●はじめに
- どうも北欧からこんにちは。
- こちらはまだまだ真冬のままで、先月の大寒波からは少し落ち着いたものの、依然として気温が-20℃近くになる日もあり、春はまだ遠いなと感じています。一方で、私のルームメイトや隣人は一足先に実家に帰国してしまい、また寂しい時期がやってきました。ただ、半年前と違うのは、私自身ももうすぐこの土地を去るということです。
- 日本に帰るのが楽しみかとよく聞かれますが、私はいつも「50:50」と答えます。帰国の楽しみと同じくらい、フィンランドを離れるのは寂しいです。
- そんな複雑な思いを胸に、今回もありのままの留学体験を私なりの文章でお届けしたいと思います。



●筋トレ
- さて、私は定期報告書を書く際にいつも写真フォルダーをスクロールして、今月あった出来事を振り返りますが、3月と4月の写真はそのほとんどが筋肉の自撮り写真でした。我ながら気持ちが悪かったです。筋トレ自体は去年の8月末から始めました。フィンランドに到着してすぐに大きな挫折を経験し、自信を完全に喪失した私は、英語力と同時に心を鍛えようと思い、近くのジムに駆け込んだのがきっかけでした。
- 私が入会したフィンランドのジムには、体の大きな人がたくさんいて、正直なところ、使いたいマシンを使うのも躊躇していました。その結果、最初の頃はジムの隅っこで軽くトレーニングをする日々が続いていました。
- しかしある日、友達に誘われたパーティーにて学生団体のチェアマンと親しくなり、彼と一緒にジムに行くようになりました。彼に言われたある言葉が、私の筋トレのやり方だけでなく、私生活や人生観にも大きな影響を与えました。その言葉とは、「多くの場合、他人はあなたに興味がない。特にジムにいる人たちは自分の筋肥大に必死なので、あなたの行動を全くと言っていいほど見ていない。筋トレは昨日の自分と比較することが重要で、他人と比較する必要は決してない」というものでした。
- これまでの人生で何度か「他人と比較する必要はない」と言われる機会がありましたが、それは戯言だと感じていました。なぜなら、中学や高校では定期テストの後に自分の順位が配られ、大学受験では隣に座るライバルより良い点数を取る必要がありました。また、私が小中高と続けてきたバスケットボールでも、ベンチに入るためにはチームの中で15人に選ばれる必要があり、コートに立つにはその中で5人に選ばれる必要がありました。いやでも他人と比べる必要があり、誰かに勝つ必要がありました。それはいつの間にか自分の中で、比べる必要のない領域にまで適応されていました。
- 今でも「他人と比べること」自体を全否定するつもりはありません。負けず嫌いは時に大きな成長を生み出します。しかし、少なくとも心を鍛えようと始めた筋トレでは、他人と比較する必要がないことは明白で、彼の言葉がスッと心に響きました。彼の言葉に納得してからは、筋トレ自体も楽しくなりましたし、私生活でもかなり心が軽くなったような気がしました。他人と比べて物事を判断する時と自分の中の軸で判断する時の区別がうまくできるようになったら、もっと豊かな人生を送れるような気がしました。


●大学
私が受講している講義の多くは既に終了しており、交換留学の終盤を感じています。定期報告第3号でも少し触れましたが、今期の講義は交換留学生が例年に比べて少ないこともあり、講義内容の変更(使用言語がフィンランド語に変わるなど)がありました。そのため、受講しようとしていた講義を受けられなくなることもありました。ですが、その中でも自分が制作した作品の展示会やそれに関するプレゼンテーションなど、多くの人の前で英語を使う機会がたくさんあり、とても楽しかったです。振り返ってみると、フィンランドに到着した当初は講義の中で突発的に求められるプレゼンテーションに怯え、講義に行くのが怖いと感じていたこともありました。しかし何度もこなしているうちにそれに慣れ、今では講義に怯えることはなくなりました。人間、意外と慣れるものだなと思います。


●就職活動
就職活動を始めました。今は主にインターンシップのエントリーが中心ですが、前向きに楽しく取り組んでいます。一昨年の9月、私は就職活動に対して非常に消極的で、漠然とした嫌悪感を抱いていました。周りの友人が少しずつ就職活動を始める中、私は「自分で起業すれば就職活動なんてしなくていい」と考えていましたし、それは難しいことではないと思っていました。そう考える一方で、起業に関する明確なプランはなく、ただただ時間が過ぎていくだけでした。そんな中、交換留学の追加募集に関するメールを受け取りました。当時の私にとって長期留学というのは、卒業というタイムリミットを合法的に1年先延ばしにする都合の良いものでした。時間が延ばせるなら何でもよかったというのが当時の私の正直な気持ちです。長期留学と聞くと聞こえはいいですが、私の場合、積極的な選択だったとは言い難いものでした。そのような背景もあり、留学の準備は遅れ、英語の勉強もほとんどせずにフィンランドに到着しました。自業自得ですが、本当に多くの苦労を経験しました。しかし、8ヶ月が経った今、留学に来て本当に良かったと心の底から感じています。様々な経験をする中で、自分の考えや価値観は少しずつ変化しています。その変化によって、難しい決断をしなくてはいけないこともありました。その決断を、覚悟を裏切らないように、今後も就職活動にまっすぐ取り組んでいきたいと思います。
最後に
- 冒頭に述べたように私の留学は終盤を迎えています。残された留学期間や就職活動、映像編集の仕事等々、今自分がすべきことを全力で取り組んでいきたいです。
- そして、ついに次号が最後になります。1号では恥ずかしくてお話しできなかった挫折のお話や約9ヶ月であった様々な出来事をまとめてお話しできればと思います。