釜山大学校 国際文化学科3年 松井乙未 <1号 2020年3~4月>

はじめに

 はじめまして、こんにちは。釜山大学校に交換留学生として派遣中の松井乙未です。留学体験談を通じて、交換留学に興味を持っていたり、本格的に検討しているみなさんに役立つ情報や釜山大学校での生活のようすをお伝えしたいと思います。

留学までの流れ

 留学の準備や流れについて説明します。私が留学を目指していた側だったときにこの留学体験談が大きなモチベーションになったので、留学を目指しているみなさんの力になれたら幸いです。
※留学の準備の流れは変わる場合があるので、あくまで流れとして見ていただけたらと思います。

8/9 選考結果の通知
 私のときは夏休みに入ってからでしたが、例年は前期試験が終わるまでには結果が出るそうです。

9/17 留学手続き用の書類の提出依頼
 次の6つを提出する必要があります。
①留学志願書
②英文の成績証明書
③パスポートのコピー
④口座残高証明書
⑤スタディープラン
⑥証明写真
 夏休み中に全てしっかりそろえないと提出期限に間に合わないので、抜けがないように早めに準備したほうがいいと思います。また、志願書は保護者の方に書いてもらわなければならない部分があるので、帰省の際に書いてもらったり、郵便で書類を送って書いてもらう必要があります。
※釜山大学校からくる資料やメールはほぼ全て英語で書かれています。志願書も英語で書かなければいけないので注意が必要です。(提出書類のなかには韓国語で提出して良いものもあります。)

12/2 留学参加可否の最終確認
 初めて釜山大学校から直接連絡がきました。参加の有無をExcelに打ち込むだけですが、締切が非常に短いので、私は届いてすぐに回答しました。この他にも、大まかなこれからの予定などのお知らせが添付されていますが、あくまで予定なのでスケジュール帳などに書く必要はありません。

12/19 入学許可書の受取
 高等教育センターグローバル部門に原本を取りに来るようメールが来ます。冬休み前に取りに行くほうが無難だと思います。この入学許可書はビザを発行するときに必要な書類なので、きちんと保管しておきましょう。

12/24 ガイドライン・授業シラバスの配布、学籍番号の付与
 初日のオリエンテーション、ビザ、寮の申請などが書かれているガイドラインと、韓国語の授業のシラバスが配布されます。詳細が書かれたメールとガイドラインに必ず目を通し、印刷してアンダーラインなどを引いておいたほうがいいと思います。英語で書かれているので、軽く目を通すだけでは見落とす場合もあるので、私は時間をかけてチェックしました。学籍番号は別のメールで配布されるので、ガイドライン・シラバスが配布された時点ではポータルサイトにログインすることはできません。(学籍番号が分からない状態で何度かログインしたんですが入れなくて(当然)かなり焦りました...。)

12/26 資料配布
 大学のポータルサイトに寮申請の資料が配布されます。資料は英・中・韓の3ヶ国語対応で、読みやすいものを閲覧・印刷することができます。資料には、申請方法の他にも寮費の支払いや部屋に関する情報が載っています。寮費の支払いなどのお金に関するものは親と話すべきものなので、帰省のタイミングで話し合いました。年末年始に申請が始まるので、スケジュール帳などにメモしておくと忘れずに済むと思います。

12/31 寮申請
 12/31~1/3の間に寮申請が行われました。4日間しかないうえに年末年始なので忘れないように31日に行いました。申請はパソコンで行い、寮食の喫食回数(週5または週7、1日2食または3食)を選び、証明写真を添付します。修正は申請日以内であれば何度でもできます。

1/15 寮費振り込み
 1/10に入寮の許可がでたので、寮費の振り込みに行きました。私は郵便局で振り込んだのですが、最寄りの宮野駅近くの郵便局では海外送金は取り扱っていないとのことなので、商店街近くの中央郵便局へ行きました。持参するものは、次のとおりです。
①キャッシュカード
②顔写真付きの身分証
③印鑑
④留学関連の資料(寮申請や入学許可証など)
 窓口で対応をしてもらい、必要事項を書いた用紙を渡して窓口の方に送金をしてもらいます。寮費が10万以上かかることや、海外に送金するのもあって、送金理由や振り込むお金の出処など、いくつか質問されるので、きちんと答えられるようにしておいたほうがいいと思います。また、詐欺などではないことを証明するために、入学許可証、寮費の請求書、学校の口座番号が記載されている寮申請用のプリントのコピーをとってもらいました。正式な証明書を持っておくと信頼度が上がるので持っておくといいと思います。海外送金は1週間ほどかかるそうなので、時間を見つけて振り込むといいと思います。

1/21 胸部X線検査
 寮費の振込をするときに胸部X線の検査をしなければいけないことを思い出し、急いで検査をしに行きました。診断書を英語で書いてもらわないといけないので、病院に連絡をするときは英語でできるかどうかを聞かなければいけません。検査はしてくれても英語で診断書を書いてくれる病院は少ないので、日本語の診断書を書いてもらってから翻訳をしてもらえる会社に頼んで英訳してもらうのもいいと思います。検査は15000円ほどかかり、診断書は受け取るまで最低でも3日はかかるので余裕をもって受けた方がいいと思います。

1/30 PNU buddyから初めての連絡
 ポータルサイトでバディーの募集結果が出ていたのを先日見たので早くバディーが知りたくてワクワクしていたのですが、バディーから直接メールが送られてきました。メールを送り合うのは少し手間がかかるので、カカオトークで連絡をとることにしました。入寮日の動きなどのまじめな話もしつつ、お互いについての雑談も含めたいろいろなお話をしています。

2/11 履修登録
 2月10日から2月12日の3日間で履修登録が行われました。10日は忙しかったのもあってすっかり忘れてしまい11日に履修登録をしたのですが、韓国の履修登録は早い者勝ちなため元々受けたいと思っていた授業を1つ受けることができませんでした。2回目の履修登録で枠が空くのを狙ってみましたが、人気の授業なのか空くことがなく諦めました。後期の履修登録は成功したいです。


授業のシラバス。教室名、必要な教材にしるしをつけてわかりやすくしています

2/20 ビザ申請
 2月初めにビザを申請に行こうと思っていたのですが、新型コロナウイルスの影響で出国スケジュールなどを計画しなおさなければならなくなったためギリギリに申請しに行きました。ビザは領事館に直接行って申請する必要があるのですが、管轄下の領事館、その領事館から要求される提出物、申請時間などを必ず調べる必要があります。例えば、私は山口県出身なので  申請場所:駐広島大韓民国総領事館  申請時間:平日9時〜12時  提出物:ビザ申請書、大学の入学許可書、パスポート
でした。
※提出物は電話で聞くことを強くおすすめします!提出物はビザの種類によって異なっていたり、サイトのものを見ても難しくてよく分からないので聞いたほうがより分かりやすいです。

韓国到着後の申請・登録

銀行開設
 留学中は하나은행(ハナ銀行)かNH농협은행(NH農協銀行)のどちらかで通帳を作る必要があります。どちらも校内各地にATMがあるので、コンビニ以外の場所でお金を出し入れしたい場合に便利です。例年はバディーが手伝ってくれるのですが、感染のリスクを考えて1人で開設しに行きました。
開設した銀行:ハナ銀行(NC百貨店の中にあります)
必要なもの:パスポート原本、在学証明書
※(2020年時点の話なので改善されているかもしれません!)在学証明書は대외교류본부(対外交流本部)の1階に発行機が設置されているのですが、私はなぜか発行機で発行ができず職員の方にお願いして直接発行してもらいました。直接発行してもらう際には、学生証かパスポートが必要なので銀行開設に行く前に寄るとスムーズに行くと思います。
 ハナ銀行で開設すると、체크카드(チェックカード)を発行してもらえます。チェックカードはデビットカードと同じで、銀行の残高分だけお金を使うことができます。クレジットカードだと使いすぎたりして翌月の請求がきつくなることもありますが、チェックカードだと使いすぎの心配もないので安心です。現金派の人は、口座にお金を入れるだけでお財布が軽くなるのでおすすめです!また、残高を知りたい場合はハナ銀行のアプリにログインすると確認できます。ただし、送金などの一部のコンテンツは電話番号が必要なので韓国の電話番号を取得するまでできないので注意が必要です。


通帳とチェックカード。最初はクレジットカードを使ってましたが最近はもっぱらチェックカードです

外国人登録証申請
 外国人登録は早ければ早いほど良いです!理由は外国人登録証を持つことで次の二つのメリットがあるからです。
①韓国の電話番号を持てる
②本人確認用の書類を提出するときに使える
 まず、韓国の電話番号を持つことで留学がますます楽しく便利に過ごせます。なぜなら、通販、デリバリー、音楽ストリーミングなど、様々なコンテンツを利用できるようになるからです。韓国に来た当日は申請することはできませんが、その次の日から申請が可能です。韓国に着いたら最優先にやることの中の上位に外国人登録を入れたほうがいいと思います。
 外国人登録には個人申請と団体申請の2つの方法があります。提出するものは、どちらも次のとおりです。
①パスポート(原本とコピー両方)
※今年からビザがパスポートに押されなくなったので顔写真が写ったページだけで大丈夫です
②申請書
③証明写真
④在学証明書
⑤居住確認書
⑥30000ウォン
 外国人登録には2週間~1ヶ月かかると言われています。団体申請だと1ヶ月ちょっとかかるところが多いそうです。

学生証発行
 学生証は大学からのお知らせが出次第、発行できます。釜山大の学生証は県大のように授業出席にも使えるだけでなく、チェックカードの機能もついており買い物もできます。しかし、留学生は正規生、交換留学生に関わらず全員チェックカード機能が利用できないので残念なところです。

新型コロナウイルス感染予防による隔離中の生活

 3月14日に入寮の予定でしたが、新型コロナウイルス感染予防のため韓国入国から2週間経っていない留学生は別の寮の棟で2週間の隔離処置がとられることになりました。隔離時に生活する場所は大学正門から最も遠いウンビ館で、大学の敷地内で一番高いところにあります。


釜山大のキャンパスマップ

 入居時には、マスク、消毒液、体温計、健康チェック表、トイレットペーパー、洗濯石鹸が支給されました。健康チェックシートは毎日朝と昼に体温、症状の有無を記録しなければいけません。基本的に部屋から出てはいけないので、洗濯物は自分で手洗いする必要があります。


入居時に支給されたもの。洗濯はさすがに洗濯機でさせてくれると思っていました...。

 隔離中は職員の方が毎日3食の食事を提供してくれました。飽きないように食べたいものを聞いてくれたり、それぞれの事情にあった食事を提供しようと努力してくださっていました。別途食事がしたい場合は、個人で配達アプリを使って食事を頼むことができますが、韓国の携帯番号が必要なので注文ができず諦めました。

隔離中に届けてもらったご飯。左は덮밥(丼もの)で右はおにぎりです

寮での生活

 隔離解除後は、ジャユ館で生活しています(先述のキャンパスマップ参照)。寮は2人部屋で、部屋にトイレとシャワールームが別々についています。カーテンはありませんがブラインドがあり、ベランダもついているので洗濯物を干すことも可能です。ルームメイトはできるだけ同じ国籍か近い国籍の人と組まれますので、私のルームメイトはモンゴルからの留学生でした。生活する上で必要なものはほぼ全部購入するか、持ってこなければいけないと思っておいたほうが良いです。必要なものはキャンパス内にあるNC百貨店でほとんど手に入ります。先輩が残してくれたものも使わせてもらっています。

ベッドと机。収納スペースが多く整頓しやすいです

寮での食事

 韓国に来てから1ヶ月の間は新型コロナウイルスの影響で食堂が利用できなかったため、しばらくの間は、食事はどこかで買って食べる必要がありました。私は麺類が大好きでラーメン専用の電気ポットを買っていたので、ラーメンを作って食べることが多かったのですが、たまに配達アプリを使ってルームメイトと一緒に食事をしたり、バディーと外食することもありました。

デリバリーで頼んだ冷麺と분모자떡볶이(切られてないタイプのトッポッキ) できた友達は少ないけれど、今のあいだに仲を深めておくことも大事だなと思いました

 4月の後半から寮食を食べられるようになりました。私は朝食と夕食の1日2食を7日分とっています。寮食は好みが分かれるとのことでしたが、私の好みにとても合っていてお腹いっぱい食べられるので個人的にはとても気に入っています。



寮食には毎回必ずキムチかカクテキのどちらかがついてくるのですが、両方とも美味しいです!

授業について

 韓国では、1つの授業が3単位であることが多く、1学期に12単位から19単位まで単位をとることができます。私は現在5つの授業を履修しています。履修登録は日本と同様パソコンでしますが、先に説明したとおり早い物勝ちなので、定員に達すると履修できないことがあります。昨年までの授業とは名前や内容が少し変わっている部分があったので、参考程度にみてください。

履修している授業
①글로벌중국어(グローバル中国語):入門向けの中国語の授業です。韓国人学生にまざって勉強しています。仮想講義(生放送型授業)で、進度も比較的ゆっくりで丁寧です。発音指導を直接受けられます。
②한국문화의이해(韓国文化の理解):歴史、絵画、伝統音楽などを学ぶ授業です。発表が多めの授業ですが、今は発表ができない代わりに私たちが作ったパワーポイントと原稿を使って先生が授業をしてくださいます。
③유학생을위한한국어세미나(留学生のための韓国語セミナー):発表が中心の授業ですが、オンライン授業なので発表はできませんが、韓国の就活などで役立つ自己紹介書の書き方を学んでいます。
④유학생을위한한국의역사와문화(留学生のための韓国の歴史と文化):講義が中心の歴史や文化を学ぶ授業です。古代朝鮮からゆっくりと授業をしてくださるので、歴史が学びたい私としてはとてもためになります。
⑤고급한국어(高級韓国語):中〜上級者向けの韓国語の授業で、中国語の授業と同じで仮想講義型です。2〜3人のグループを組んで話し合いをすることがあるのですが、全員上手なのでモチベーションがとても上がります!履修している授業のなかで一番スピーキングが鍛えられます。


いくつかの授業は授業の時間や曜日が複数通りあり、先生も異なります。私は朝早く起きるよりも午後から授業を受けたいので、シラバスの内容と照らし合わせながら今の授業を選びました。県大では自由に授業の時間や曜日を選ぶことが難しい場合が多いので、融通がききやすい履修のしかたは規模が大きい学校ならではだなと思いました。

オンライン授業
 釜山大学校では今年からPLATOというサイバー授業用のサイトができました。PLATOでは自分たちがとっている授業のリンクに飛ぶことができ、動画、PDFなどの授業資料、課題提出、仮想講義などの授業に必要なものがアップロードされる便利なサイトです。県大でいうと、YPUポータルとWEBかるちゃーが合わさったものだと考えてください。また、先生に連絡をしたい時にはサイトに設置されたダイレクトメッセージで連絡を取り合うこともできます。


トップページには自分が受けている授業と課題の締め切りが表示されます

 仮想講義はzoomというWEB会議用のアプリで聞いています。仮想講義で授業をしているのは고급한국어(高級韓国語)と글로벌중국어(グローバル中国語)の2つで、学校に行って聞く授業とほとんど同じように聞くことができます。

バディについて

 釜山大学校では、交換留学生にバディが1人必ずつくようになっています。バディとは1週間に1回ほど会うようにしています。バディも日本に留学の経験があり、日本語もとても上手なので韓国語で話したり日本語で話すこともあります。2月ごろからSNSで連絡をとっていたので、早く打ち解けることができました。行きたいところに連れて行ってくれたり、新しいことを教えてくれる方なので、会うたびに良い経験になります。



광안리(クァンアンリ)に行った時とボードゲームをしたときの写真。 (写真を撮ったあとすぐにマスクをしました!)

おわりに

 4月までの2ヶ月間は、不安な気持ちでいっぱいでした。念願だった留学に来たのに外に出られなくて韓国に来たような気分になれなかったり、いざ外に出られるとなったら外に出ることに急に不安をおぼえたりしました。特に、外食をするときの注文やお店に入ってテイクアウトの注文をした経験があまりなく、聞き取りに失敗するのが怖くて、つい最近まで注文することができませんでした。ですが、ずっと前から食べてみたかったおにぎりのお店で初めてテイクアウトの注文をしたとき、失敗することなく注文ができたので今まであった恐怖心がなくなった気がしました。逃げてばかりだった自分が嫌いでしたが、ちゃんと向き合って成長できた自分の姿を直接感じることができてこの調子でいろいろなことに成長できたらいいなと思いました。今学期はすべてオンラインで授業が進められることが決まりましたが、マスク無しで外に出られるようになれば、できることがもっと増えると思います。健康に気をつけて新型コロナウイルスがなくなったらやりたいことを考えながら、1学期を終えたいと思います。


韓国語の授業で仲良くなった子たちとご飯に行ったときの写真。みんなおもしろい子たちです