ラップランド大学 国際文化学研究科国際文化学専攻2年 山本成美 <4号 2022年3~4月>

 Moi!現在絶賛パッキング作業に追われ中です。大学近くのスーパーで段ボール箱をゲットしました。
最近はこれまでの長く暗い冬を取り戻すかのように、太陽は夜遅くまで顔を出し、日中に暖かさを感じる日も増えてきました。過ごしやすい気候で気持ちが良いです。
 パッキングの話に戻りますが、日本へ荷物を送る料金はなかなかの額です...。私はこちらでの制作物がかさばったのでいくつかの荷物を事前に送ることにしました。それにしても多いので、学内にスペースを借りて少しのコインを入れてもらう形で持って帰ってもらったり、秋学期も滞在する友人に譲ったり、と工夫して、荷物を減らせるように奮闘しています。古いものも大切にする文化が根付いているフィンランドでリサイクル魂が鍛えられたのかもしれません。

サレで段ボールをゲットの写真
サレで段ボールをゲット

 この2ヶ月の授業は、自分のスタイルを発揮できる内容のものが多かったように感じます。ひとつは「Fashion Workshop」という授業で、ラップランド大学とミラノ工科大学の学生とで行われました。ブランドリサーチやコンセプト決めまではグループで行い、そのテーマをもとに個人でデザインと制作を行いました。また、この授業の大きな目的として「ZERO WASTE」を掲げていて、私の作品では余り布やリサイクル生地を織り、トップスに使用しました。また、パンツの型紙も極力残布を減らし、その布もトップスに織り込んでいます。これはリサイクル生地を使用して作るフィンランドの伝統的なラグから発想を得ています。この授業の作品はArctic Design Week 2022の最終イベントであるファッションショーで発表されました。モデルさんが衣装を着てウォーキングする姿や、デザイナーのみんなと舞台裏からステージを見守っている時のワクワクした気持ちは今思い出しても、本当に素敵な経験です。
 また、そのほかにも「Printing Workshop」や「Children's wear」でも制作を行いました。Printing Workshopではさまざまな技法を学び、実際に布にプリントをすることが課題でした。私の最終制作はシルクスクリーンを使用したハンドプリントで仕上げています。モデルをお願いした友人がノリノリで作品と写真を撮ってくれました。

素敵なモデルのJenniの写真
ファッションショー後の一枚

 Children's wearでは子供の服に必要な機能やそれぞれの年齢ごとの特徴などを学んだのちに、自身の幼少期の思い出からインスピレーションした服の提案を行いました。サンプルで作ったカチューシャをつける友人がとてもキュートでした。授業内では実際の服の制作までたどり着けなかったので、続きの制作は帰国後に取り組みたいことのひとつです。
 どんな授業もですが、同じ空間にいろいろとトライをしながら作業をする仲間がいる環境はとても刺激的です。授業外でも、身につけたスキルを活かして制作をしている人が沢山いたり、皆自分のアイディアや制作中のものを紹介するのが上手だったりと、学内にいると刺激が沢山です。ここでファッションを学んだ経験は私にとってとても価値のあるものになりました。

Children's wearムードボードの前での一枚
Children's wearムードボードの前で
カチューシャをつけるSanuの写真
カチューシャをつけるSanu

 日常生活では、フィンランドの文化を楽しむことと、日本の文化を伝えることも意識していました。そのうちのひとつで、念願のアイスフィッシングをしました!湖の上を歩けるほど厚く凍った氷に穴を開け、そこから釣り糸を垂らします。この穴を開ける作業が一苦労で、かなり気合を入れないと開きません。電動のものを使う人が多いようですが、手動で苦労したのも良い思い出です。この日は残念ながら誰も魚をゲットできませんでしたが、小屋の中の焚き火で焼いたクレープとブルーベリージャム、暖かいベリージュースを頂けて満足でした。

湖の上での一枚
湖の上で

 また、5月1日のVappu(ヴァップ)という祝日の過ごし方は想像以上に楽しかったです!私たち日本人にとってはメーデーとして知られていることの方が多いであろう、労働者の権利を主張する日ですが、フィンランドやそのほかヨーロッパの国々にとっては夏の訪れを祝う日です。特別なお菓子や飲み物を食べ、暖かい陽を浴びながらピクニックを楽しみます。写真の白い帽子は高校を卒業した時に被るものだそうです。Vappuの期間中、卒業したばかりであろう若者をはじめ、一人で街を歩いている働く世代の女性、老夫婦、さまざまな人がこれを被ってすごしています。町全体が賑やかな雰囲気でした。

公園でのんびりの写真
公園でのんびり過ごしました
Vappuの帰り道の写真
Vappuの帰り道、カラフル

 また、色々な料理をフィンランド人や留学生の仲間と作りました。こちらに来て何人もの人に作り方を教えてほしいと言われたお寿司をはじめ、餃子やおはぎ、シナモンロールなどを作りしました。
 間もなく私の留学生活は幕を閉じますが、ここで出会えた仲間と将来また日本で、それぞれの出身国で、そしてフィンランドで会える日が楽しみです。残り数日、まだまだ経験して、学んで、楽しんで過ごします。