2025年7月

令和7年度 山口県立大学・柳井市サテライトカレッジ1回目を開催しました。

令和7年7月12日(土)柳井市文化福祉会館にて、柳井市サテライトカレッジ 第1回目を開催しました。

今回の講座テーマは、「エシカルツーリズムを通した地域の魅力発見と環境改善」と題し、山口県立大学 国際文化学部 情報社会学科 藏田 典子 講師が、受講者24名に対し講義を行いました。

柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子1

エシカルツーリズムとは、単に観光地を巡るだけの観光ではなく、旅先の町や人、自然に触れ環境に配慮した行動をする旅行のことを言います。講座では、瀬戸内地域の海岸ごみ問題を解決する取り組みや、山口県立大学で実施している情報技術を用いた海ごみの把握など、エシカルツーリズムについて学びました。

柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子2

海洋ごみの多くは、陸上のごみが風や海流によって運ばれたもので、特にプラスチックごみが大きな問題となっています。海洋汚染や生態系への影響、漁業や観光への影響など、様々な問題を引き起こしています。

そこで海洋ごみを調査するため、海岸をドローンで撮影し、その画像をAI(人工知能)で分析する研究の取り組みが紹介されました。実際に調査で使用しているドローンや、AI(人工知能)が分析した海岸ごみの動画を見ました。

世界の海に漂う海洋ごみや、日本からの流出量が大量であること、海洋ごみが増加の一途をたどっていることをクイズなどから学び、深刻な問題に直面している現実を知りました。

柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子3
柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子4

次に、特定の観光地に観光客が過度に集中し、地域住民の生活や環境に悪影響が生じるオーバーツーリズムについて説明がありました。オーバーツーリズムの原因の一つとして、SNSの普及が挙げられます。SNSで「映える」写真が拡散されると、今まで観光地ではなかった場所が注目を集め、観光客が集中することがあります。一度に多くの観光客が訪れると、ルールやマナーを守らない一部の人、ごみのポイ捨て、地域住民とのトラブルなどの問題が出てきます。その一方で観光客が増えることで、地域の活性化と経済の好循環につながり地域振興に役立つという側面もあります。

柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子5
柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子6

単に旅行をするだけではなく、環境や地域社会に配慮し、持続可能な形で旅行を楽しむのが、エシカルツーリズムです。具体的には、公共交通機関の利用や、マイボトル・マイバッグを持参する、地元の食材を使った料理を食べる、地域の人々と交流し地域経済の活性化に貢献するなど、ちょっとした工夫で旅先の環境保全に貢献できる旅行が出来ます。

受講者の方は、自分たちができるエシカルツーリズムはどんなことがあるのか、暮らしの中でどんなことができるかなどを書き留め、真剣な面持ちで受講しておられました。

柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子7
柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子8
柳井市サテライトカレッジ 第1回目の様子9

受講者アンケートでは、

「旅行をする時は観光重視だったが、今後はエシカルツーリズムを意識してみようと思います。」

「色を使った表現が、しっかりとした意味を持っていることに感心しました。」

「ゴミを減らせるような買い物を心掛けたい。」

「プラスチックごみの多さにビックリしました。今日から自分にできることを少しでも増やしていきたい。」

「素晴らしい研究活動をされていることを聞き、力をもらいました。元気が出ました。」

「エシカルツーリズムという言葉を初めて聞きました。これからは環境や社会のことを考えて、旅行や買い物をしようと思います。」

などの声が寄せられました。

旅行者と地域が共存するエシカルツールズムを実践することで、環境意識が高まり、地域への愛着や誇りが高まると感じた講座でした。

令和7年度 山口県立大学・美祢市サテライトカレッジ1回目を開催しました。

令和7年7月5日(土)秋芳地域まちづくりセンターにて、美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子を開催しました。

今回の講座テーマは、「色を使った英語の慣用句を知っていますか?」と題し、山口県立大学 国際文化学部 国際文化学科 スワンソン・マーク 准教授が、受講者16名に対し講義を行いました。

美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子1

実際の講座進行は英語と日本語の両方で行いました。ネイティブな英語に触れることで、多文化を意識し英語により深く慣れ親しむことができました。

美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子2

日本語には、 「赤の他人」や「黄色い声」のように色を使った慣用句がありますが、英語にも"out of the blue "(突然)、"a golden opportunity"(絶好のチャンス)など色を使った表現があります。

講座では、色を使った英語の慣用表現についてクイズで楽しく学びました。例えば、「get the pink slip」という慣用句は「解雇される」という意味で使われますが、職を失う時の色がピンクで表現されるとは意外な感じです。その昔、アメリカでは、解雇通知がピンク色の紙で渡されていたことに由来するそうです。

その他にも、日常的に使用される色を使った英語フレーズを学ぶと同時に、文化や歴史についても理解が深まりました。

美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子3
美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子4

また、講座の途中には、参加者同士で色や言葉についてディスカッションする交流の時間もありました。自分の考えていることをできるだけ英語で話したり、わからない言葉や文章は日本語で話したり、自由に意見交換し、楽しく盛り上がった時間となりました。

美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子5
美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子6

色の見え方や感じ方は、住む国や慣れ親しんだ文化によって大きく異なります。例えば、虹の色は日本では7色ですが、アメリカやイギリスでは6色、中国では5色、南アジアでは2色だといわれます。こういった解釈の違いは、文化の違いや歴史的な経験に根ざしているそうです。

美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子7
美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子8

講座の最後には、学んだことを振り返ってみる時間がありました。色の慣用句について書かれた英文の説明として正しいものを選ぶ問題では、クイズで楽しく学んだことを思い出しながら記入されていました。

美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子9
美祢市サテライトカレッジ 第1回目の様子10

受講者アンケートでは、

「とても興味深いセミナーで、もっと知りたいと思った。」

「色を使った表現が、しっかりとした意味を持っていることに感心しました。」

「職を失ったときにピンクを使うなど、色のクイズが面白かった。」

「色の表現の面白さを知りました。ディスカッションも楽しかったです。」

「ていねいにわかりやすく説明していただき良かったです。」

などの声が寄せられました。

自分が知らなかった世界や価値観が世界にはたくさんあることを、英語の色を使った慣用句から学ぶことができました。異文化に触れることで、日本の文化の良さも再認識することもできた講座でした。

異文化を知ることは本当に楽しいです。

令和7年度 山口県立大学・長門市サテライトカレッジ2回目を開催しました。

令和7年6月17日(火) 日置交流プラザにて、長門市サテライトカレッジ 第2回目を開催しました。

今回の講座テーマは、「地名と遺跡からたどる古代の長門市」と題し、山口県立大学 国際文化学部 文化創造学科 渡邉 滋 准教授が、受講者37名に対し講義を行いました。

長門市サテライトカレッジ 第2回目の様子1

講座では、長門市(旧長門国大津郡)の古代における状況・特色について、当時の地名や主な遺跡を分析し、そこから分かる様々なことについて紹介がありました。

長門市サテライトカレッジ 第2回目の様子2

旧大津郡(現長門市)の地名の由来は、油谷湾の地形などから重要な港を示すことに由来する地名と考えられるが、海港には限定されない事などが紹介されました。

その他にも、三隅、深川、日置など長門市各地の地名の由来を解説されました。

長門市サテライトカレッジ 第2回目の様子3

また、古墳や遺跡の紹介もありました。

長門市油谷の王屋敷(向津具)遺跡から発見された、国の指定重要文化財「有柄細形銅剣(ゆうへいほそがたどうけん)」は今から約2000年前の弥生時代に作られた銅剣です。持ち手まですべてが青銅でつくられており、持ち手の把(つか)の先に突起がついているのが特徴で、全国で5例しか見つかっていない極めて珍しいものです。本州では長門市のみで、他には佐賀県の吉野ケ里遺跡などで発見されています。長門市の誇る遺跡出土品の話しに受講者の方は、頷きながら耳を傾けていました。

長門市サテライトカレッジ 第2回目の様子4
長門市サテライトカレッジ 第2回目の様子5

その他にも、雨乞台遺跡、白潟遺跡、糘塚古墳群、深川廃寺など様々な地元の話題に、受講者は、興味深く聞きながらメモを取られていました。

長門市サテライトカレッジ 第2回目の様子6
長門市サテライトカレッジ 第2回目の様子7

受講者アンケートでは、

「長門や日置の由来を知ることができて、歴史のロマンを感じた。」

「地名の由来は興味深かった。長門の遺跡や寺などと外部の関係を知ることができ、参考になった。」

「長門、大津など古代の様子が鮮やかに甦る感じがした。」

「自分の住んでいるところが、素敵な土地だと思い、嬉しかった。」

「もう一度、歴史を勉強してみたくなった。」

などの声が寄せられました。

地元の歴史については知らないことも多く、講座を聴き、地元の歴史は想像以上に深く、たくさんあることが分かりました。

歴史の面白さやロマンを感じ、もっと郷土の歴史を学びたいと思う講座でした。

令和7年度 山口県立大学・宇部市サテライトカレッジ2回目を開催しました。

令和7年6月14日(土) 宇部市立図書館にて、宇部市サテライトカレッジ 第2回目を開催しました。

今回の講座テーマは、「「調べもの相談」今昔:レファレンスサービスの変遷をたどる」と題し、山口県立大学 国際文化学部 文化創造学科 仲村 拓真 講師が、受講者23名に対し講義を行いました。

宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子1
宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子2

図書館では、相談を受け付けたり、調査に役立ちそうな資料を揃えたりして利用者の調べものを支援しています。これを「リファレンスサービス」と言います。今では多くの図書館で取り組まれているサービスですが、いつ頃から、どんな風に行われてきたのか、その変遷をたどりながら詳しい解説がありました。

宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子3
宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子4
宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子5

レファレンスサービスは、19世紀後半のアメリカで始まりました。1876年の全米図書館大会で、サミュエル・スウェット・グリーンが図書館での人的支援の必要性を提唱したことがきっかけとなり、公共図書館にレファレンスルームが設置されるようになりました。その後、レファレンスサービスは世界各地の図書館に広まり、現在では図書館サービスの重要な柱となっています。

宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子6

日本では、戦後、志智嘉九郎(しち・かくろう)がレファレンスサービスの重要性を提唱し、質問受付サービスを開始しましたが、サービス内容や定義については多くの試行錯誤が繰り返され、時代を経て現在に至ります。

レファレンスサービスの未来は、技術の進化と利用者のニーズの変化に合わせて、ますます進化していくことが期待されます。

受講者の方は、レファレンスサービスなど図書館に関する様々な内容の話しを、メモを取りながら聞かれていました。

宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子7
宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子8

会場には、レファレンスサービスに関する書籍の展示や、仲村先生が収集した古い図書館の図書掲出券や閲覧表、図書館の写真なども展示され、受講者の方は興味深そうに見ておられました。

宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子9
宇部市サテライトカレッジ 第2回の様子10

受講者アンケートでは、

「調べものをする時にレファレンスサービスを使ってみたいと思った。」

「図書館と、それに携わる人(司書、職員、利用者)の重要性がよく分かった。」

「図書館の必要性をますます感じた。」

「レファレンスサービスという言葉は聞いたことはあったが、意味は知らなかったので、今日の話を聞いて理解できた。利用してみたいと思った。」

「図書館に対する考え方が変わった。」

などの声が寄せられました。

わからないことがあれば、ネットで手軽に調べられる時代ですが、もっと詳しく知りたいと思ったり、知識を身につけようと思えば本を読むことが必要です。本がたくさんあり、調べものの手伝いをしてくれるレファレンスサービスまである図書館は、学習や自己成長をサポートしてくれる場所です。

もっと図書館を利用したいと思う講座でした。

令和7年度 山口県立大学・周南市サテライトカレッジ1回目を開催しました。

令和7年6月25日(水) 周南市学び・交流プラザ 交流室4にて、周南市サテライトカレッジ 第1回目を開催しました。

今回の講座テーマは、「認知症の人の介護で知っておきたいこと - 一人で悩まないために -」と題し、山口県立大学 社会福祉学部 社会福祉学科 横山 正博 教授が、受講者42名に対し講義を行いました。

周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子1

認知症のことについて一人で悩まないためにも、認知症がどのような病気であるかを理解しておくことが必要です。そこで講座では、認知症の人が見ている風景やその行動の特性を明らかにし、認知症の人に対する実際の言葉がけや接し方について学びました。

周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子2

現在、山口県では高齢化が進み、認知症高齢者が大幅に増加すると予想されています。県では、認知症の人やその家族が希望を持って暮らすことができ、本人や家族の視点を重視した地域づくり推進のため、認知症本人大使「やまぐち希望大使」を設置し、認知症の人本人からの発信をしています。その動画などを用い、認知症の現状紹介がありました。

周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子3

認知症の人の行動パターンについて、認知症の人が考えていることと周りの人が考えることの違いについて具体的な例を挙げて解説がありました。例えば、認知症の人が過去のことはよく話すが最近のことは覚えていないのは、認知症の人は、脳の中で新しい記憶を覚えておくことが難しく、過去のことを話す方が、現在のことを話すよりずっと楽だからという認知症の人の世界観を説明されました。

周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子4
周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子5

講座後半には、もしもの時に備え、自分が望む医療やケアについて前もって考え、周囲の信頼する人たちと話し合い共有する取り組み「人生会議」(ACP: Advanced Care Planning)について解説がありました。

周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子6

誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やけがをする可能性があります。命の危険が迫った状態になると約70%の方が、これからの医療やケアについて自分で決めたり、人に伝えたりすることができなくなるといわれています。

元気なうちに人生会議をしておくことは、自分の気持ちを話せなくなった「もしものとき」に、こころの声を伝えるかけがえのないものになることが分かり、受講者の方はテキストやノートにメモを取りながら真剣に聞き入っていました。

周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子7
周南市サテライトカレッジ 第1回目の様子8

受講者アンケートでは、

「認知症に関して新たな知識を得た。大変勉強になった。」

「認知症の人がどういう気持ちで生活しているのか分かった。介護の人は自分の考えを押し付けてはいけないと思った。」

「日々、認知症の母を介護して落ち込んでいたが、講座を聴き気持ちが少し楽になりました。」

「人生会議をしたいと思った。家族で話し合いたい。」

「現場での体験談や対処の仕方、認知症の人がどう考えているかなどよく分かった。」

などの声が寄せられました。

認知症は誰でもなり得る可能性のある症状です。認知症に対する正しい理解を深めると共に、早期治療に備えることが大切だと理解した講座でした。