曲阜師範大学(2018年度交換留学生)国際文化学専攻2年 中村光里 <4号 2018年9~10月>


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ごあいさつ

 曲阜市の秋はとても短く、暑さが和らいできたと思えば、いつの間にか冷たい風雨に見舞われ、急に気温が低くなりました。他の留学生たちも現地で分厚いコートを買い、冬に備え始めました。9月から新学期を迎えたことで、新しいクラスメイトや友人、先生に恵まれ、更に充実した交流活動を行っています。

新学期

 中国の学校は秋が入学シーズンのため、曲阜師範大学でも9月初旬に入学式があり、留学生も新たな「曲師生」として迎えられました。私は前学期から留学しているため、新入生ではありませんが、今学期から来た留学生にとっては、きっと中国の新入生たちと同じような新鮮な気持ちだったと思います。
 式典では、中国の新入生たちがあらかじめ練習していた論語の一説を、声をそろえて暗唱する時間が設けられていて、儒家思想を重んじる大学の方針が伝わってきました。また、かつて学科生生活を送っていた同大学の大学院生の話によると、去年まではこのような大々的な式典ではなかったらしく、曲阜師範大学の変化の中に自身がいることを感じました。
 式典会場では新入生たちが留学生に注目し、話しかけてきました。日本人や韓国人といったアジア系の留学生はあまり外見に差異がないため、ロシア人やアフリカ人留学生ほど注目はされませんでしたが、一度自分から話しかけると会話が広がり、新しい友人がたくさん増えました。彼らと一緒にサークル活動や宿舎・教室に遊びに行く機会が増え、とても楽しいです。また、全く中国語が話せない・聞き取れないことで辛い思いをしていた前学期に比べ、中国語での会話が苦ではなくなり、楽しくなってきました。

サークル勧誘活動日にて、国際交流ボランティアの皆さん・留学生のクラスメイトと

スピーチコンテストと演劇

 9月、スピーチコンテストと演劇に参加しました。スピーチコンテストは、各大学の留学生代表が5分ほどのスピーチを撮影し、それを本部に送り、選ばれた大学は大きな会場で再度スピーチするというものです。私は夏休みに5ユーロをくれた青年についてのスピーチを撮影しましたが、落選しました。しかし、スピーチの練習を通して新しい成語や単語、語法や語気表現を学ぶことができ、とても素敵な経験でした。
 スピーチコンテストの撮影が終わると、毎年、山東省教育テレビが開催している演劇大会に参加しました。これは、山東省の各学校から、留学生と中国人学生が協力して劇をするもので、もちろん全て中国語で行われます。曲阜師範大学からは、留学生は私と韓国人の男子学生1人、そして演劇サークルに所属している中国人学生たちが参加することになり、猛練習が始まりました。1日中練習することもあり、大変だと感じることもありましたが、人前で劇をするという緊張感により、練習に専念できていました。今まで経験のない踊りの練習も加わり、大変でしたが、本番では全力で演劇に集中でき、とても楽しかったです。今でも劇中の台詞は記憶に残っています。
 劇の内容は、山東省の昔話を基に作られていて、曲阜市を舞台に永遠の友情を表現しているものでした。調べてみると、日本文学の『雨月物語』の「菊花の約」は、この劇の原話を基にしており、中国から日本への文化的影響が見られました。

演劇サークルの皆さんと

演劇風景

県大生との交流

 山口県立大学には交換留学以外にも、8月下旬から9月中頃までの約1カ月を通して中国語や中国文化を現地で学ぶ「海外語学・文化研修(中国語コース)」があります。そのため、海外語学・文化研修の参加者たちと会う機会があり、一緒に交流しました。お互いの授業の内容や研修で印象深いことについて話をしたり、訪れた中国の場所を紹介し合ったりと、とても楽しい時間を過ごすことができました。

大学内で授業を受ける海外語学・文化研修の学生

たくさんの祝祭日

 中国の9・10月は「中秋節」、「国慶節」、「教師節」と祝祭日がとても多い時期でもあります。特に中秋節や国慶節は長期的な休日になっているため、多くの中国人が帰省や旅行で移動し、主要都市は旅行客であふれています。また、国慶節直前である9月28日は孔子の誕生日でもあり、28日までの約4日間、彼にゆかりのある尼山(孔子の生まれた山)・孔子研究院(孔子や儒教の研究機関)・三孔(孔廟、孔府、孔林)では大々的に祭典やパーティーが開かれ、盛り上がりを見せていました。このような複数の場所で祭典を開催する企画は今年が初めてであり、テレビ局や政府関係者が訪れたことによって各地からの注目を例年以上に浴びました。  9月10日の「教師節」は、恩師である先生を労う日です。中国ではこの日にカーネーションやひまわりの花を贈る習慣があるようで、私たち留学生も各クラスの先生へ花束を贈りました。日本にはない祭日なので、とても新鮮でした。
 「中秋節」は日本にもある「中秋の名月」に当てはまる祝日です。満月を鑑賞し、月餅を食べ、一家団欒を楽しむ日です。私も宿舎で月餅を食べました。月餅にはあんこ・ナツメ・肉・卵等餡が豊富にあり、お店でどれを食べるか選ぶことがとても楽しかったです。

万聖節(ハロウィーンデー)

 中国ではハロウィーンのことを「万聖節」と呼んでいます。大学内でも学生たちがハロウィーンのコスチュームを身にまとい、お菓子を交換していました。私もメイクをして、日本風の幽霊に扮して宿舎の留学生や中国人の友人にお菓子を配るという少し変わったハロウィーンを過ごしました。

ハロウィーンでの仮装写真

おわりに

 10月に済南市で初めてHSK(中国漢語水平考試)4級を受験し、現在合否の結果を待っています。12月にはHSK5級に挑戦するために、試験勉強に励もうと思います。また、1人での旅行もしてみたいため、週末を使い、11月以降は北京や上海など主要都市を訪れる予定です。留学期間も終わりに近づいてきました。悔いの残らないように、一日一日を大切に過ごそうと思います。