ナバラ州立大学 国際文化学科4年 佐守薫乃<4号 2023年3月~4月>

5月になり、学校が終了する6月まで留学期間も残りわずかとなりました。

日本に戻る嬉しさとともにたくさんのことを学んだスペインでの生活、お世話になった方々との別れが近づいている寂しさ、そして、まだやり残していることがあるという少しの焦りを感じています。

引っ越し

4月に今まで住んでいた、大学の寮からピソ(アパート)に引っ越すことにしました。理由としては、完全な一人暮らしで、もっと人とのコミュニケーションが取りたく、共同生活がしたいと強く思うようになったからです。幸い英語クラスの先生からパンプローナ在住の日本人の方の紹介があり、その方が所有する物件に住まわせてもらうことになりました。4月からの入居で、同居人たち(スペイン人、ドイツ人)とはおよそ2か月しか過ごす期間がありませんが、少しずつ交流する機会が増えていて楽しいです。私は水道光熱費込みで385€ほどの部屋です。パンプローナの物件では、比較的平均的な金額だと思います。寮では、洗濯した後は乾燥機にかけるか部屋干しするかの二つの選択肢しかなかったのですが、引っ越しをして、外に干すことができるようになりました。しかし、ベランダがなく窓から干しているので、洗濯ものを落としたら取りに行くことができないつくりになっています。一度洗濯物を落としてしまい、焦りましたが次の日には玄関の前においてあり、誰かが拾ってくれていました。家の作りが日本と全然違うので、ここならではの経験だと思います。そして、入居した時に戸惑ったことは、部屋に入るまでに鍵が3つ必要だということです。ピソの建物に入る時、部屋のある階に入る時、部屋に入る時です。鍵の形も特殊で、入居した当初は部屋のある階に入ることができず、ルームメイトがドアを開けてくれて事なきを得ました。今では慣れて一人でも入ることができますが、日本のものとは鍵の形状が違うので、予め練習が必要です。

移民局の授業

また、大学の授業の他に、アカデミックコーディネーターの先生に教えて頂いた移民局のスペイン語の授業も並行して受けています。場所は大学から少し離れた山口公園の周辺にあり、週3回2時間の授業です。2月~6月、9月~1月とほぼ大学と同じスケジュールで行われており、5€支払うと受けることができます。ここでは大学生はおらず、アフリカ系やウクライナの方が多くいます。授業の内容としてはスペイン語の基礎的な知識が多く、文法を学ぶというよりも日常生活で使うことの多い表現を学んでいます。一方、大学では文法中心の内容で、留学生同士で話すことに重点が置かれています。生徒たちはとても積極的で、先生の問いかけに対して即座に反応し、発言するので私も躊躇なく声を出せるようになりました。また先日、そのうちの一人の方が家族の残ったウクライナに帰ることができたというお話を聞きました。日本にいたころは、はるか遠い場所の出来事でしたが、スペインに来て戦争で大変な苦労をしている人が身近にいることを感じました。

churros con chololate(チュロスとチョコレート)を食べにカフェに行きました。これは、スペインの伝統的な軽食として親しまれています。Plaza del Castillo(カステージョ広場)の近くに何件か取り扱いのあるカフェがあり、そのうちの一つで食べました。チュロスは揚げたてサクサク、それをチョコラテに付けて食べます。程よい甘さでとても美味しかったです。授業でこのことについて話したところ、朝に食べる人と、昼に食べる人と派閥が分かれているそうです。

Churros con chocolate
Churros con chocolate

Café Iruñaというヘミングウェイが訪れたことのあるカフェがとても有名で、そこでもチュロスを食べることができます。しかし、まだ食べたことがないのでパンプローナに滞在している間に食べたいと考えています。スペインでは、レストランよりもカフェが多く、比較的安価でパンやスイーツなどもとても美味しいです。

日本語の音声ガイド

そして、Castillo De Javier(ハビエル城)にも行きました。この場所は有名なフランシスコ・ザビエルの生まれた場所といわれています。教会が隣接されており、絵画のように美しい場所でした。以前から行ってみたかったのですが、パンプローナからバスが多く出ておらず車を持っていなければ行くことのできない場所だったので、留学当初にお世話になったバディの方(UPNAの学生、卒業生で留学生をサポートしてくれるバディプログラム)にお願いして、連れて行っていただきました。こういった観光名所に行く際は、学生証を提示すると少し安くなるので、忘れずに持っていくことをおすすめします。こちらでは音声ガイドの貸し出しを受けることができます。驚いたことに、ここの音声ガイドは英語とスペイン語と、日本語の三種類がありました。なぜなら、こういった観光名所で日本語での音声ガイドはほとんどないからです。山口市と縁のある場所だからでしょうか。日本語の音声ガイドがある場所はハビエル城とPlaza de Toros de Pamplona(パンプローナ闘牛場)で、そのガイドを聞くことができます。

また、ザビエルといえば、山口とパンプローナをつないだ存在でもあります。彼はこの地から、はるか遠い山口にまで来て布教活動をしたのだと思いを馳せました。今から約500年前の室町時代に、スペイン人宣教師のフランシスコ=サビエルは山口に滞在し、キリスト教を布教しました。この彼の活動、存在のおかげで姉妹都市提携が行われ、現在私はパンプローナに留学することができています。

ハビエル城の風景1
ハビエル城の風景2
Castillo De Javier.
写真のように美しい風景でした。

終盤になり、スペイン語を話すことにも慣れいろいろなところにでかけようと、計画を立てています。一歩外に出ると、いろいろな出会いがあります。積極的に行動して、ここでの出会いや、仲良くしてくれている人と一緒に過ごす時間を大切にしていきたいです。