ナバラ州立大学 国際文化学科3年 進美月 <最終号 2022年5月~6月>

 日本に帰国し、うだるような夏の暑さにさえも日本にいるという安心感を覚える今日この頃ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。さて、最終号となる今回は、後期末試験&帰国準備、帰国に関する手続き、ドイツ旅行、10ヶ月の交換留学を終えた感想について書かせて頂きます。

後期末試験&帰国準備

スペイン語の授業最終日の写真
図1 スペイン語の授業最終日

 初めに後期末試験についてですが、前期末試験と同様、範囲が広かったため試験対策に少し時間を取られてしまいました。しかし、前回と少し異なっている部分もあります。スペイン語の授業についてですが、1年間学んで来た成果を見せるということで筆記試験ではなく、グループでのプレゼンテーションという形で評価されました。
 グループとはいっても、一人5分の1グループ計30分程のプレゼンテーションだったので準備には数週間かかりました。また、原稿は基本読まず、5分間自分の言葉で説明するということで、正直、筆記試験よりも難しかったです。
 しかし、グループでやり終えた時の達成感は非常に大きく、今思えば、このプレゼンテーションを経たことで、スペイン語を話す事に対する自信もついたと思います。その他、英語の科目等は今までと変わらず筆記試験だったため、大した緊張もなく試験を終えることができました。総じてですが、今回、試験勉強をしながら、初めの頃とは比べものにならないほどスペイン語力があがっているのだなということを実感していました。
 その後、1週間の期末試験期間を終え、すでに5月末だったことから大急ぎで帰国準備に取りかかりました。やはり10ヶ月も生活すると物は増えていたようで、スーツケースに入らない衣類が多くあり、欲しいという友人にあげて片付けて行きました。他にも布団、家電等があったのですがこれは寮に残していくことができたので、助かりました。小見出しに帰国準備と書きましたが、4月中頃から冬物をスーツケースに入れて日本に送るなど徐々に準備をしていたため、残っていたのは最後の荷造りと部屋の掃除だけでした。とはいえ、それでも非常に大変だったので長期留学に行く際は、少しずつ帰国準備を進めていくことをおすすめします。

語学学校の授業最終日のランチの写真
図2 語学学校の授業最終日
インターナショナルランチ

帰国に関する手続き

 日本帰国についてですが、コロナの状況はまだ続いているため、いくつかの書類の用意と携帯での手続きが必要でした。
 まず一つ目が、三回目のワクチン接種証明書です。これは、義務というわけではないのですが、打っておかないと帰国した後に空港での待機や、三日間自宅待機が必要とのことでした。私は帰国したらすぐに山口での用事があったため、5月末にナバラ州立大学があるパンプローナで三回目のワクチン接種をしました。ワクチン接種を受けるためにいくつか手続きがあったのですが、そこは大学のインターナショナルオフィスにお願いしました。ナバラ州では、個人の健康状況や病院予約、コロナに関することは全て公式サイトで管理されており、24時間いつでも自分のアカウントに入る事ができるため、証明書も問題なく取得することができました。
 二つ目が、PCR検査の陰性証明書です。これは日本帰国の際、必須書類で、取得しておかないと日本行きの飛行機に搭乗することができません。しかし、証明書は、日本国指定の書類に病院が手書きで記入、かつ英語もしくは日本語でのみ有効ということだったので、この条件でPCR検査を受けられる病院というのは限られていました。またそれらのほとんどは大都市にあったため、私は、マドリードの病院まで行き、PCR検査を受け、証明書を翌日書いてもらうという形を取りました。
 そして帰国の際ですが、上記の二つの書類に加え、もう一つやっておかなければならない手続きがありました。それは検疫アプリを使った事前の書類審査です。アプリでは、先ほど述べた二つの書類ファイルを提出します。到着数時間前には審査結果を受け取ることができました。事前にこれらの手続きを終えていたため、いざ日本に到着したときは、入国審査含め30分もかからず、あっという間に入国手続きは終わりました。

ドイツ旅行

 今までの定期報告では、スペイン留学を中心に書いていこうというスタンスだったのであまり旅行については触れませんでしたが、最終号ということで今回はヨーロッパ圏内の留学の醍醐味といっても過言ではないヨーロッパ旅行について皆さんに紹介できたらと思います。
 期末試験、コロナの三回目のワクチン接種等を全て5月末に終え、6月4日から6月10日までの7日間友人と一緒にドイツ旅行に行ってきました。なぜドイツなのかということについてですが、実は今ドイツでは、物価が上がったことからせめて交通費の負担を減らそうということで、1200円で3ヶ月バス、電車といった公共交通機関乗り放題のチケットが発売されていました。このチケットを利用することで安価に旅行することができたため、友人と話し合いドイツを選びました。
 今回は、デュッセルドルフ、ケルン、ミュンヘンを現地の友人も含め観光しました。観光とはいえ、できる限り文化が学べるようにと友人にお願いしていたこともあり、初日はデュッセルドルフで開催されていたコミックマーケットというものに行ってきました。名前の通り、日本で開催されているイベントなのですが、ここヨーロッパでも唯一この場所で年に一度開催されているようです。世界でも日本のアニメ、ゲーム文化は浸透しているとよく耳にしていましたが、いざ会場に行きそれを目の当たりにしました。ドイツ人だけで無くヨーロッパ中から人が集まってきており、友人に聞いたところ、昨年の時点でチケットは完売していたほど人気だそうです。実際に彼らが日本の文化について熱く語っているのを見て、私も日本人として日本の文化をもっと幅広く学んでいきたいなと思いました。また、ケルンではケルン大聖堂に行ってきたのですが、第二次世界大戦でも破壊されずに残ってきた地域のシンボルであり、足しげく通う現地の人々を見て地域に根付いた歴史というものをひしひしと感じました。
 最後にミュンヘンですが、この地域はドイツで最も美しいと言われている地域です。ドイツ国内では、第二次世界大戦の際、多くの建物が破壊されてしまったのですが、このミュンヘンでは、破壊されること無く残ってきた建物が多く存在しているからなのだと友人は説明していました。しかし、建物が全て無傷ということはなく、銃撃戦が激しかったであろう部分の建物には未だに数多くの銃弾の後が残っていました。
 7日間ドイツの美しい景色とともに過去の悲しい歴史について学ぶ機会が多くあり、有意義な時間を過ごす事ができたと思います。

ケルン大聖堂横の川の写真
図3 ケルン大聖堂横の川
ケルン大聖堂横の橋の写真
図4 ケルン大聖堂横の橋
ミュンヘンマリエン広場の写真
図5 ミュンヘンマリエン広場
ノイシュヴァンシュタイン城の写真
図6 ノイシュヴァンシュタイン城

10ヶ月の交換留学を終えて

スペイン料理の写真
図7 スペイン料理

 今回10ヶ月という長いようであっという間に過ぎた交換留学の中で私は、2つの大切なことを学びました。
 まず一つ目は諦めない姿勢です。当たり前のように聞こえると思いますが、私はこれが一番難しいことだと思います。スポーツと一緒で語学学習は長い期間をかけて少しずつ成長するため、日々成果が見えるわけではありません。したがって初めの頃は、毎日勉強しているはずなのになんでこんなにも分からないのだろうとストレスを抱えていました。その結果投げ出したくなる時も幾度かあったのですが、それでも友人達に励まされ勉強し続けてきた結果として10ヶ月後、気付いた時には話せるようになっていました。先ほどスポーツを例に挙げましたが、成果が見えないものは仕事においてもそうですし、その他、多くのことに当てはまるでしょう。しかし私は、今回の交換留学を通して得ることができた精神力で、今後経験するであろう、結果がいつでるのか分からない事柄においても頑張り続けることができると思います。
 続く二つ目が、価値観が異なる人との関わり方です。行く前はスペイン語を学ぶことしか考えていなかった私でしたが、世界各国からの留学生と日々交流していた中で、異なる文化、価値観を持っている人達との関わり方を肌で学ぶ事ができました。初めのうちは、ぶつかることも、相手を理解できずに遠ざけることもありましたが、今ではどんな状況でもお互い素直に考えていること、感じたことを話し合い共有することが互いを理解しあう一歩になるのだと私は思っています。このような経験は、日本で生活しているだけでは滅多にできないと思うので、この体験談を書いている今現在も交換留学に行って良かったなとしみじみ感じています。今回は字数の関係もあり大きく2つに絞って書きましたが、交換留学を通してこの他にも非常に多くの貴重な経験をさせて頂きました。
 最後になりますが、冒頭で述べたように今回が2021年度秋スタートの交換留学定期報告最後になります。今まで様々なジャンルからスペイン留学について書かせて頂きましたが、皆さんに少しでも留学の楽しさを伝えることができたなら幸いです。今回合わせ計5回、拙い文章を拝読して頂きありがとうございました。もし、スペイン留学に行く機会があれば、スペイン文化を思う存分に楽しんでください。 Muchas gracias. ¡Adiós!

パンプローナの写真
図8 パンプローナ