センター大学 国際文化学科4年 野口二子 <最終号>

はじめに

 前号でも記載しましたが、本来ならば十か月間の留学期間がコロナウイルスの影響により八か月へと短縮されました。最後まで留学をやり遂げることはできませんでしたが、八か月だけでも実りのある期間となりました。最終号では私が留学を通して成長したと感じたことについてまとめていきます。

語学力

 留学の一番の目的は語学力を向上させることでした。結論から言えば、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングすべての能力を磨くことができたと思います。
 一番苦戦したことは、リスニング力の向上です。相手が何を言っているのかを理解できないと会話が始まりません。留学当初は自身のリスニング力の低さに愕然としました。授業内容も理解できず、ディスカッションにも参加できず毎日が苦痛でした。それでも、わからなかったことについては繰り返し尋ね、徐々にネイティブのスピードに耳を慣らしていきました。また、日常生活の中で良いと思った表現のインプットとアウトプットを繰り返すことにより、自然とスピーキングの能力も向上しました。教科書には載っていないアメリカならではの表現を学び、"生きた英語"を身につけることができました。 さらに、リーディングとスピーキング力に関しては、膨大な量の課題をこなすことでかなりスキルアップしました。初めはあまりの課題の多さに苦戦し、毎日かなりの時間を費やしていましたが、それがボキャブラリーの増加、アカデミックライティングスキルの向上、文章の理解力向上につながりました。それにより、英文を読み書きするスピードが上がり課題に費やす時間も徐々に短くなりました。
 留学を終えてからはTOEICを一度も受験していないので具体的にどれほどスキルが向上したかはわかりませんが、語学力に関しては確実に成長をしたと感じています。

大学の近くにあるカフェがお気に入りでした。店員さんの愛想も良く、センター大学の学生証を見せると割引をしてくれるのでよく通っていました。

コミュニケーション力

 もともとコミュニケーション力は低くはない方だと自分で感じていましたが、留学生活では言語という壁が立ちはだかることにより、人に話しかけるのが億劫になっていました。特にアメリカでは日本と違い、他人が自分の意思を察してくれることが少ないです。したがって、何かを求める際ははっきりと自分の意見を言う必要がありました。初めは英語力に自信がなかったこともあり、無理をしてでも相手に合わせていました。しかし、吹きガラスの練習をしていた際、パートナーから「あなたが何をしたいかわからない」と言われ、初めて自分の意思を伝える重要性に気づきました。拙い英語で、それでも伝わらないときは絵を描いて「私はこれをやりたい」と伝えることで、相手も私の意思を尊重し、協力してくれるようになりました。この経験から、どうすれば自分の意見が伝わるか、どういう単語を使えば相手を不快にさせないかを考えるようになり、ボキャブラリーや発音、文法に注意しながら話すようになりました。留学当初はとにかく「伝わればなんでもいい」という意識でしたが、実際に会話をするうえでは相手の気持ちを考えながら話すことを意識しなければならないと感じるようになりました。
 また、ショッピングモールで買い物をしていた際、突然知らない人から「そのマフラーいいね」と言われました。日本では知らない人にいきなり声をかけることはそうそうありませんが、アメリカではこういったことがよくあり、驚きと同時に持ち物を褒められたという嬉しさも感じました。自分の思ったことをストレートに表現する文化は良くも悪くもありますが、たとえ他人であっても相手を喜ばせるような気さくなコミュニケーション方法は見習いたいと感じました。


留学生向けのパーティに参加した時の写真です。実際には留学生だけでなくアメリカ人の学生も多数参加し、一緒にご飯を食べたり踊ったりしました。

まとめ

 留学を通して一番成長したと感じることは、自分に自信がついたことです。異国の土地での生活は驚きや困難、新しさが大いに詰まっていました。前述したように、留学当初は言語という壁に阻まれ何をするにも億劫で自信がありませんでした。しかし、困難を一つ一つ乗り越えていったことで成長し、自信を持つことができるようになりました。留学生活が半年経った頃には、部活動にも積極的に参加し友人関係を広めることもできました。また、ホストファミリーからは「初めに比べて自信をもって話すようになったね」と言われ、会話をすることへの消極性を克服していたことに気づきました。もちろん自分一人の努力ではなく、周囲の人の支えがあってこそ成長できたと感じているので、友人や教授、ホストファミリーには感謝をしています。残念ながら留学最後の二か月が中断され、帰国することになりましたが、改めて留学をしてよかったと感じています。


中国語の課題を手伝ってくれた中国人学生たちです。いつも気さくで、大学で出会った際は日本語で「こんにちは」と声をかけてくれました。

センター大学にも桜と似たような木が生えていました。開花時期は桜とは少しずれていましたがこの木を見るたびに日本を思い出していました。