はじめに
あっという間にフィンランドでの留学生活も折り返し地点を過ぎました。冬の寒さはまだまだ私にとっては厳しいですが、おそらくピークも過ぎたということで、外の空気を楽しみながら、日が昇って晴れた空の下を歩くことも楽しくなってきました。長居はできませんが、外に出たときの気持ちよさを一瞬感じるたびに、寒さにも強くなったなぁというちょっとした成長を感じています。
秋学期の小学校実習について
この小学校実習は私にとって大きな挑戦であり、悩まされることも、得た学びもとても大きかった期間でした。まずこの授業を取るにあたって、留学前に講義一覧や先輩の体験記を読んだことをきっかけにずっと気になっていた授業でしたが、留学してすぐの履修登録のときには既に、自分の英語力に自信を無くしてしまい、こんな私ができるのか?という思いと、フィンランド留学に来て実際の教育現場に飛び込める貴重な機会で消極的になって後悔してしまうのではないか?という思いで葛藤し、なかなか踏み切れずにいました。そんなときに過去に実際に経験された先輩からアドバイスをいただき、背中を押され、がんばろうと決心することができました。このような機会をくださった実習先の先生方や可愛らしい児童たち、そして先輩には本当に感謝しています。
この実習は、ロヴァニエミの小学校に派遣され、約一カ月間実際に小学校を訪問して子どもたちと一緒に時間を過ごし、フィンランドの教育現場を肌で感じながら、授業を提供することで経験値を身につけるという本格的なものでした。私の実習先の小学校は森の中にある小さな学校でした。メールで実習先が知らされ、各校1人ずつ派遣されるというシステムに戸惑い、1人でやっていけるかなという不安とともに、16人の小学4年生との毎日は始まりました。主に授業の様子を教室の後ろから観察したり、たまに参加したりしながらフィンランドの教育や文化を学び、授業や休み時間、ランチタイムに仲を深めながら、子どもたちの英語力向上や異文化交流の機会提供を目的としています。また週に1回授業をする必要があるのですが、私の場合、担当の先生がかなり前のめりで日本のこんなことを知りたい!と事前に案を出して割り当ててくださり、すぐにテーマも決まりました。先生が一番ワクワクしている様子もとても可愛らしかったです。
内容は①日本の四季、②ひらがな、③折り紙、④数字です。①まず実際の写真を交えながら季節ごとに見られる日本の景色や旬の食べ物について紹介した後、児童たちに自分が好きなフィンランドの季節の絵をかいて、英語を用いて私にフィンランドの季節について教えてもらうという形式で行いました。季節や月の名前をフィンランド語で一生懸命教えてくれる姿がとても可愛らしかったのと、冬のイメージが大きいフィンランドでしたが案外みんな夏が待ち遠しいと思っていることが印象的でした。②ひとりひとりの名前をひらがなにしたドリルのようなプリントを作成し、練習してもらって紙に書いて後ろの掲示板に最終的に貼りました。授業の初めにひらがなとカタカナ、漢字について簡単に説明したのですが、私の名前の漢字を聞かれ、前に大きく書いた際の児童と先生たちの、「なんだこれは?」と言いたげな顔と反応がとても面白かったと同時に、「わかる、私の名前難しいよねぇ、、」と改めて実感しました。③児童からのリクエストで折り鶴を教えました。折り鶴に込められた意味を始めに軽く解説し、みんなで折ってみて、私も久しぶりだったのと、手順がかなり複雑で、結局私が折って回る状態になってしまったのが反省点ですが、手先が器用な児童も私と一緒になって教えて回ってくれて本当に助かりました。④児童たちからのリクエストで、クリスマスも近かったということもあり、日本の数字を用いてビンゴ大会をし、最後にひとりひとりにクリスマスプレゼントを贈りました。プレゼントの手裏剣が男の子たちに大好評で、私自身初めて手裏剣を作ったのですが、クラスの男の子みんなにプレゼントしたり、作り方を教えたりして、かなり上達してしまいました。


また、授業の経験だけでなく、実習期間にたくさんのフィンランド文化も経験することができました。12月6日はフィンランドの独立記念日ということもあり、前日の登校日は少し特別な日でした。朝の集会では校内の森の中で全校児童と焚火を囲みながらフィンランド国歌を歌ったり、自然の中でゆったりした時間を過ごし、この日は授業もフィンランドについて考える時間が多く、愛国心溢れる時間に、私もフィンランドに対する愛国心いっぱいの日になりました。また、クリスマス休暇前最後の登校日は保護者に向けてのクリスマス発表会とアフターパーティでした。各学年それぞれ出し物をする様子を保護者に見てもらい、そのあとは学校に来たサンタクロースと家族写真を撮ったり、食堂でクリスマスの飲み物やお菓子を囲んで初めて児童たちの保護者の方たちと会って、あいさつやいろんなお話をすることができ、最初はシャイだったり英語がうまく話せずにいた子どもたちも大人の手を借りながらいろんなことを話してくれたり、別れを惜しんでハグをしに来てくれたりと、とても名残惜しかったですが心温まる時間でした。

今までで一番国旗を見た日でした

これで寂しくないよ!だそうです。あまりの可愛らしさに心が温まりました。



また、この実習期間は、特に寒く、日が昇らない期間でもあり、冬季鬱にも大きく影響されやすいことから、時期的にも活動することが厳しく、真っ暗な時間に起きて朝から登校する生活リズムを保つことに苦しみました。いつ目が覚めても外を見るだけでは時間感覚がつかめず、日中活動しているはずなのに毎日暗い中で小学校から大学図書館をはしごして眠気と戦いながら実習レポートや授業計画を進めました。また休み時間に-20度の中子どもたちに連れられ走り回っている間の尋常じゃない寒さや、通常授業がないために昼夜逆転した友人たちと生活リズムが合わず、大学生間の交流が激減してしまったことなど、北欧の冬の厳しさを実感し、大変なこともたくさんあった毎日でした。しかし、担当の学年や児童たちだけでなく、たくさんの先生方がいつも気にかけてくれて、フィンランドの冬の過ごし方のアドバイスをくださいました。色んな優しさに触れ、励まされ、元気で愛おしい児童に癒され、本当に楽しい日々でした。

1月・2月について
怒涛の実習も終わり、秋と比べて授業数も減ったので、ゆったり時間を過ごしています。自炊に時間かけてみたり、お菓子作りや編み物に挑戦してみたり、気になっていたドラマや映画を見たりとおうち時間を充実させてみることもあれば、友達と集まったり、カフェに作業しに出かけたり、ひとりでスケートをしに行ってみたり、初めて一人でフィンランドを出て旅行している今日この頃です。3月、4月はまた実習で忙しくなりそうなので、その日まで楽しめることは楽しんでおこうというマインドで、心身ともに元気に残りの日々も駆け抜けます。