ラップランド大学 国際文化学科4年 北谷緑 <最終号>

はじめに

 長かったようで短かった留学生活も、とうとう終わりを迎えました。9ヶ月間のフィンランド生活はとても濃厚なものでした。今回は最終号ということで、フィンランドについてまとめます。

大学生活

 5月に入ると基本的に授業も終わりに近づき、インテンシブ(集中的)な授業はありませんでした。しかし、私は1年を通してプロジェクトの授業を履修していたのですが、そのプロジェクトが5月末~6月上旬にかけて行われるため、5月はプロジェクトのミーティングや準備を着々と進めていました。また、留学生用アパートの退去日が5月末だったので合間を縫ってアパートの掃除や断捨離等をしていました。私は幸いなことに、入寮時にロヴァニエミ在住の知人から日用品、寝具、自転車など必要最低限のものをお借りしていたので、これらのものを処分したり売ったりする必要はありませんでした。しかしセカンドハンドショップ等で安く買って揃えた人は、退去前に売ったりするのが少し面倒そうでした。ただ私の住んでいた学生寮の地下にリサイクリングルームがあり、退寮日の数週間前から決められた日時に開放され、食料品以外のものは無料で保管出来るので、私も借り物以外はリサイクリングルームに持って行きました。
 そしてプロジェクト、退寮準備が終わり、ラップランド大学のインターナショナルオフィスに成績証明書の申請に行き、お世話になった先生方にご挨拶に伺いました。授業が英語ではなくフィンランド語で開講されていたものも多々あり、当時は内容を理解するのに苦労しましたが、それも今となっては良い思い出です。慣れない環境の中でどう前進するか。分からないことを分からないと言うのを恐れてそのまま立ち止まるか、正直に分からないと助けを求めるのか。明らかに後者の方が生き抜く力が身につくと実感しました。私は比較的これまで分からないことは分からないと言って来ましたが、日本にいた時は分からないと言うこと自体が恥ずかしいというような雰囲気を感じていました。私は恥ずかしいことでも悪いことでもなく、「分からない」のに「分かったふり」をしていることが一番怖いと思います。例えば留学先での授業中に先生の言われた課題内容や締切日が正確に聞き取れず、何となく分かったふりをすると、どうなるでしょうか。締切日がはっきり分からず日にちを忘れる、課題内容と違うことをしてその結果単位を落とすなど、学生の立場にたつととても恐ろしいことですよね。授業のこと以外にも、自分で積極的に主張する大切さを、留学を通して改めて強く学びました。帰国後もまだいくつか授業が残っているので、以上のことを大切にします。

デンマーク旅

 5月上旬に3泊4日でデンマークに旅行しました。Norwegian air(ノルウェー・エア)というLCC(格安航空会社)の学生割引キャンペーンでチケットが安かったので、授業がないこの時期に行くことにしたのです。5月上旬とはいえロヴァニエミはまだ肌寒く草花もなかったので、春のような日差しと色鮮やかな草花を首都コペンハーゲンで目にした時は、とても嬉しかったのを覚えています。日本にいると暖かい日差しを浴び、草花を見ることは当たり前でしたが、北極圏で暮らすと特別なことだと感じるようになりました。


デンマークのカフェ


パスタ

市場

卒業パーティー

 フィンランドでは高校卒業日に自宅で盛大に卒業パーティーを開くそうです。このホームパーティーでは親戚、友人、ご近所さんたちが1輪のバラとお祝いカードとお祝い金を持ってきます。高校卒業年齢の18歳が成人年齢ということも少なからず関係しているのかな、という印象です。この日は日本では考えられませんが、玄関ドアを開けっ放しにしておいてゲストが入れ替わり立ち替わりで主役を祝います。卒業生は卒業日にホワイトキャップをかぶるのが伝統です。留学中にこのような特別な行事に参加できて嬉しかったです。

結婚式

 卒業パーティーに続き、結婚式にも参加させていただきました。まだ私は友人の結婚式に参加した経験がなかったので、最初はドキドキしましたが、とてもアットホームな雰囲気で楽しむことができました。日本の結婚式では新郎・新婦が両親への手紙を読んで感動で会場が包まれる...というようなイメージがあるのですが、フィンランドの結婚式はそのようなものはなく、ダンスをしたりバンドの演奏があったり、エンターテイメント中心の結婚式が主流だそうです。


おわりに

 約9ヶ月の留学も終わり、もうすぐ帰国を控えています。留学期間中、レポートには書ききれない程多くのことがあり、色々な思いをしながらめまぐるしい日々を過ごしてきました。毎日新しい発見がありました。このような実り多い留学生活を送れたのは、私を励まし、応援とサポートをしてくれた関係者の皆様のおかげです。心からの感謝と共に、Kiitos Paljon kaikille(皆様ありがとうございました!)