ナバラ州立大学 国際文化学科4年 佐守薫乃<1号 2022年9月~10月>

 パンプローナに到着して、およそ2か月経ちました。気温が下がり季節の変化を感じています。今(11月7日)は最低気温が4℃くらいになることもあり、山口よりも寒いかもしれません。

出発前の準備

 6か月以上の留学には、長期学生ビザが必要です。そのため申請と受け取りに2回ほど、東京にあるスペイン大使館に行かなければなりません。9月から新学期が始まるため、この時期に申請に行く人が多く、手続きに時間がかかります。出発まで2か月以上の余裕があると安心だと思います。私は大使館ホームページの情報を確認しつつ、TwitterなどのSNSで私と同じようにスペインに長期留学に行かれる方の情報を確認していました。しかし、6月13日に申請に行ったとき、海外旅行保険が日本の保険会社ではなく、スペインの保険会社のものではないと承認できないと言われました。後でわかったのですが、制度が変わったことによるもので、もう少し情報を確認しておくべきでした。その後、スペインの保険会社数社にメールを送り、最終的に保険加入の証明書を郵送してもらうまで1週間ほどかかりました。出国までにビザ取得手続を完了できるか、少々焦りましたが、8月16日に受け取りに行き、結果的に間に合いました。

パンプローナ現地入り

 私は8月20日に家族に見送られながら、宇部空港を出発し、羽田、成田、ドーハ、マドリードを経て、40時間近くかけて、パンプローナ空港にたどり着きました。出発前から、一人で行けるか不安で、乗継ぎ時のトラブルを避けるため、乗継ぎ時間が十分にあり、極力同じ航空会社のフライトになるようにしました。乗継ぎ先の空港でも、案内ボードに記載の搭乗ゲートの情報をこまめに確認し、余裕をもって搭乗するようにしました。パンプローナ空港に到着したのは夜中になり、大変心細かったのですが、バディ(ナバラ州立大学(UPNA)の学生やOBが留学生をサポートしてくれる制度)が空港に迎えに来て(日本にいたときから連絡をしていて、事前に迎えにきて頂けることになりました)、大学の寮まで車で送っていただき、本当にほっとしました。

ドーハ・ハマド国際空港のくまの写真

ドーハ・ハマド国際空港のシンボルのくま。ワールドカップがいよいよカタールで始まります。くまは想像以上に大きく、空港のお店は夜中でほぼ閉まっていました。

留学開始当初

 8月24日から一週間、語学学校の授業を無料で受けました。少人数制で、スペイン語、スペインの文化やパンプローナのことを学びました。大学開始前に留学生向けに開催されているようです。とても有益であり、勉強になりました。
 大学が始まった当初は、環境の変化のためか体調不良を訴えていた留学生が多かったようです。留学に際し、薬は多めに持参するなど、何かしら不安があれば病院を受診したうえで出発することをお勧めします。

 私は、スペイン語、スペイン文化、英語を履修登録しました。当初、スペイン語の授業は、全く理解できず苦しい時もありましたが。段々、聞き取れるようになりました。一方、スペイン文化の授業は、周りの生徒のスペイン語レベルがB1(CEFRという語学のコミュニケーションスキルを示す国際標準規格で定義されている。B1は職場、学校、あるいは旅先での会話の要点、スピーチの詳細や事実に基づく内容や興味の対象を理解できるといったレベル)ということもあり、話す速度が速く、聞き取りが大変です。さらに、日本はどうか、スペイン語で答えなければならないので、積極的に話すことができませんでした。今は少しでも伝えようと発言することを心がけています。

市場の写真
市場の写真
市場の写真

語学学校の授業で訪れた市場の様子。お店の方とお客様が楽しそうに会話をされていて、暖かい光景だと思いました。

これから

 少しでも英語やスペイン語で会話する機会を増やしたいと思い、英会話のコミュニティに参加することにしました。ここでは、パンプローナの地元以外に、南米出身などのスペイン語圏の方々が多く集まっていて、年齢層は高めです。しかし、会話の内容があまり話す機会のない話題ばかりで、参加するごとに着眼点の違いや自国についての知識のなさを痛感します。例えば、「第二次世界大戦について、その歴史をどう思うか、その時代を生きてきた人からどういった話を聞いたことがあるか」など深く聞かれ、あまり答えられず悔しい思いをしました。他にも、「薬と自然治癒どちらがいいと思うか」といったテーマに対し、ディベートのようなやり取りもありました。自ら考え、発言する大切さを痛感しています。これから祖父母から戦争の話を聞いたり、今まで以上に、社会的なことに関心を向けたりしようと考えています。
 このコミュニティ以外の活動にも参加することを考えています。パンプローナで、日本文化は人気のようで、空手、柔道、合気道などの教室は身近に開かれていると聞きました。私は県立大で合気道のサークルに入っていたこともあり、日本文化を通じて、交流を深めたいと思います。探せば様々な選択肢があります。どういった留学生生活を送りたいか、自分が留学に来た目的を改めて考え、日本に帰るときに成長が感じられるようになりたいと思います。

 パンプローナに来て実感したことは、困ったり悩んだりして、自分から何か行動を起こせば、助けてくれる人が存在するということです。来た当初は、英語もスペイン語も全然話せない自分に焦っていましたが、会話する機会を増やそうと、スペイン人の友人(英語の授業の時にペアワークで仲良くなった)に相談したところ、上記のコミュニティを教えてもらい、参加することになりました。また、私以外にも日本人留学生が一人いて、日本語で直接話を聞いてもらったりもしています。悩みを話して、解決に協力してくれる先生や友人がいることにとても支えられています。今ある縁をもっと大事にして、日々を過ごしていきたいです。

日本食の写真
日本茶の写真

大学付近の日本食レストランにて。注文した日本茶が甘すぎてびっくりしました。