がラジオ体操やウォーキングなどの軽い運動を継続的に行うと、「体が軽快になった」、「疲れにくくなった」、「心地よく眠れるようになった」などの自覚的効果が得られるとの解説がありました。

健康寿命を延伸し、介護生活を予防するには、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)にならないようにすることが重要です。そこで、7つの質問に答えるロコモ度のセルフチェック(ロコチェック)を行った後、実際に身体を動かし2歩分の歩幅を測定することでロコモ度を調べるツーステップテストを行いました。

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そして、手のひらをできるだけ広げることや、腕を上げるストレッチを行って準備運動をしたのち、その場で立ったり座ったり、足踏みなどしながら筋力トレーニングを行いました。受講者は体を動かすことによって気分が楽しくなり、明るい表情になりました。適度な運動は、筋肉を鍛えるだけでなく、リラックスし気持ちがスッキリすることを実感しました。

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受講者アンケートでは、

「久しぶりに体を動かして、爽快でした。」

「元気に生活が続けられるように、ストレッチや筋トレをやってみようと思います。」

「運動の大切さが分かった。」

「体操をして体が軽くなった。」

「健康に生活し、寝たきりにならない様に、毎日、ストレッチ、筋トレを続けていきたい。」

などの声が寄せられました。

適度な運動を継続することは、体力をつけるだけでなく、生活習慣病の予防、改善につながります。また、運動を通じて気分転換や達成感が得られ、ストレス発散や精神的な充実につながり精神的に安定します。

運動を習慣化して生活の一部にしましょう。

令和7年度 山口県立大学・下松市サテライトカレッジ2回目を開催しました。

令和7年8月30日(土)下松市市民交流拠点施設「ほしらんどくだまつ」にて、山口県立大学・下松市サテライトカレッジ 第2回目を開催しました。

この講座は、夏休み児童向け講座として、「のぞいてみよう "妖怪" の世界」をテーマに、山口県立大学 国際文化学部 国際文化学科 吉岡一志 准教授が、受講者75名(子ども46名、保護者29名)に対し講義を行いました。

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講座の開始は、「幽霊と妖怪はなにが違うのか?」という質問からはじまりました。

民俗学の創始者、柳田国男氏によると、幽霊は「出現場所は決まっていない」、「恨みを持つ特定の相手に出現する」、「真夜中(丑三つ時)に出現する」のに対し、妖怪は「出現場所が決まっている」、「相手を選ばない」、「たそがれ時に出現する」と、区別されるそうです。

しかし、その区別は例外が多く、現代では成り立たないことを絵を見ながら解説があり、子どもだけでなく保護者の方も興味深く聞いておられました。

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妖怪の伝説が伝わる場所は、全国各地にたくさんあります。その中から3ヶ所ほど、妖怪がいた証となる場所の紹介がありました。一番怖いとされる場所の紹介では、見たいけど怖くて目を隠してしまう子供たちもいました。

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また、同じ絵を見ても、人によって見え方が違うことや、同じ音を聞いても聞こえ方に違いがあることを、実際に絵を見たり、音を聞いたりしながら確認しました。例えば、右に回る動画を見ても、他の人は左回りに見えている、見えているのに突然見えなくなってしまう画像など、驚きの体験をしました。

これらのことから、自分と違う見方や感じ方をすぐに否定するのではなく、相手の考えをしっかり聞き、なぜそう思っているのか考えることの大切さを学びました。

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講座をただ面白いと聞くだけでなく、自分はどう考えているかを話し、自分と違う考え方の意見を聞き、会話をすることでコミュニケーションが深まりました。

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受講した保護者アンケートでは、

「妖怪や錯覚の話が面白く、子どもが夢中になって聞いていました。」

「子どもが興味津々に聞いていました。」

「これから歴史を読み解き、楽しみたいと思います。」

「幽霊と妖怪の区別が分かり、自分でも調べてみようと思った。」

「妖怪と幽霊の違いだけでなく、目や耳の錯覚も勉強でき、非常に楽しかったです。」

などの声が寄せられました。

妖怪の話は、子どもたちが怖がりながらも、夢中になり聞き入っていた姿が印象的でした。

『ゲゲゲの鬼太郎』や『妖怪ウォッチ』など妖怪を題材にした作品は数多くあり、妖怪の物語に触れる機会は数多くあります。妖怪は、現代社会の中で忘れかけていた遊び心や想像力、他者や異質なものに対する寛容さを取り戻させてくれる存在かもしれません。

ひょっとすると、妖怪は日常に溶け込んでいて、実はすぐ隣にいるかも・・・。

令和7年度 山口県立大学・下松市サテライトカレッジ1回目を開催しました。

令和7年8月9日(土)下松市市民交流拠点施設「ほしらんどくだまつ」にて、山口県立大学・下松市サテライトカレッジ 第1回目を開催しました。

この講座は、夏休みの児童向け講座で、テーマを 「想像力」から「創造力」へと題し、山口県立大学 国際文化学部 文化創造学科 小橋 圭介 准教授が、受講者48名(子ども31名、保護者17名)に対し講義を行いました。

講座の内容は、画用紙に絵を描きながら、「そうぞう」することを楽しんで、「感じる」気持ちを育んでいく講座で、3つのパートから構成され、子ども、保護者共に絵を描きながら進行していきました。。

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最初のパートでは、画用紙に印刷してある図形を見て、その図形が何に見えるか、どんな絵の一部なのかなど「想像力」をはたらかせ、色鉛筆やクレヨンで絵を描き、気付く力を養いました。大人では考えつかないような子どもたちの発想には驚かされます。

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二番目のパートでは、毛糸を地面に垂らし一筆書きの要領で絵を描いていきました。実際にやってみると、思っている以上に難しく、何を描いたのかわからないような絵になってしまいます。

「上手に描こうとするより、描くことを楽しみましょう」というアドバイスを聞き、楽しんで絵を描きました。作業を通して親子や子供同士の会話が弾み、あっという間に時間が過ぎていきました。

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そして、最後のパートでは、野菜や果物を組み合わせて、新しい食べ物を創造して描く時間がありました。どんな野菜や果物を組み合わせるかなど想像しながら、未知の新しい食べ物を創造しました。

その後、全員の作品を見る時間があり、他の人が書いた作品を見て、自分とは違った感性やとらえ方に感心し、刺激を受けていました。

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子どもは、楽しみながら90分間という時間を集中して取り組みました。保護者も夢中になって、子どもと一緒に楽しい時間を過ごすことができました。

受講者アンケートでは、

「子どもは、家では集中力が続かないのに、受講中はずっと集中して意欲的に取り組んでいた。」

「大人も子どもも一緒に絵を描いて楽しかった。普段、思いつかないようなことを想像することができた。」

「家では出来ないような事が、たくさん体験できた。」

「他の人の作品を見ることができ、刺激になった。」

「子どもと一緒にワイワイ活動出来て、とても楽しかった。」

などの声が寄せられました。

絵を描く作業中は、子どもの自由な発想力や、楽しいことに一生懸命になる集中力を見ることができました。また、大人も楽しんでいる姿を子供に見せることで、親子の会話やコミュニケーションが図れました。

親子で「想像すること」や「創造すること」を楽しんだ講座は、夏休みの良い思い出となりました。

令和7年度 山口県立大学・美祢市サテライトカレッジ2回目を開催しました。

令和7年8月2日(土)美東地域まちづくりセンターにて、山口県立大学・美祢市サテライトカレッジ 第2回目を開催しました。

今回の講座テーマは、「本当の仏教 第5章」と題して、山口県立大学 国際文化学部 情報社会学科 鈴木隆泰 教授が、受講者20名に対し講義を行いました。

この講座は、2021年から美祢市で毎年続いている「本当の仏教」シリーズ第5回目の講座です。受講者は開催地の美祢市を中心に県内各市町、県外からもお越しいただき、リピーターの方が多い人気の講座です。

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日常生活で、仏壇に手を合わせる、お盆やお彼岸に墓参りをする、葬儀に参列するなど、仏教に触れる機会はたくさんあります。さらに日常的に使っている「いただきます」、「ありがとう」といった言葉も仏教の教えに由来する言葉です。

生活に密着し身近にある仏教ですが、分かっているようで分かっていない、聞いたことはあるが詳しくは知らないと思っている人が多いのも事実です。そんな仏教をわかりやすく、仏教の原典から教えていただきました。

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仏教は、紀元前5世紀頃にインドで釈迦によって開かれた教えです。釈迦は悟りを開きブッダとなりました。仏教はブッダの説いた教えであると同時に、ブッダに成る教えを説いています。

講座では、仏教における人生の苦しみを表す言葉「四苦(しく)」(生・老・病・死)や、真理に対する無知のことで煩悩や苦しみの根源「無明(むみょう)」、無明から生じる「サンスカーラ」(今の自分を形成する力・作用)などの説明がありました。

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無明やサンスカーラを無くすことによって、人は生きながらにしてブッダになることができますが、無明やサンスカーラを完全に無くすことは極めて困難なので、完全に消滅させられなくとも制御することで、一瞬でもブッダに近づくことができます。まずは「一瞬ブッダ」を目指しましょうと教わりました。

受講者の方は、熱心に耳を傾けながら、メモを取り、理解を深めていました。

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講座後半には、インドのカーストについて説明がありました。インドには、古代よりカーストと呼ばれる身分制度があり、現在は法律で禁止されていますが、今でもインド社会に根強く残っています。一方、仏教はカーストや身分制度を否定し、すべての人が平等に真理にたどり着けると説きました。

仏教では、

「人は生まれによって卑しいものになるのではない。生まれによって尊いものになるのでもない。

人は行いによって卑しいものにもなり、行いによって尊くもなる。」

と説いています。

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また、講座終了後には質疑応答の時間が設けられ、貴重な機会に多くの方から質問がありました。疑問に思っていたことが解決し、皆さん納得の様子でした。

受講者アンケートでは、

「今日のお話を聞いて、自分の生き方・生活のあり方について気をつけたいと思った。」

「とても深い話でした。仏教について分かりやすく話していただいた。」

「分かったつもりでいたが、分かっていなかったことに気付いた。とても素敵なお話しでした。」

「自分をコントロールできる力を身に付けたい。」

「日頃疑問に思っていたことが解決でき、モヤモヤしたものがすっきりした。」

などの声が寄せられました。

生きていることが当たり前のことではなく、有難いことだと気付きました。仏教は、自分自身を見つめ心のあり方を見つける、よりよく生きるために学ぶものと理解できた講座でした。