釜山大学校 国際文化学科3年 松井乙未 <最終号>

はじめに

 本格的な寒さを感じる季節になってきました。寒波の影響で釜山でも氷点下を記録する日が続き、韓国の冬を肌で感じました。12月以降は新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて厳しい制限が設けられ、有意義な年末年始を送ることはできませんでしたが、お互いの安否を確認したり新年の挨拶を送り合いました。

期末テストについて

 今回の期末テストは『日本語史』と『ジェンダー・セクシュアリティ、そして人権』の2科目のみを受けました。
 『日本語史』は前回の留学体験談でも記述したとおり中間テストがなく、テスト範囲が授業で取り扱った全ての範囲だったためテスト勉強を1ヶ月前から始めました。資料が日本語で記されている点や、テスト本番は日本語で回答しても良かったおかげで言語面の心配はありませんでしたが、文法や発音の変化の流れを覚えるのがとても難しく苦労しました。日本人でも理解が難しい内容を韓国の学生は外国語の資料を使って勉強していることに同じ学生として素晴らしいと思いました。
 『ジェンダー・セクシュアリティ、そして人権』は前回と同じ記述式のテストでしたが、中間テスト後にグループ別でプレゼンをしました。韓国の大学では授業が相対評価のため競争が非常に激しいのですが、私だけが外国人なことでグループの足手まといにならないよう資料集めや発表を普段の何倍も頑張りました。発表はスタディルームを借りて行ったのですが、私以外全員1年生だったこともあり、「コロナのせいで友人が全くいない」「学科の同期の顔もほとんど知らない」などコロナ禍での1年生の生の声を直接聞くことができました。

出国準備について

 日本に帰国する前に、主にいくつかの手続きをする必要があります。今回は手続きの内容別に手順を紹介していきます。

荷物の発送
 服など生活必需品やお土産を送るには、韓国の郵便局のEMS(国際スピード郵便)が早くて便利です。現在は新型コロナウイルスの影響で一部の地域にはEMSで送ることができなかったり、船便とEMSしか受け付けていなかったりと不便ではありますが、日本に送ることは可能です。
 郵便局は最も近いところだと大学内の施設である문창회관(ムンチャン会館)の2階にあります。日本だと郵便を送る時は家で荷物をダンボールに詰めてから送ることが多いですが、韓国だと荷物を直接持っていって郵便局で箱詰めすることが多いです。テープやハサミなどの包装に必要なものは全て揃っているので、荷物が少ない場合は荷物をそのまま持っていって郵便局で箱詰めしてもいいと思います。ダンボール、封筒、衝撃緩和材は有料で、本来は現金で購入する必要がありますが、大学内の郵便局だと銀行の口座にネットバンキングで振り込んで購入することも可能です。EMSは重さで値段が決まるので、大きいダンボールにまとめて送ることをおすすめします。ダンボールは1~6号までありますが、最近は5号までしか販売していない郵便局が多いそうです。大学内の郵便局では窓口に問い合わせることで6号サイズのダンボールを購入することが可能です。私はダンボール6箱(小3箱+大3箱)で送り、約50万ウォンかかりました。


送料は日本のクレジットカードでも支払い可能です

 また、現在は郵便局の公式アプリから発送手続きをしてから指定の場所に荷物を置くだけで非対面の発送も可能です。送り状もアプリで入力が可能で、手書きで送り状をいちいち書く手間も省けるためとても便利です。私は出国直前に発送したためアプリは利用しませんでしたが、留学中に荷物を送る必要がある際はアプリを利用して手間を省くのもいいと思います。


船便で送る場合も発送手続きはできますが、荷物を郵便局まで持っていかなければならないそうです。

PCR検査
※2021年1月時点で出ている情報のため、情報が変わる可能性があります。
 今年の1月から、出国する際にはPCR検査の陰性証明書が必要になりました。日本に入国する際は指定のフォーマットで書かれた証明書か、英文で書かれた証明書を提出するよう外務省から求められています。詳しくは領事館のホームページを参考にしてください。

釜山領事館ホームページ

 釜山にはPCR検査を受けられる病院がいくつかありますが、英文で検査証明書を書いてくれる病院は多くありません。また、病院によって検査費用が大きく異なり、検査費と証明書発行代で17万〜35万ウォンほどかかります。
 私は동래구(東萊區)にある대동병원(大東病院)でPCR検査を受けました。동래역(東萊驛)から歩いて5分ほどのところにあります。PCR検査の場合は病院内に入らず、病院に併設した葬儀場と駐車場の間にある白いテントを目印に行くと分かりやすいかと思います。


検査ブースが分からず遠回りをしてしまいました...。

 検査ブースに到着すると、看護師の方からどういう用件で検査を受けたいのかを聞かれるため、海外に出国するためと伝えるだけで大丈夫です。その後、簡単な問診票を記入し、問診票に記入した電話番号に病院の先生から電話がかかってきます。「コロナの症状はありませんか」など、簡単な質問を2〜3つほど尋ねられるので自分の体調に合わせて答えてください。非対面の診察が終わると、呼ばれるまでの間に検査費を支払うようになります。検査費用は19万ウォンで、日本で発行したクレジットカードでも支払いが可能です。検査が終わればすぐ帰宅しても大丈夫です。

 実際に대동병원(大東病院)で 検査を受けた人のブログを参考にしました(韓国語)。検査の時間などの詳細はこのブログを見てから行くことをおすすめします

 PCR検査の結果は基本的に検査を受けた次の日の午前中に来ますが、週末に検査を受けた場合は月曜日に結果が出るそうです。結果はカカオトークに送られてくるので、結果が送られ次第診断書を受け取りに行く必要があります。


午前10時頃に送られてくると聞いていましたが、8時半過ぎに送られてきました。早い!

 대동병원(大東病院)では日本の外務省の指定のフォーマットで診断書を書いてくれるので、予めフォーマットを印刷して持参することをおすすめします。私は急いで病院に行ったのもあって頭が回らずフォーマットを持参するのを忘れてしまいましたが、持参しなくても病院が古いフォーマットで作成してくれました。診断書を受け取る際は、通常の診断書の受け取り方とは異なり호흡기안심진료센터(呼吸器ケアセンター)で受け取り手続きをする必要がありますが、名前が変わったらしく、호흡기전담클리닉 선별진료소(呼吸オールインワンクリニック)に行けば受け取れます。診断書は別途2万ウォン支払う必要があります。検査代と合わせて21万ウォンかかりましたが、他の病院に比べると安い方だと思います。


黄色と青の看板が目印です!

退寮
 寮を出る時には、대학생활원(大学生活研究所)に退寮申請を出す必要があります。退寮する2週間前までに퇴사예정일신고(退寮日)を申告し、退寮日当日は退寮点検用に部屋の写真をメールで送信することと、退寮申告書を警備室に提出しなければいけません。退寮する日によっては寮費が返ってくることがあるので早めに申告することをおすすめします。今回は出国のフライトが何度かキャンセルになったこともあって出国の数日前に退寮申請を出しました。


ネット上で手続きがほとんど終わるのは韓国の良いところだと思います

1年間の留学を終えて

 3月に留学が始まってから様々なことを肌で感じることができました。日本でずっと韓国語を勉強していましたが、現地で韓国語を使いながら過ごすことで1年という限られた時間があったにも関わらず日本にいたときの何倍も多くのことを学べた気がします。特に、新型コロナウイルスの影響でできることが限られている状況下で何ができるかを考え、友人を作ることに重きを置いて活動していました。おかげでこの状況下でも人との関わりを大切にすることができ、目標だったスピーキングの向上に大きく貢献したと感じています。
 私の性格上、ここまで深くのめり込むことができたのは韓国語ぐらいですが、「勉強」としてではなく「趣味」「特技」として楽しみながら学ぶことがどれだけ大切かを改めて感じることができました。韓国で積んだ経験をもとに、新たな目標に向かって「楽しみながら」努力していこうと思います。