ラップランド大学 文化創造学科3年 原田裕作 <1号 2021年9~10月>

 フィンランドでの滞在が早くも2か月を過ぎました。到着した8月中旬は日本での初秋程度の気温でしたが、それから気温が急激に下がり、秋も終わり今では0℃を下回っています。今回の体験記ではフィンランドに来てからの多くの気づきや留学生活について幅広くまとめます。

大学での学び

 大学では第一セメスターが後半に入り、少しずつこちらの大学生活に慣れてきました。今期で履修している講義はフィンランドデザインやフィンランド語、紳士服デザインなどラーニングセンターが開講している言語を学ぶものから、専門分野の講義まで多岐にわたります。講義の印象としては、日本と比べてグループワークやグループディスカッションなど他の人とコミュニケーションを取りながら学びを深めていくものが多いようです。特にデザイン専攻の多くの人が履修している「フィニッシュデザイン(Finnish Design)」では様々なデザイン領域のテーマに沿ってグループで調べ学習を行い、次の授業でその成果を他のグループの前でプレゼンします。グループワークでは自分の伝えたいことや意見を的確に相手に伝えることが難しく、多くの苦難もありますが、チーム内で協力し、プレゼンの内容を作り上げるというプロセスからは多くのことを学ぶことができます。周囲の人は英語を母国語とする人が多いわけではありませんが、世界から留学生が集まっているだけあり英語をとても流暢に話します。正直、デザインを今まで学んできましたが、英語の学習が不十分であることを渡航してすぐ目の当たりにしました。これから留学を志す方は、TOEICはもちろん、ネイティブの人と英語で話をする機会を事前に作っていくと役立つと思います!
 レクチャー自体のスケジュールについては日本での講義と比べると少し余裕があるように思えます。交換留学中に取得すべき単位数(クレジット数)はある程度の目安は定められているものの、県立大学が定めている決まりはないため、柔軟に講義を取得することができます。ただシラバスを見ると、単位取得のために予習や復習の時間を確保することが求められているため自分でしっかりとスケジュール管理することが必要です。
 私は講義の他に山口でもうすぐ開催される「Yamaguchi×Rovaniemi デザインウィーク2021」に作品を送り、出展することを目標に作品の制作をしています。ラップランド大学がデザイン学部を中心に県大と連携を結んだ背景もあり、ラップランド大学の先生方も非常に親身になって相談にのってくれます。ここでの学びは非常にフレキシブルであるので、渡航する前には講義の内容だけではなく、9か月間の間に「これを絶対にやる!」などの目標を作っておくと、有意義な留学生活になると思います。またデザインの学生の課題や講義の課題なども多く課されることがありますが、図書館や実習室など大学の施設は充実しているので、集中して取り組むことができます。8月のオリエンテーション期間には電子キー(大学入構パス)を手続きし受け取ると、夜の12時まで大学に出入りすることが出来ます。(ファッションデザインの学生は24時間作業可能!)

フィンランドでの生活

 現地での滞在は大学が斡旋しているアパートで生活していて大学まで徒歩5分程度です。基本的に個室が2~3部屋あり、台所やバスルームなどは共用になっています。僕はイスラエル出身の友人とシェアしています。私がフィンランドに来る前からアパートで生活を始めていた彼に色々聞きながら、生活になじむことができました。多くの留学生は渡航する前に生活を共にするルームメートについての不安がありますが、まず分からないことがあれば全て確認し、ルールなどをお互いで共有することで少しずつ現地での生活への不安を和らげることができるのではないかと思います。
 普段の買い物事情については歩いてすぐのところに地元の人御用達のスーパーマーケットがあり、自炊の食材や日用品などを買うことができます。他の日用品やアパレル関連、化粧品や雑貨関係などは自転車で20分程行ったところに街の中心のセンターやショッピングモールがあるのでほとんどのものはそこで買いそろえることができます。また街には何個ものセカンドハンドショップ(リサイクルショップ)があり、そこに行けば冬物の服や調理器具なども安い値段で見つけられます。フィンランドに到着してすぐのころは、アパートの前でリサイクリングルームというものが定期的に開かれていて、留学生が必要なものを格安でみつけることができます。私もルームメイトから話を聞いて知ったのですが、アパートや大学のSNSなどに情報があるので、こまめに情報収集することをお勧めします!


アパートからの風景

余暇の過ごし方

 講義がない日や週末などは買い物に行ったり、サンタクロースビレッジ、フィンランド人の友人とベリー摘みやハイキングに行ったりしています。また時には部屋で他の留学生と一緒にカードゲームやハロウィーンパーティをしたこともあります。文化の違う国の人と同じ空間で話をすることで多くの気づきもあり、勉強になります。また大学のESN(学生団体)では留学生向きの様々なイベントを企画しているので、友人作りにはこれらに参加してみるのも面白いと思います。積極的に行動することこそ留学生活を有意義に過ごす方法です!
 10月には教員も含めて、1週間ほどの休暇があったので、スウェーデンやノルウェーに北欧旅行に行きました。せっかくフィンランドにいるので、海外旅行に興味ある方は他の国にも目を向けて見るとさらに行動範囲を広げられます。


同じアパートの友人たちとカードゲーム


今後の予定

 あと一か月程度で第一セメスターが終了します。留学生の中にはこのタイミングで帰る人も多く、仲良くなった友人と別れるのは少し寂しい気もします。私たちは12月中旬から冬休みに入るので、その間に次のセメスターの講義を決めたり、本場のクリスマスを体験したりします。このようにすると、始まったばかりに思える留学生活もそれほど長くないように感じてしまいますが、これからも悔いが残らないように生活していきたいと思います。


早くもクリスマスを感じさせるツリー