慶南大学校 国際文化学科3年 折見菜緒 <2号 2019年5~6月>

はじめに

 あっという間に留学生活の半分が終わってしまい、慶南大学校は夏休みに入りました。なんとかついていかなければ!と必死に食らいつく目まぐるしい毎日でしたが、折り返し地点を迎えた今、ほっとするのと同時に、留学生活があと半分しか残されていないことにすでに寂しさを感じ始めています。今回は私が前期に履修した授業についてと、グローバルトウミ制度についてまとめます。

履修中の授業について

 前回の定期報告で、私が今学期聴講した授業について軽く触れました。今回は前期の授業をすべて終えたので、さらに詳しく説明します。
 まず外国人留学生を対象とした韓国語を学習する授業についてですが、文法、会話、読み書きの3種類があり、それぞれに初級クラスと中級クラスがありました。レベル分けテストなどはなく、自分でどちらかを選択して授業を聴講します。山口県立大学の先輩方から大学で韓国語を勉強してきた人には易しい授業だと聞いていたので、私は「韓国語会話中級」と「韓国語読み書き中級」の2つの授業を選択しました。文法の授業は他に聴講したい授業と時間が重なっていたため選択しませんでした。中級のクラスでは文法、会話、読み書きの3つの授業すべてで同じ1つの教科書を使用し、先生も同じです。文法の授業で学習した文型を用いて会話や読み書きを行うという形で授業が進行していきますが、文法の授業を取っていない生徒には先生が授業の前に「今日はこの文法を使いますがわかりますか?」と確認してくれます。ほとんどの文型は山口県立大学で学習したものなので、私はそこまで困ったことはありません。同じ中級韓国語の授業を聴講しているクラスメイトの韓国語の実力にはかなりのばらつきがあり、あまり韓国語ができない生徒に合わせて授業は進んでいくので少々退屈な時もありますが、韓国語で行われる授業に慣れることができるという点ではよいのではないかと思います。私のルームメイトは韓国語の初級のクラスを選択していたのですが、「ハングルを読む、書く」という0からのスタートなので、韓国語の授業を聴講する場合は中級クラスを選択することをお勧めします。
 「韓国語会話中級」の授業では資料を用いたプレゼンテーション2回とペアで行う会話のテスト2回、授業中の発表や発言などをもとに成績が決まります。プレゼンテーションは2回ともテーマが自由だったので気楽に行うことができ、会話のテストも授業中に学習した内容から出題されるので特に難しくはありませんでした。「韓国語読み書き中級」の授業では2回のペーパーテスト(持ち込み不可)と単元ごとに出される作文課題で成績が決まります。こちらのテストも授業中に学習した内容からしか出題されないのでしっかり勉強していれば高得点をとることが可能で、作文課題も授業内容を踏まえれば容易く書くことができました。「韓国語会話中級」「韓国語読み書き中級」の2つの授業では他国からの留学生との交流ができ、友人もたくさんできる点から選択して良かったと思っています。
 次に教養科目である「日本人の生活と文化」という授業についてですが、この授業は今年から担当教授が日本人になりました。韓国人から見た日本の文化を知りたいという動機から選択した授業だったので少し残念でしたが、日本について知っておくべき文化などを知ることができると思い聴講し続けることに決めました。内容はほとんどが前回述べた通り、小・中学校で学習する社会科の内容で面白みには欠けましたが、一度学習した内容であるため理解が簡単でした。もちろん韓国語で授業は進んでいくのですが、韓国人の先生が話す早くて方言の混じった韓国語ではない丁寧な韓国語で、私の知っている内容についての授業をしているのでリスニング能力を鍛えるのにはとても良かったです。この授業は2回のペーパーテスト(持ち込み不可)とレポート提出で成績が出されますが、先生が日本人であるためどちらも日本語での回答が許可されていた点がすごく助かりました。テストの問題はもちろんすべて韓国語なので用語を韓国語で知っておく必要はありましたが、それでも日本人には簡単だと思います。
 最後に私が一番苦戦した教養科目「韓国文学の理解と感想」についてですが、この授業は本当に大変でした。韓国の古典詩、古典文学、現代文などの文学について学びを深めていく授業なのですが、辞書にも載っていない古典用語の続出にかなり苦戦しました。毎回授業で扱う題材の予習は欠かせず、知らない単語の嵐と文章量に心が折れそうになることもしばしばありました。この授業は3人1組でのグループ活動形式で行ったのですが、このグループがなかったら私は途中で脱落していたかもしれません。私が日本人であることを知った先生がそのことを学生たちに伝えてくれ、日本語教育学科の学生と国際交流に興味があるという学生と同じグループになりました。この2人がサポートしてくれたおかげでなんとかこの授業を乗り切ることができたので感謝してもし切れません。外国人が1人だけということもあってか、ほかの韓国人学生もたくさんサポートしてくれました。成績はオープンテスト2回と課題提出2回、グループでの発表活動で決まります。テストは授業中に勉強した題材から学び取れる内容や筆者の考えなどをもとに自分なりの解釈を述べていく記述問題で、問題文や文章の内容は理解できていても先生の意図していることが何なのかを理解し回答するのが非常に難しかったです。課題はそれぞれ現代詩のパロディ制作と現代小説の登場人物探求でした。現代詩のパロディは比較的簡単だったのですが、もうひとつの登場人物探求が非常に苦戦しました。題材探しや小説を読んで内容を理解することだけでも大変なのに、その中の登場人物について性格や思想、他の人物との関係性などを読み取り人物像を作り上げるのは大変でした。グループでの発表活動では題材についてグループで話し合い、まとめた意見を交代で発表するというものでした。ここでは本当にたくさんグループのメンバーに助けられました。この授業は韓国人の友人なしには最後までやり遂げられなかったと心から思います。文学に興味のない人にはお勧めできないし、興味のある人でも後期に履修することをお勧めする授業です。


韓国語の授業で一緒だった中国・台湾の友人と

「韓国文学の理解と感想」の授業でサポートしてくれた友人と

グローバルトウミ制度

 去年まではグローバルバディ制度と呼ばれる、希望した留学生が韓国人学生と1対1でペアになって活動を行う制度がありましたが、今年からその制度が交換留学生には適応されなくなりました。その代わりにできた制度がグローバルトウミ制度です。英語、中国語、日本語が堪能な韓国人学生がそれぞれの国からの留学生の生活をサポートするという制度です。これは1対1ではなく、中国語圏の交換学生すべてに対して中国語トウミ(中国語が堪能な韓国人学生)が3人、といった具合になっています。日本人は前期の留学生が8人で、日本語トウミは1人でした。中国語圏の学生たちはよく中国語トウミの学生たちと一緒に出掛けたりご飯を食べたりしていますが、日本語トウミは1人であること、新入生であり自分のことに忙しいため、あまり日本人学生全体の交流はしていません。今年から導入された制度なのでまだ手探り状態なのでしょうが、これからもっと改善されたりトウミの数が増えたりすると韓国人学生側もやりやすくなるのかもしれません。

最後に

 私の留学生活も折り返し地点を迎えました。こちらの生活や韓国語での会話にようやく慣れてきた中で迎える夏休みをどのように過ごすのか、しっかり考えて来学期の自身の成長につなげていきたいと思います。