ナバラ州立大学 国際文化学科4年 植木惠理奈 <最終号>

 新型コロナウイルスの影響で3カ月縮小され留学生活が終わりました。急でしたのでやりかけていたこと、やり残したことは山ほどあり消化不良に感じています。しかしスペインで過ごした7か月間はとても充実したものでした。今回は前報告書から帰国までの2週間での出来事、まとめを述べます。

帰国前

 2月末、まだ感染者数は日本が上回っていました。私もヨーロッパには関係のないことと思っていましたが3月に入り、一週間でスペインの感染者数は日本を超えました。その広まり方はイタリアの状態とよく似ており、それ以上に速いスピードでした。ヨーロッパでは人々が頻繁に国境を超えて移動しているため1カ国で起こったことが他国にも影響します。しかしスペインの感染者数が日本を越したときもなお、スペイン人の多くはその状況を把握していませんでした。予防のためにアジア人がマスクを着けていると視線を集めることはもちろん、通りすがりにコロナウイルスと言われたというアジア人留学生もいました。マスクを着けている私たちアジア人留学生をみたスペイン語の先生にも、マスクに予防効果がないことや、過剰反応であると言われました。スペインではハグとキスが挨拶です。接触が多い上に予防をしていない、コロナについて何も知らないことが状況を悪化させることにつながったのだと思います。また帰国することになった週のはじめには隣町で医療崩壊が起こり、まさにイタリアと同じようになっていました。それでもなお状況を知らないスペイン人が多かった印象です。差別を受けることよりも、何も知らない人たちが多いことが怖いと思った1週間でした。一日で荷物をまとめ帰国しましたが、パンプローナから空港までの電車では同じように自国に帰る多くの留学生がいて、その多くがマスクとゴム手袋をしていました。とても異様な光景でした。

今後とまとめ

 今後はオンラインでUPNAの授業を続けていきます。またスペインで受験予定だったDELEを日本で受験しようと考えています。スペインでやり残したことはたくさんありますが、切り替えてこれからもスペイン語の勉強を続けていきたいと思います。
 スペイン留学を振り返り、語学や文化の学習はもちろん自分自身いろいろな面で成長することができたと思います。留学中は自分で選んで行動しなければならないことが多くありました。周りに流されるのではなく考えて選択し、行動する力をつけることができたように感じます。また、スペインで生活しているとスペイン以外のヨーロッパの文化に関わることがありました。世界を多方面からみる楽しさを知ることができた今回の留学は、非常に貴重な経験です。
 留学期間が短縮されたことは非常に残念でしたが、今回のような状況の中で柔軟に対応して行動できる力がグローバル社会の中で生きる私たちにとってどれだけ重要なことか、身をもって学ぶことができました。スペイン留学で学んだことをこれからの学びや生活に生かしていきたいと思います。


きれいだったパンプローナ