曲阜師範大学 国際文化学科3年 千葉明里 <2号 2019年5~6月>

初めに

 曲阜師範大学での留学生活が始まって4か月が経ちました。曲阜では雨が降ることが少なく、35度以上の暑い日が続いています。端午節(日本での「端午の節句」)に旅行で青島を訪れた時は雨が強く降っていましたが、曲阜で傘をさした回数はこの4か月で1回しかありません。そのため、日本のようなジメジメとした暑さはなく乾燥しています。今回の定期報告では、私が中国に来て感じた日本との違いについて紹介します。

中国の交通事情について

 日本とは違い、車は左ハンドルで右側通行です。中国の車の運転は日本に比べると非常に荒いです。車を追い越して走行する人が多く、ほぼ常にクラクションの音がします。日本の場合クラクションはあまり鳴らさないように自動車学校で教えられますが、中国では歩行者やほかの自動車に注意を促すために頻繁に使っているようです。日本では歩行者がいれば車は停まりますが、中国では車が優先で歩行者は車の間を縫って道路を渡ります。中国に来たばかりの頃は中々道路が渡れずに困っていましたが、今では現地の人と同じように渡ることができるようになりました。さらに、横断歩道に信号がないこともあり、中々渡れないこともあります。曲阜ではセンターラインの代わりに道路の真ん中が柵で仕切られていることもよくあります。


センターラインに柵のある道路
道幅は日本に比べると広いため、頻繁に車が追い越し走行をします。


信号のない横断歩道
歩行者が渡っている間も、車が停まることはほぼありません。

 曲阜での交通手段は、バスや自転車、電動車と呼ばれるバイクのようなものが多く使われています。  曲阜のバスは一律1元(日本円で約18円)で乗ることができます。旅行などで使う高速鉄道(新幹線のようなもの)の駅までも曲阜師範大学から1元で行くことができます。さらに孔子の出身地としても有名な尼山までも1元で行くことができます。支払方法は曲阜の場合、留学生や外国人は現金でしか支払うことができません。支付宝(「Alipay(アリペイ)」という決済システム)でも支払うことができるようですが、現在は中国の身分証が必要となるため曲阜では使えません。しかし、青島では「青島地鉄」というアプリで地下鉄やバスに乗れるようです。


バスの時刻表
時間が書いてあるのではなく始発と最終の時間が書いてあり、何分おきに来るかが書かれています。

 自転車や電動車は借りることもできます。街には様々な場所で貸し出し自転車や電動車があり、こちらも支付宝(Alipay)や微信支付(Wechat pay)でお金を払って利用することができます。決まった場所に返す必要はなく、使い終わったらその場に放置しておくだけで良いようです。


貸し出し自転車


貸し出し電動車

 タクシーも日本に比べて非常に安く乗ることができます。支付宝や専用のアプリでタクシーを呼び、支払いも支付宝や微信支付で行います。現金でも支払うことは可能ですが、お釣りを用意していないと断られることもあります。
 曲阜には地下鉄がありませんが、青島や上海など大きい都市では地下鉄を利用する方が便利です。青島では1駅1元程度で乗ることができ、上海では3元ほどで乗ることができます。青島では先ほどの「青島地鉄」を使えば切符を買う手間が省けます。上海では交通カードがあり日本のSuicaのようなものもあります。さらに上海にはどれだけ電車に乗っても定額のフリー切符があり、1日券は18元(日本円で約324円)、3日券は45元(日本円で約810円)で購入することができます。上海虹橋駅などの大きい駅では支付宝や微信支付で支払うことができますが、現金のみしか使えない場所もあります。

国際郵便と荷物の受取について

 国際郵便には二種類あり、到着までに1か月かかるSAL便と10日ほどかかる航空便があります。私は日本に書類を送るために航空便を利用しました。
 大学の近くに郵便局がありますが、この郵便局は規模が小さいため日本への郵便は送れないと言われたので、大学から歩いて30分ほどの場所にある別の郵便局から送りました。日本の宅急便と同じように送り主と受取人の名前・住所・連絡先を書き、郵便局の職員に郵便物と連絡先を明記した書類を渡して手続きをします。私は書類2枚とその書類を入れたクリアファイルを送り、送料は約200元(日本円で約3,600円)でした。実際に10日ほどで実家に送ることができました。国際郵便ではアルコールを含むものは制限があり送ることができない場合もあるため、化粧品や日焼け止めなどを日本から送ってもらう時は注意が必要です。
 国際郵便に限らず「淘宝(タオバオ)」などのインターネットサイトで買い物をした際も荷物は宿舎までは届けられず、学内にいくつかある荷物の収集所まで取りに行きます。荷物の番号と受け取り場所が書かれたものがSMS(ショートメッセージサービス)で届くため、その画面を収集所の人に見せて荷物を受け取るか、自分で棚から取り出して荷物を受け取ります。


荷物の収集所

食事について

 学内の食堂は山口県立大学に比べるととても広く種類もありますが、あまり清潔ではありません。ドアを閉めないため雀などの鳥がよく食堂内に入ってきます。さらに、中国の習慣では食べる際に出た鳥の骨やエビの殻などを机の上に出したままにします。それを片付けずに帰ってしまうため、机の上にゴミや食べかすなどが落ちていることが多いです。
 持ち帰るときは箱やパックではなく袋に入れます。麺類などの汁のあるものも袋に入れます。カップに入れて持ち帰る場所もありますが、日本のようにおかずごとに分けたりすることはなく、すべて同じ入れ物の中に入れて持って帰ります。
 さらに「美団外買」というフードデリバリーサービスが発達していて、携帯の専用アプリから注文すると宿舎の前まで運んでくれます。


食堂の机
食器がそのまま置いてあることもあります

休日について

 休日に体験したことについて紹介します。

尼山
 尼山は孔子の出身地として有名な観光地です。とても大きな孔子の銅像があり、外国人観光客も多くいました。


尼山の孔子の像


孔子にまつわる劇
尼山では孔子の生い立ちなどに関する劇を観ることができます。

青島旅行
 6月6日から6月9日まで端午節を利用して青島旅行へ行きました。同じ山東省でも曲阜とは気温が違い、6月でもとても寒かったです。


オリンピック記念公園
同じく旅行に来ていた人と現地で知り合い、一緒に観光しました。


青島の町並み

上海旅行
 コンサートがあったので週末に上海へ行きました。中国の歌手のコンサートでは携帯電話やカメラなどで自由に撮影を行えます。


コンサート会場の写真
開演前や後だけでなく、コンサート中も撮影をすることができます。

映画館
 大学の近くにいくつか映画館があります。映画のチケットも事前に支付宝で予約して買うことができ、大体20元(日本円で約360円)ほどで観ることができます。


映画館の写真
大学から徒歩20分程度にあるショッピングモールの中にある映画館です。日本の映画館と比べて広さや上演数はあまり変わりません。


映画のチケット
発券機でチケットを発券します。今回は中国語で「千と千尋の神隠し」を見ました。

最後に

 中国に留学してから、中国では携帯電話のアプリが必需品であると感じました。支払いだけではなくホテルや飛行機などの予約、タクシーを呼ぶとき、デリバリーを頼むときや映画のチケットを購入する際など、すべて携帯のアプリから行っています。日本でもキャッシュレス決済が広まりつつあり、コンサートなどの場面では電子チケットなども普及し始めています。しかし、インターネットが繋がらず支払いができないこともあったため、完全にキャッシュレスやアプリのみに頼ることは難しいと感じました。