平成30年度キャリアアップ研修「カウンセリングの理論とスキル」を開催しました


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2018.09.20

 本学では、現職者のスキルアップや職場復帰のための再教育等を目的とした専門職向けの研修を実施し、地域における教育・福祉・医療等の分野の充実を通して、県民が安心して暮らせる地域づくりを目指しています。

 9月13日(木)、「カウンセリングの理論とスキル」を開催し、県内各地の医療保健福祉機関等から看護師、介護福祉士、ケアマネージャー、社会福祉士など41名が参加しました。
 この研修では、臨床心理学の立場からカウンセリングの理論と技術について、講義及びロールプレイ等の体験学習を行い、福祉や医療の現場で役立つカウンセリングマインドの修得と技術の獲得を目指します。
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 はじめに社会福祉学部の大石由起子准教授が、現在のカウンセリングの基礎的な考え方を提唱したアメリカの臨床心理学者ロジャースの考え方に沿って講義を行いました。
 カウンセリングとは、悩みを持つクライエント(来談者)が自分の内面を語ることでこころの整理を進め、問題の解決策を自己決定できるよう対話によって支援することです。
 カウンセラーの基本的態度として「ロジャースの三条件」というものがあり、どのような話でも関心を持って聴くこと、相手の立場や考え方に即して理解をすること、そして、カウンセリング際に生じた自身の感情を意識化して受け入れ、無理して理解者であるかのように偽らず、正確な認識を行える安定した精神でいることが必要といった解説がありました。
 また、クライエントの発した「怒り」「悲しみ」などの感情表現を反復することで、無意識の中にあった思いを明確にするなどのスキルも学びました。



 続いて、臨床心理士の林典子氏と大石准教授がカウンセリングのロールプレイのデモンストレーションを行いました。カウンセラー役を大石准教授が、クライエント役を林氏が担当し、30分間の模擬カウンセリングを行ったあと、気付いたことなどをお互いにフィードバックしました。

 午後からはデモンストレーションを参考に、受講生同士でロールプレイを行い、そのあと、参加者全員で振り返りをして疑問などを共有しました。この流れをカウンセラー役とクライエント役を交替して2回行います。

 30分では終わらないペアがあったり、クライエント役の話にカウンセラー役が感情移入をして自分の気持ちが強く出てしまったというような報告があったり、受講生はカウンセリングの難しさを感じつつも、高い意欲で取り組んでいる様子がうかがえました。

 講師から、感情移入してしまうのは人として当然だとしつつも、入れ込み過ぎていないかの判断が必要であることや、カウンセリングはクライエントとの相性にも左右され得るといったアドバイスがありました。
 受講生からは 「これからは面談の際に、相手の状況を考えるなど今日の経験を活かしていきたい」「カウンセリングされる側の気持ちを知ることができ、勉強になった」などの感想がありました。