センター大学(2018年度交換留学生)国際文化学科3年 稲葉皐 <3号 2019年1~2月>


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初めに

 年が明け、新学期が始まり、秋学期同様に毎日忙しく過ごしています。つい先日帰国の飛行機を予約し、センター大学での留学生活も、もう残り少なくなってきているのを感じました。今回は1月・2月の出来事を報告します。

Centre Term・Centre Term Break

 センター大学では、1月3日から24日まで1日3時間ずつ、毎日同じ授業を受ける「センターターム」という学期があります。私は"FYS155 Hybrid Identities in the Global Age"という1年生用の授業を履修しました。この授業ではアメリカ人が持っている人種や言語、文化が関係した複雑なアイデンティティーをはじめ、Japanese Hip HopやK-popのアメリカナイズされた特徴、Cultural Appropriationなどについて毎日クラス全員でディスカッションをしました。アイルランドの交換留学生と私以外は全員アメリカ人だったため、最初、アメリカ人のアイデンティティーの複雑さに圧倒され、授業についていけるかどうか不安でした。しかしトピックが興味のある分野のものばかりだったため、楽しく勉強することができました。
 毎回の授業では、学生がペアを作り、課題のリーディングやポッドキャストを基にディスカッショントピックを順番で考え、プレゼンテーションやアクティビティを行いました。私はアイルランドの留学生とともに「Code-Switching」というテーマで方言やスラングを基にしたアクティビティを考え、クラスで発表しました。コードスイッチは日常的に二か国語以上話す人たちが使うのはもちろん、それ以外でも方言や状況によって一か国語しか話さない人にも使われます。アメリカでは人種間のコードスイッチもあるらしく、とても面白いトピックでした。また、ルイビルにあるスピードアートミュージアムに行ったり、大学内のシアターで映画を観たりなど、秋学期とは一味違った授業でとても楽しかったです。
 毎日のリーディングと各ユニットが終わるごとに提出するミニエッセイは大変だと思うこともありましたが、慣れてしまえばそんなに苦ではなく、映画やドラマを観るなどリラックスする時間を作ることができました。最終課題では授業内容に関係した「アート」を作り、約15分のプレゼンテーションを行いました。私は折り紙で立体的な花を作り、完成させるまでのプロセスと見た目の複雑さを、アメリカ人の多種多様なアイデンティティーに例えて発表しました。他の学生は動画や自画像などとてもクリエイティブなものを作っていました。クラスの雰囲気はとてもよく、たくさん学ぶこともあり、本当に履修してよかったと思えるクラスでした。
 センターターム後は春学期の開始まで1週間の休みがありました。無料シャトルバスに乗ってウォルマートに行き食材を買い込み、鍋やカレーなどで日本食パーティーや体育館で行われていたバスケットボールの試合を観に行くなど、キャンパス内で楽しく過ごしました。この休暇中は友人と毎晩夜通しでホラードラマを見ていたので寝不足でしたが、充実していました。


アイルランドの留学生の友人です。毎日授業後は図書館に直行し、2人でリーディングを頑張りました。


13枚の折り紙を使って作った最終課題です。くるくる回転して色や柄が変わります。クラスメイトや教授に驚かれました。

授業について

 昨年の11月初めごろにセンタータームと春学期の授業の履修登録を行いました。交換留学生は現地の1年生が履修登録をする期間に登録します。私がこの春学期に履修している授業は以下の通りです。

POL260 Intro to International Relations
 国際関係論の授業です。主に第一次・第二次世界大戦や冷戦について勉強しています。課題のリーディングの量は多くありませんが、内容がかなり難しく、毎回時間をかけて予習をしています。私にとって、この授業は今学期で一番難しい授業です。時々授業中にリーディングクイズがありますが、事前に教授が日にちと範囲を教えてくれるので準備をしてクイズに臨むことができています。アメリカがヘゲモニー国家として世界に及ぼしている影響や、リアリズム、リベラリズムなどについて習いました。春休み後には今まで学んだトピックを基にディベイトが行われる予定なので頑張りたいと思います。

ENG170 Better College Writing
 アカデミックなエッセイや論文の書き方について勉強しています。Definition Argumentとしてカリフォルニアロールについて3つのクライテリアを考え、5枚ほどのエッセイを書きました。また、アカデミックな場面で使う文法も習っています。セミコロンやコンマの使い方、受動態の使い方などを学びました。また、毎週水曜日は指定された記事をインターネットで読み、授業では筆者の書き方やオーギュメントについて議論します。この授業は他の授業に比べ、リーディングの量が少なく、難しい内容もあまりないので余裕を持って、楽しんで授業に臨むことができています。

ARS210 Introduction to Oil Painting
 油絵の授業です。絵の具や筆など道具をたくさん揃える必要がありました。授業中は教授のデモンストレーションが多くあるため、そこで技法を習い、主に平日の空きコマや土日に教室に行って作業をしています。毎回出される課題の量が本当に多く、遅い時には夜の1時、2時過ぎまで教室で課題をすることもしょっちゅうあります。クラスメイトとアドバイスを出しあって作品を仕上げています。今までに箱の絵やグラデーションを描いたりしました。

 課題で描いた箱です。パレットナイフで絵の具を扱うのは本当に難しいです。

EDU226 Technology and Education
 教育現場でのテクノロジーの使い方について学んでいます。ほぼ毎週プレゼンテーションがあり、大変だと思うこともありますが、内容が面白いので毎回楽しく勉強しています。ミッドターム後には近くの小学校に「新しいテクノロジー」としてウェブサイトやパソコンで使うことができるアプリを紹介し、それらを使って個人で1時間の授業をする予定です。本番はまだまだ先のように感じますが、今からしっかり準備をして挑みたいと思います。

 どの授業もリーディングや課題が多く、秋学期同様、毎日図書館で課題に追われています。秋学期のはじめよりはリーディングやライティングのスピードが上がったとは思いますが、内容を理解するのに時間がかかっています。現地の友人も春学期は秋学期よりも大変だと言っており、皆で励まし合って勉強しています。私は毎日すべての授業が午前中で終わるため、午後は課題をしつつも友人とジムに行ったり、映画を観たりする時間を作るなどメリハリのある生活を心がけています。

Intercultural Winter Ball

 1月半ばにISOL(International Student Orientation Leader)のサラが企画をしてくれたフォーマルパーティーがありました。学生たちはフォーマルドレスやスーツを着て、留学生は自分の国の伝統的な衣装を着て、みんなで一緒においしいご飯を食べて、踊るなど本当に楽しいパーティーでした。センター大学では、始業式のような式典やソロリティ(アメリカの大学にある学生団体のようなもの)のフォーマルパーティーなど、フォーマルな服を着る機会が何度かあります。そのため、センター大学に留学をする学生はそのようなパーティー用の服や靴を持ってくることをお勧めします。

 大盛り上がりのパーティーでした。美味しい料理を食べ、色々な人と踊って話をして、本当に楽しかったです。

Study Hard, Party Hard

 これは私の残りの留学生活での目標です。センタータームでは、毎日授業後は友人と図書館に直行して勉強し、週末は課題をしつつも、夜は思いっきりパーティーを楽しむという生活をしていました。たくさん遊んでいたにもかかわらず、成績はAをとることができ、また、友人の輪も広がり、本当に充実していました。たくさんの人と話したおかげで、英語を話すことにも自信がついてきたように思います。パーティーをたくさんしようというわけではありませんが、勉強も遊びも、何事にも一生懸命挑戦し、残り少なくなった留学生活を充実させていこうと思います。

ソロリティとフラタニティ

 センター大学には「グリークライフ」といって女子学生用のソロリティ、男子学生用のフラタニティという団体が存在します。これはアメリカの大学文化の1つであり、友人をつくって、ボランティア活動をするなど交流の場となっているようです。私の友人の多くがこれらの団体に所属しています。1年生の友人も「ラッシュ・ウィーク」と呼ばれる、自分の所属するソロリティ・フラタニティが決まる期間を終え、皆自分たちのグループのロゴマークが入ったTシャツを着て、楽しそうにラッシュ・ウィークの話をしてくれました。センター大学に来た頃は未知の団体でしたが、たくさんの友人ができ、イベントやパーティーにもたくさん誘ってもらい、アメリカンな体験をさせてもらっています。ここから友人の輪も広がりました。私もラッシュ・ウィークに参加し、仲良しの友人と同じソロリティに入りたかったのですが、センター大学での残りの時間の短さから参加を諦めました。センター大学に留学する皆さんもぜひ異文化体験として積極的に彼らと交流してみてください。

 各ソロリティ・フラタニティはキャンパス内に彼らの活動拠点となる家を持っています。そこでイベントやパーティーが行われます。

終わりに

 今私は自分の日本人としてのアイデンティティーにアメリカで学んだ現地のルールやマナー、コミュニケーションの取り方などが足されていき、新しく複雑なアイデンティティーを作っている最中なのではないかと思います。センター大学に来なければ決して知らなかった、できなかったであろう様々な体験をさせてくれる友人には本当に感謝をしています。限られた時間の中で、できるだけ色々なことに挑戦し、誘ってもらったことは基本的に二つ返事で引き受けるようにしていることで、私自身本当に色々なことを学べています。もちろん、時にはノーと言うことも大切です。残された時間はどんどん少なくなっていますが、悔いのないように全力で頑張りたいと思います。

 フェミニストクラブのガレンタインデーパーティーに参加しました。ガレンタインとは、「ガールズ」と「バレンタインデー」をかけて作られた単語です。ピザを食べながら女友達に送るバレンタインデーカードを作りました。


 プラスチックでできたスケートリンクでスケートをしました。センター大学のあるダンビルは本当に小さな町ですが、楽しめるスポットがたくさんあります。


 旧正月のパーティーです。みんなで赤い服を着て、おいしい中華料理を食べ、日本で正月を祝えなかった分、このパーティーで楽しくお祝いしました。