「温情総理」の温情
総理は飛行機を降りたのち、日本政府の高官と握手をしたあと、すぐに出迎えの人々の中に入っていった。まず日本の青少年たちに歩み寄り、彼らの歓迎のパフォーマンスをしっかり見たのち、彼らに声をかけ、再三にわたり謝意を示した。最後に華僑華人代表のところにきて、一人一人と握手をして声をかけてくださった。夜8時40分、日中韓三国首脳の政治日程が終了したのち、すでに連続十数時間の激務をこなしているにもかかわらず、九州国立博物館で駐日大使館、領事館職員、華人華僑代表、留学生代表に接見した。総理自らが我々の方に歩み寄り、握手をし、声をかけてきた。記念撮影のあと、立ったままで25分間のスピーチがあった。総理の謙虚で穏やかな人柄、真心のこもった誠実な語り口に、その場にいた者はすべて深く感銘を受けた。
効率の高い、献身的な仕事ぶり
夜の会見時、温総理は我々にその日の厳しいスケジュールについて、「我々の今回の訪問は非常に短時間で、朝8時に予定通り北京を出発し、夜は北京時間12時(日本時間深夜1時)に北京に戻る。」と、語った。先日『人民日報』の記者が『温総理の訪日15時間の強行軍に同行する』という記事を書いたが、それには、以下のような、より具体的な当日の総理の日程が載っている。
8:00 | (北京時間)北京空港を離陸 |
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11:20 | (日本時間)福岡空港に着陸(歓迎式典終了後、車でホテルニューオータニに行き、あわただしく昼食をすませる) |
13:00 | ホテルニューオータニでイミョンバク韓国大統領と会見し、その後車で太宰府市に移動 |
14:00 | 九州国立博物館で麻生太郎首相と会見 |
15:00 | 日中韓三国首脳会議に出席 |
17:10 | 『三国間パートナーシップに関する共同声明』署名 |
17:20 | 三国青少年代表に会見 |
18:10 | 共同記者会見 |
18:45 | 麻生首相の歓迎晩餐会に出席 |
20:20 | すべての政治日程終了 |
20:40 | 駐日大使館、領事館職員、華僑華人代表、中国資本の企業代表、留学生代表に接見 |
北京を離れてから12時間、休憩時間もなく働き続けて、スピーチでは少し声がかすれていたが、華僑華人の今回の歓迎に感謝し、昨年の「氷を溶かす旅」に対する支持への謝意をあらわした。総理がすでに60歳を過ぎている身で、これだけ長時間の激務をこなしている姿には、本当に心が打たれる思いであった。
日中、中韓関係の重視
温総理はスピーチの中で「日中韓三国は隣国で、いずれも東アジアで影響力を持つ国家である。平和友好、協力発展は、三国人民の共通の願いであり、東アジアの繁栄、安定に不可欠のものである。今回、発表した『三国間パートナーシップに関する共同声明』は、三国のパートナーシップを確立し、三国首脳による会談実施を制度化した点で意義深く、日中韓の協力関係が新たなる段階に進んだことを示している。来年は中国で三国首脳会談を行う。中国は日本、韓国と共同し、三国の協力関係をさらに進展させたいと考えている。」と語った。
温総理は以前から、日中両国の世代を超えた友好の基礎は民間にあり、人々の心が大切である、日本の人々を信じ、彼らに希望を託そうと語ってきた。総理はまた、在日華人華僑に中国人の才智を発揮し、日中両国の友好関係の更なる発展に貢献してほしいと、切なる希望を語った。
勤勉、質素、節約の美徳
これらは二つの面で見られた。まず第一に、温総理は今回の訪問では宿泊をしなかった。すべての職員がホテルに一部屋も借りることなく、当日夜北京に戻った。これは中国首脳の外遊では初めてのことである。国家のために支出を抑えようとしている。第二に、温総理が今回乗った飛行機はボーイング767型機を改装したもので、いつものボーイング747型の政府専用機ではなかった。報道によると、767型機だとジェット燃料を三分の一節約できるそうである。一国の総理がこれほど、勤勉、質素に、国家のために一銭の金、一滴の油を節約しようとする姿には感服せざるを得ない。
夜、福岡市内に戻るバスのなかで、こぬか雨降る夜空を見上げながら心の奥で「総理、道中ご無事で」と祈った。