ラップランド大学 国際文化学科4年 中村はつき<1号 2021年9~10月>

 8月15日にロヴァニエミ空港に到着し、早2か月が経ちました。時折日本の家族やご飯が恋しくなりますが、体調を崩すことも無く元気に留学生活を送っています。到着した頃はダウンを羽織ると暑いくらいの気候でしたが、最近は木の葉もすっかり落ち、朝外に出ると道路や植物が凍っていることもしばしばあります。こちらに来て必要だと思った防寒具は、防水の手袋、マフラー、耳の隠れる帽子、コートです。私はどれもフィンランドに来てから揃えました。こちらには、セカンドハンドというリサイクルショップが沢山あり、身の回りのものを安く手に入れることができます。


大学に行く途中で凍っていた花(10月6日)

 私はUnderstanding Finland, Finnish1, Finnish2, Chinese1, Chinsese2, Introduction to Intercultural Communication, Indigenous (Sámi) Spirituality and Religious Beliefsの7つの授業を取っています。フィンランドでの履修は、日本の大学のように全ての授業が同じ時期に始まり、学期末に一斉にテストがあるという訳ではありません。そのため、Understanding FinlandとFinnish1, Chinese1は既に成績が付きましたが、Finnish2, Chinese2, Indigenous (Sámi) Spirituality and Religious Beliefsの3つは11月から授業が始まります。
 Understanding Finlandは大きな講義室で教授の話を聞き、最後にレポートを出す形態でした。フィンランドに来て初めての授業で、先生の話は半分くらいしか理解できませんでした。また、1コマ3時間あるため、集中力を持続させるのがとても大変でした。前半は頑張って聞いていても、後半は英単語が頭の中を流れていくだけで理解できていないことがよくありました。そのため最終レポートは、Moodleというサイト(アプリ)に掲載された授業の録画を全て見直した上でレポートを書きました。フィンランドでの最初の成績は3でした。成績の判定は、不合格・1~5(5が一番良い)です。最初は落ち込みましたが、今は、「こんなに付いていくのに必死なのに3ももらえてラッキー!」と前向きに捉えています。提出したレポートへの細かなフィードバックがあるため、次回はもっと良いものが書けるように頑張ります。
 フィンランドに来て最初に困ったことは、フィンランド語が読めないことです。来る前は公用語がフィンランド語とスウェーデン語とは言え、街には英語が溢れているだろうと高を括っていたのです。しかし、スーパーに行くと英語表記の商品は少なく、買い物にとてつもない時間がかかりました。最近はFinnish1(フィンランド語の授業)を受講し、生活にも慣れたことでだいぶ分かるようになってきましたが、グーグル翻訳のカメラ機能に助けられる毎日です。英語表記の無い商品は多いですが、フィンランド語、スウェーデン語はもちろん、ロシア語、ドイツ語を目にする機会は多いです。
 土日はなにかと予定が入ることが多く、予定と課題をこなしたらあっという間に一週間が終わります。休日はヘルシンキやオウルに旅行したり、ベリー狩りへ森に入ったり、友達とバーベキューをしたり、カードゲームを教えてもらったり、外食をしたり、友達とご飯を作ったり、グループスタディをしたり...と盛り沢山な日々です。ベリー狩りは、無料でそこら辺になっているベリーを誰でも摘んで持って帰ることができました。ハイキングとバーベキューもしてとても楽しい時間でした。カードゲームは、フィンランドやヨーロッパのもので遊びました。ゲームの説明を聞くのもかなり理解力が必要で、良い英語のトレーニングになったと思います。


クリスマス定番の飲み物をお供にカードゲーム

 外食では、フィンランド人の友達にKoti Pizzaというピザチェーンに連れていってもらいました。そこではトナカイのピザに挑戦しました。トナカイ肉は少し臭い牛肉といった感じで美味しかったです。驚きなのは、フィンランドでは、ピザは一人一枚食べるのが主流ということと、ピザにカリカリに焼かれたベリーが載っているということです。ピザが一人一枚というのは、一人ひとりの自立を重んじるフィンランドの文化を考えれば理解できましたが、肉とベリーが同じピザの上で共演するとは思ってもみませんでした。友達曰くピンクのソースもベリーだそうです。食を通してフィンランドを感じた日でした。


トナカイ肉とリンゴンベリーのピザ

 グループスタディでは、同じFinnish1の授業を取っている友達と一緒にテスト勉強をしました。彼は英語がペラペラで授業の内容がわからないはずが無いなのに、フィンランド語に関しては私の方が理解しており、気が付くと教える側になっていました。また、テストが目前に迫っているのにも関わらずご飯をふるまってくれたり、コーヒーを淹れてくれたりしました。とにかく彼はホスピタリティーに溢れていて、勉強する時間よりも家事をしてくれている時間の方が多いのでは?と心配になるほどでした。その他のエピソードで面白かったのは、ドイツ人に間違えられたことです。共同の洗濯機を使い終えて部屋に帰る際フィンランド人に呼び止められ、「Are you German?」と聞かれました。日本では起こりえないことが海外では起こるようです。
 フィンランドの美しい自然と綺麗な空気、寛容な人々、ゆったりと流れる時間、身近に溢れるアート作品、楽しく頼れる友達に囲まれて充実した留学生活を送っています。こんな状況下でも変わらずに留学に来られたこと、対面で授業が受けられることに感謝して3か月目からも頑張ります。


初めてのバーベキューで知り合ったイタリアの友達に撮ってもらいました