ラップランド大学 国際文化学科4年 中村はつき<2号 2021年11~12月>

授業

 11月から、Indigenous (Sámi) Spirituality and Religious Beliefsという授業が始まりました。この授業では、主にフィンランドやロシア、スウェーデン北部に住んでいるサーミ人の信仰について学びました。授業は、講義の他にフィールドワークやプレゼンテーション、エッセーの提出があるという盛沢山なもので、フィールドワークには2日参加しました。一回目はSomosen Kirkko (nature church)というところです。森の中に大小の岩が沢山あるエリアがサーミ人の信仰の対象でした。日本のお墓参りの様に、敬意を払って岩の周りにコーヒーの粉をお供えしました。もともとサーミ人の信仰は、日本の古代神道の様に自然崇拝でとても親近感を感じるものでした。


Somosen Kirkko


 2回目のフィールドワークではサーミがどのように観光地で産業として使われているかを見てきました。ロシアのサーミの方がやっている工芸品屋さんにお邪魔してお話を聞いたり、サンタビレッジに行ってお土産を見たり、儀式で使われていた太鼓を実際に叩いてもらったりしました。ただ宗教の勉強をするだけではなく、それがどう観光に役立っているのか、サーミの人々はどう受け止めているのかを肌で感じることができました


サンタビレッジのお土産屋にて
サーミ人が使っていた模様が至る所に使われていた

 プレゼンテーションはグループで行いました。以前授業が一緒になったことのあるマテが誘ってくれて、私は遊んだことのあるボニを誘って、3人でサーミの巨石崇拝やその供物について発表しました。準備の為に夜中まで図書館に残ったり、休日の学校に集まったりして充実した時間を過ごしました。今はエッセーまで書き終えることができてホッとしています。

カフェリングア

 9月の後半からカフェリングアという所で日本語のリーダーをしています。ここでは留学生が自分の母語を生かして、フィンランドでその言語を学びたい人と会話の練習をし、文化の交流を図ります。毎週フェイスブックのグループに日本のことについて投稿し、オンラインや対面でメンバーとお話をしました。投稿はわかりやすいように単語のリストを付けたり、リアルが伝わるように自分で撮った写真をできるだけ使うようにしました。
 正直、毎週ネタを考えたり、色々な国籍の人が居る中で日本のことを紹介しつつ、英語や日本語を使い分けて説明したりするのは根気がいるし、最初はこれでいいのかな、と不安が大きかったです。でも段々と参加者と仲良くなれて個人的にメッセージをやり取りしたり、カフェリングア外で遊んだりもできてとてもいい経験になりました。

12月のイベント

 12月の初めはテストやプレゼンテーションがあってとても忙しかったです。それらが終わった後も一休み、という訳ではなく、沢山のイベントがありました。中旬には、県大からマルタに語学留学中の友人がフィンランドに来てくれました。ロヴァニエミを案内してあげたり、ヘルシンキに一緒に行ったりとても楽しい時間を過ごしました。ロヴァニエミではサンタクロースビレッジでサンタクロースに会ってきました。


サンタクロースと

 ヘルシンキでは世界遺産スオメンリンナ島に行ってきました。かつて要塞であった跡が歴史を感じさせる島でした。


島の入り口に構える門

クリスマス会

 それぞれ違う人たちと計4回もクリスマス会をしました!その中でも、フィンランド人と一緒に静かに過ごしたクリスマス会とルームメイトと過ごしたクリスマス会について紹介します。 フィンランド人とのクリスマス会では、フィンランドのクリスマスでは定番の Joulutorttu(ヨウルトルットゥ、クリスマスパイ)を作ったり、クリスマスカードを書いたりしました。フィンランド語で「メリークリスマス」は、「Hyvää joulua」です。Jouluというのがクリスマスの意味なので、12月になると街中にjoulu~という単語が溢れます。ちなみに「ハッピーニューイヤー」は「Onnellista uutta vuotta」です。 フィンランドでは冬は寒く暗い時季。だからこそ12月になったらすぐにクリスマスの飾りつけを始めたり、飾りを作ったりして少しでも気分を上げるのだそうです。冬至までどんどん短くなっていった日照時間は、クリスマス周辺では1時間半~2時間くらいになってしまいます。でもここからは昼の時間が長くなるばかりなのでそれを糧に日々を乗り越えていきます。クリスマスを通じてフィンランド人の辛抱強さや、冬を楽しみたいという純粋な心を覗き見ることができました。


Joulutorttu
黒いのはプラムジャム、オレンジはリンゴジャム

 ルームメイトが半年の留学を終え帰ってしまう前にクリスマス会をしました。彼女はスコットランドの人でディナーにスコティッシュ料理を作ってくれました。私は焼きおにぎりとみそ汁を作りました。みそ汁はほとんど飲んだことがないようでとても喜んでくれました。ディナーの後にはトランプをしたり、帰国の前に凍った湖の上を歩きたいという希望で散歩に出かけたりしました。


ルームメイト(左)とその友人

 二人はとても陽気な人で、そりを持ち出して遊んだり、雪の中に倒れたり、歌ったり踊ったりとても明るい夜になりました。彼女たちを含めてほとんどの留学生が半年の留学期間で帰ってしまい寮はとても静かです。今は少し寂しいですが、また1月から新しいルームメイトと楽しみたいと思います!