センター大学(2018年度交換留学生)国際文化学科3年 稲葉皐 <1号 2018年9~10月>


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はじめに

 8月14日の夜中にセンター大学に到着し、約3か月が経ちました。今では授業や課題にも少しずつ慣れてきて、大学生活を楽しんでいます。
 私は留学する前、ホームページに載っている先輩方の報告書を何回も何回も読んでモチベーションを上げていました。この報告書が来年度以降センター大学に交換留学をする学生・興味がある学生にとって少しでも参考になれば嬉しいです。

出国まで

 センター大学への派遣が決まったのは昨年(2017年)の7月でした。そのため、実際に出発するまでに約1年あり、あまり実感がわいていませんでした。5月の初めに、センター大学からメールで出発までに行わないといけないことと、「I-20」というアメリカでの留学に必要な書類が送られてきてから、やっといよいよ自分がセンター大学に行くのだと実感したのを覚えています。
 メールとI-20が届き、私が一番初めに行ったことは飛行機のチケットを取ることです。センター大学から送られてきたメールには、「8月14日にレキシントン空港に到着すること。」と書いてありました。8月14日といえば、日本はお盆休み真っ最中で、できるだけはやく航空券を取らないといけないと思い、旅行代理店で航空券(オープンチケットで往復約30万円)を手配してもらいました。
 次に私が行ったことはビザの申請です。アメリカに留学するためには、インターネットでビザの申請をしてお金を払い、領事館に行って面接を受けなければなりません。インターネットでの手続きはI-20をもとに自分の情報を入力し、最寄りのアメリカ領事館での面接を予約します。私は6月半ばに面接の予約をしました。ビザの面接に必要な書類や手順は大使館や領事館のホームページを参考にしてください。私は他の書類と一緒に戸籍謄本とそれを自分で英訳したもの、英文の財政証明書を持って行きました。書類に不備がなければ面接終了後、パスポートとともにビザが3日ほどで家に届きます。
 ビザを無事に取得した後、私が行ったことは病院に行くことです。耳鼻科の先生に英文で紹介状を書いてもらい、アメリカでアレルギーの薬がなくなった時に処方してもらえるようにしました。また、センター大学に留学する学生は破傷風(過去10年以内)、麻疹・風疹・おたふく風邪のワクチンを2回ずつ接種しないといけないので、私は破傷風とおたふく風邪のワクチンを打ちに病院へ行きました。アメリカでは歯医者が高いと聞いたので、歯の治療もしました。母子手帳の予防接種の記録とその英訳、Health History Formをセンター大学にメールで送りました。この母子手帳の英語訳は留学生用オリエンテーションでヘルスセンターに行く際に使うので、印刷して持参した方が良いと思います。

留学生用オリエンテーション・新入生用オリエンテーション

 レキシントン空港に到着し、荷物を受け取ると、昨年山口県立大学に交換留学生として来ていたジョン君とアナさんがISOL(International Student Orientation Leader)として迎えに来てくれました。久しぶりに2人に会えた時は本当に嬉しかったです。
 次の日から約1週間は留学生用オリエンテーションやキャンパスツアー、観光など予定が詰まっており、時差ボケで眠たくなるかもしれないと思っていましたが、そんな心配をする暇もなく、あっという間に時間が過ぎていきました。オリエンテーションの合間には、ISOLのみんながゲームや映画、ローラースケートなど、様々なアクティビティを用意してくれており、他の国から来ている留学生たちとも仲良くなることができました。授業が始まった今でも、時々ISOLのみんなや留学生たちと食堂でご飯を食べたり、遊びに行ったりしています。
 また、新入生用オリエンテーションにも参加しました。学長の家で行われたパーティーやボランティア活動、催眠術のショー、始業式に行きました。空き時間には体育館でバスケや近くのコンビニでおかしを買って友達と話すなどゆっくり過ごしました。最終日には、新入生の団体写真に、イギリス、アイルランドからの交換留学生とともに、こっそり紛れて写り、Class of 2022のTシャツをゲットすることができました。
 たくさんの友達ができ、毎日楽しく過ごせ、とても充実したオリエンテーションウィークでした。


留学生とローラースケートに行きました。次の日は筋肉痛で動けませんでした...


ルームメイトのお父さんが小型飛行機で大学の周りを案内してくれました。この写真は空から見たセンター大学です。

寮・食事について

 私の寮は、教室や図書館にとても近い所にあります。アナさんが私のルームメイトです。基本的に交換留学生のルームメイトは自分で選ぶことはできないみたいですが、私の場合は事前にアナさんが大学の事務に申請してくれたため、同じ部屋を使うことができています。角部屋で、窓が2つあり、他の部屋に比べてとても広いです。部屋の壁に折り紙やポストカード、クリスマスツリーの電球でデコレーションや黒板に月曜から金曜までのカレンダーを書いて、1日の終わりにバツ印をつけています(私たちはこのことを「儀式」と呼んでいます)。また、お菓子を食べながらいろいろ話をして、励まし合いながら課題をするなどアナさんのおかげで充実していて、快適な生活を送っています。夜中にスナック菓子やピザを食べながらガールズトークをするのが私たちの楽しみです。おかげで私たちは2人とも寝不足の日々を送っています。アナさんは今学期、日本語の授業を受けているため、時々日本語で会話をしています。
 食事は、学内にいる時は食堂かカフェで友達と一緒に食べることが多いです。食堂では、野菜を好きなだけ食べることができるので、毎日大量の野菜を食べています。アメリカに来て太るかなと思っていましたが、今のところは比較的ヘルシーな食事をとっているので、体重の変動はなさそうです。引き続きこの食事を続けて、太らないように気を付けていきたいと思います。学内のカフェでは、フレックスダラーというあらかじめ学生証にチャージされているお金で支払いをしています。食堂に行く暇がない時や少し小腹が空いた時にお菓子やコーヒーを買っています。また、時々友達と一緒に大学近くのカフェやレストランに行くことがあり、その度にアメリカンな量と大きさの食べ物を見てびっくりしています。メキシコ料理やアメリカの伝統的な朝ごはんなどを食べに行きました。


「儀式」が行われる黒板です。友達がメッセージを残してくれています。


課題に疲れて夜中にピザを注文しました。2人の心の中でピザのおいしさと健康に対する罪悪感が戦っていました。夜中に「お腹すいた!」と言って何かを食べることはしょっちゅうあります。太らないように気を付けたいと思います。


友達とメキシコ料理を食べに行きました。机や椅子がカラフルで可愛かったです。私はパクチーが大好きなので、パクチーがたくさん入ったメキシコ料理は美味しかったです。

授業について

 平日は授業・課題・食事の繰り返しです。時々図書館に住んでいるのではないかと思うぐらいずっと勉強している時もあります。
 また、全ての授業を現地の学生に混ざって受けるということは本当に大変です。慣れてきた今でも英語が理解できない時が多々あります。しかし、優しい友達が助けてくれるおかげでなんとかついていけています。友達には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。私が今学期に履修している授業は5つです。
1.EDU227 Practicum & Intro to Education
2.CRW110 Introduction to Creative Writing
3.ARS110 Introduction to Drawing
4.REL150 Western Religious Tradition
5.Center College Choir

1.EDU227 Practicum & Intro to Education
 アメリカの学校制度や教育について学んでいます。今まで教育哲学や、カリキュラムについて学び、課題は多いですが、私は日本の学校と比較しながら勉強しており、とても面白い授業です。
 授業の一環で、週1,2回、大学の近くの小学校へ授業見学に行っています。私は5年生のライティングとリーディングの授業を見学しています。子供たちが時々イディオムや単語、発音について私に質問してくるのですが、その度に私が答えていいのか...と疑問に思っています。この授業見学のおかげで、教科書に書いてあるアメリカの教育制度がイメージしやすくなり、授業が楽しくなりました。
 教授がとても優しい方で、オフィスアワー以外でも助けてもらっています。初めはアメリカの教育のことをほとんど知らず、授業中に自分の意見を言うことができませんでしたが、今では少しずつですが、ディスカッションの時間に手を挙げて質問や日本の教育と比較した意見を言うことができています。いつでも自分の意見を言うことは緊張しますが、これはどの授業でも言えることで、皆がこちらを向いて、頷きながら聞いてくれるため、発表のしがいがあります。中間試験の前に、3人組でディスカッショントピックを考え、そのトピックをクラス全員で議論するということがありました。私の班はGlobal citizenship educationについて質問を考えました。クラス全員の前で自分の考えた質問を発表し、意見を言うのは緊張しましたが、授業が終わった後にクラスメイトが「今日の議論はよかったよ!」「グッジョブ!」と言ってくれ、嬉しかったです。
 中間試験は今までのリーディング、授業内容、ゲストスピーカーの話の中から20問ほどの選択問題と2問のショートエッセイを書きました。授業で仲良くなった友達に助けてもらいながら一緒に勉強をして挑んだので、時間内に全て答えることができました。


教育の授業で仲良くなった友達と図書館で勉強をしていたら竜巻警報が発令され、地下に避難しました。警報は5分ほどで解除されました。警報が出ているのにみんな楽しそうです。

2.CRW110 Introduction to Creative Writing
 詩、ノンフィクション、フィクションのクリエイティブな書き方を学んでいます。今まで、英語で詩や物語を書いたことは全くなく、ましてや英語でクリエイティブに書くということは本当に大変です。課題も多く、毎日何かしらの詩や物語を書いています。教授や友達が私の書いたものを気に入ってくれるので、なんとかモチベーションを保って、楽しんで授業を受けています。オフィスアワーに自分の作品を教授に見てもらい、アドバイスをもらっています。
 授業では『ヘンゼルとグレーテル』の日本版として、『太郎と花子』という題で物語を作り、クラスで発表しました。話の中に日本の要素を入れることは大変でしたが、クラスメイトが褒めてくれたので、嬉しかったです。また「英語」について書いたノンフィクションをクラス全員の前で読んだ時には、英語と日本語の違いや、英語のダジャレなどのことを書いたので、クラスメイトから笑いをとることができました。クラスメイトがアドバイスや意見をくれるのですが、「最後の文章は読者の記憶に残るように短く、要点を言う方がいい」などのアドバイスが多かった中、あるクラスメイトが「どこも変える必要なんてない。この話はノンフィクションだし、書いたのはあなたなんだから。」という意見をくれました。私の書いた作品がそのまま評価されていると感じ、嬉しかったです。
 たまに予告なくリーディングに関して教授が問題を読み、それを聞き取って答える小テストがあります。しかし、問題を聞き取れず、聞き取れたとしても中々定義を説明するのが難しいので毎回撃沈しています。
 中間試験では、今まで書いた詩2つとノンフィクションを仕上げ、ノンフィクションを詩にする際に気を付けたいこと等のリストとともに提出しました。

3.ARS110 Introduction to Drawing
 鉛筆や炭を使って絵を描く授業です。スケッチブックや鉛筆セット、ねりけしなど準備しないといけないものがあります。この授業は朝8時から始まるので、前日の夜は「寝坊してはいけない!」と緊張しています。リーディングや課題が意外と多く、専門用語を覚えるのに苦戦しました。授業中に専門用語の小テストもありました。しかし、授業では、音楽を聴きながら絵を描くことができるので、楽しんで授業に臨んでいます。骸骨やカボチャ、瓶など様々なものを描きました。ルームメイトのアナさんが、私が課題で描いた靴の絵をとても気に入ってくれ、廊下の壁に飾っていました。毎日自分の描いた絵を見るのは気恥ずかしいですが、少し嬉しかったです。
 中間試験では、今まで書いた絵をポートフォリオにまとめて提出しました。


この骸骨を描きました。骨の微妙な曲がり具合を描くのは難しかったです。

4.REL110 Western Religious Tradition
 西洋の宗教として、今までにユダヤ教・キリスト教・イスラム教について勉強しました。昨年山口県立大学で宗教学を受講したので、その時に勉強したことが本当に役に立っています。この授業は私が今学期一番難しいと思っている授業です。毎回膨大な量のリーディングがあり、読み切れずに授業に行くことがしょっちゅうあります。今までで一番多かったのは70ページでしたが、中間試験後は200ページのリーディングがあるのでコツコツ読み進めたいと思います。教授の英語はとても速く、多くのスラングを使っているので、理解するのが大変です。しかし、教授はとても優しく、いつでも研究室においでと言ってくれているので、ほぼ毎週のようにわからないことを聞きに行っています。質問に行くと、ネットで調べた日本語で単語を教えてくれるのですが、唐突に日本語で単語を言われるので、時々びっくりします。また、授業中に小テストも行われるので、必死にノートをとって、勉強しています。いつも隣に座っている友達にわからないところを教えてもらい、テスト勉強しています。レポートのために教会の見学も一緒に行きました。授業でディスカッションをしている時に、日本には八百万の神がいると言ったら「多いね!!!」とその友達にびっくりされ、日本では鯨を食べるということにも驚いていました。
 中間試験では授業で習った3つの宗教の語句問題と選択問題、エッセイが2題出題されました。念入りに準備をしたつもりでしたが、かなり難しかったです。


授業で教会に見学に行った時の証拠写真です。いつも授業で助けてくれる友達の1人です。授業でたくさん発言をしていてすごいと思います。

5.Center College Choir
 この授業は毎週月曜の19時から21時に行われます。2時間ずっと歌っているので、かなり疲れますが、同じ交換留学生のアイルランド人の友達と楽しく歌っています。私達交換留学生は全員アルト2です。
 授業の前に、馬好きなソプラノ1の友達と夜ご飯を食べるのが楽しみです。9月の終わりに大学で行われたファミリーコンサートで歌を披露しました。3回しか練習せずに臨んだコンサートでしたが、なんとか形になり、歌うことができました。ホストファミリーがこのコンサートを聴きに来てくれました。

休日の過ごし方

 休日の昼間は友達とカフェや買い物、観光に行っています。今まで都市のルイビルやレキシントン、Mammoth Cave National Park、競馬場などに行きました。夜はパーティーに行きアメリカの文化を体験しています。パーティーでは、お酒を飲みながらゲームをしたり、踊ったり、友達の輪が広がるので楽しいです。遊びに行った次の日は図書館で勉強をしています。毎週日曜日には、なぜ金曜と土曜の間に少しでも課題を進めていなかったんだろうと後悔していますが、楽しんだ後に切り替えて勉強することでメリハリをつけることができています。
 Fall Breakはキャンパスに残りました。大学の周りのダウンタウンの散策やバスでレキシントンに行きました。久しぶりにいろいろ買い物ができて楽しかったです。4日間の休みのうち2日間は遊びに出て、残りの2日間は寮で映画やドラマを観たり、課題をすすめたりして、リラックスできたFall Breakでした。


Mammoth Cave です。世界で一番長い洞窟だそうです。中は乾燥していました。


湖でピクニックをしました。この湖にはクラゲがいます。


キーンランド競馬場に行きました。ケンタッキー州は馬や競馬が有名です。競馬場に行く時はおしゃれをするというルールがあるみたいです。実際にドレスやスーツを着ている人をたくさん見ました。


大学にある劇場で行われたミュージカル『オズの魔法使い』を観に行きました。衣装や舞台がカラフルで可愛かったです。


ホストファミリーと一緒にジャックオランタンを作りました。

終わりに

 この2か月間、文化の違いで悩んだり、落ち込んだりすることはほとんどありませんでしたが、毎日「英語をもっと話すことができたらなあ」と歯がゆい思いをしています。また、授業や課題など様々なことにストレスを感じる時も多々あります。しかし、友達や教授が励ましてくれるのでいつも「もっと頑張ろう!」と前向きな気持ちになることができています。気分が落ち込みそうになった時は友達とご飯をたくさん食べて、たくさんおしゃべりをしてリフレッシュしています。センター大学に来た時は、自分のことを何も話せない赤ちゃんのように感じていましたが、今では5歳の子供ぐらいに成長できたのではないかと思います。まだまだ留学は序盤ですが、あっという間に終わりが来ると思います。後悔しないように頑張ります。