
曲阜師範大学での留学生活が終わりを迎えました。中国の春節が終わるとともに日本へ帰国し、現在は留学生活のアルバムを作りながら、その日々を振り返っています。改めて思い返すと、この一年はかけがえのない時間であり、心から幸せな留学生活だったと感じています。
日照での留学生活

日本語学科の学生と再会
日照市での生活にも慣れ、休日には仲良くなった留学生と一緒に日照に残る古城や、隣町の臨沂市、青島に遊びに出かけました。移動には、高鉄(新幹線)に比べて手頃な火车と呼ばれる列車を利用することもあり、その道中もまた旅の楽しみの一つとなりました。


~クリスマス・年末年始~

中国ではクリスマスや元旦を盛大に祝う習慣はあまりなく、街の装飾も控えめです。私は留学生と共に寮で映画を観ながらケーキを楽しみ、中国人の友人とは大学近くのレストランで食事をしました。
一方で、旧正月である春節が最も重視されるため、元旦の行事は少ないとされますが、日照市では12月31日の夜から海辺で花火が打ち上げられ、活気ある祝賀の様子が印象的で、中国の祝祭文化の違いを強く実感しました。
~1月~
中国人の友人や大学周辺のお店の従業員の方々、そして一緒に過ごしてきた留学生たちとの別れが近づいてきました。試験や帰国準備に追われる中、ふと考えると、春節に合わせてみんな故郷に帰るのではないかと思い、一緒に過ごせる時間が限られていることに気づきました。そこで、WeChatのモーメンツ機能を使って、もうすぐ帰国することを伝えました。
その投稿をきっかけに、多くの方から連絡をいただき、一緒に食事をしたり、お礼の手紙を渡したりする機会が増えました。また、プレゼントや手紙を受け取ることもあり、それらは私にとって大切な宝物となりました。残りわずかな中国での生活を有意義に過ごしながら、これまでお世話になった方々に感謝の気持ちを伝えることができました。

日照で食事

寮の留学生が私の誕生日をお祝いしてくれました。みんなでケーキを食べたり、プレゼントをもらったりして、寮ならではの温かい雰囲気の中で楽しい時間を過ごしました。友人が用意してくれたサプライズにも驚き、とても嬉しかったです。初めて海外で過ごす誕生日だったのですが、留学生ならではの素敵な思い出になりました。


期末試験について
2025年1月2日、3日に期末試験が行われました。中国では旧正月を新年として盛大に祝うため、年末年始でも中国で過ごしていると日本で過ごすようなお正月の雰囲気はなく、授業も通常通り行われました。そのため少し不思議な感覚でした。
私の所属する中級クラスでは、1日目に作文、口語、総合の試験が、2日目にリスニングと読解の試験が実施されました。試験の1週間前は授業が自習時間になるため、その期間は図書館などでよく勉強していました。
試験が終わるといつでも帰国できる状態になりますが、私たち交換留学生は成績証明書や修了証書を受け取る必要があります。試験の3~4日後に受け取ることができるようになりますが、確実に受け取るために事前に担当の先生に確認を取っておくことが大切です。
旅行 ~青島・天津・北京・済南・煙台~
特に印象に残っているのが天津と北京、済南です。天津を訪れるのは初めてでしたが、「お笑いの町」と称されるだけあって、人々の気質はどこか朗らかで、町全体に独特の風情が漂っていました。その魅力にすっかり引き込まれ、天津がとても好きになりました。
北京の頤和園では、授業で「冬になると湖が凍り、その上を滑ることができる」と学び、その光景を楽しみにしていました。しかし、今年は暖冬の影響で氷が張らず、スケートをすることは叶いませんでした。それでも、偶然目にした夕焼けと庭園、湖が織りなす光景は息をのむほどに美しく、心に深く刻まれるひとときとなりました。移ろう陽の光が水面に揺らめき、まるで時間が止まったかのような幻想的な情景でした。
済南では中国の歴史と文化への理解を深めるべく、山東博物館を訪れました。館内には先史時代から近代に至るまでの貴重な文化財が展示されており、特に青銅器や儒教文化に関する資料が印象的でした。また、民俗文化や自然史の展示も充実しており、山東の多様な魅力に触れる貴重な機会となりました。済南を訪れる際は、山東省の歴史と文化を深く理解できる山東博物館をぜひ訪れてみてください。

及ぼさないようにという看板


帰国について
煙台空港から福岡への直行便は約1時間半で便利かつ手頃なため、初めて煙台を訪れ、観光後に帰国することにしました。到着すると雪化粧の港町が広がり、歴史的建築や海沿いの景色を楽しみました。空港は小規模ながら手続きがスムーズで便利でした。
学んだこと、得たこと
中国での生活は充実しすぎて、1年はあっという間に過ぎていきました。学習面では、漢字の意味を理解していても口頭表現が難しく、さらには中国人の会話も地域によって発音が異なるため、聞き取るのに苦労しました。中国には多様な方言が存在し、地域によっては聞き取れないこともありました。この経験を通じて、中国の広大さと、その言語文化の奥深さを改めて実感しました。また、中国の学生が早朝から夜遅くまで熱心に勉強する姿に刺激を受け、私もより一層学びを深めたいと強く感じました。
また、中国語には成語や詩、古典漢文といった高度な表現や文学作品が数多く存在し、それらを学ぶことで、中国文化の面白さや奥深さに触れることができました。今後は、こうした伝統的な言語文化にも積極的に取り組み、中国語の理解をさらに深めていきたいと考えています。将来的には、言葉の表面的な理解にとどまらず、中国語の美しさや背景にある思想までを学び、自らの知見を広げていくことを目標としています。
そしてこの1年間でできた友人は私にとってかけがえのない存在です。素敵な出会いや友人に恵まれ、留学先での経験や人との縁が、必ず自分の糧になると実感しています。日常の何気ないひとときから、学校行事、休日のお出かけもかけがえのない思い出になりました。帰国後も、SNSや電話を通じて連絡を取り合い、互いの近況を報告し合えることを嬉しく思います。このご縁をこれからも大切にし、落ち着いた頃にはポスターカードも送りたいと思っています。
最後に

この留学期間は自分自身のために時間を使い、ひたむきに努力を重ねることができた貴重な時間でした。長年の夢であった留学を実現し、大きな達成感を得ることができました。幼い頃から「いつか海外で学びたい」と漠然と夢見ていましたが、実際に日本語の通じない異国の地、中国に足を踏み入れ、異文化の中で生活することは想像以上に大きな挑戦でした。
留学を通じて、新たな目標も生まれました。将来的には中国語を教える立場となり、日中関係のさらなる発展にわずかながら貢献できればと考えています。中国には、「活到老,学到老」という言葉があります。その言葉の通り、学びに終わりはなく、始めるのに遅すぎることもありません。これからも私の新たな挑戦は続きます。いつまでも成長し続ける自分でありたいと思います。
最後に、何よりも私の挑戦を応援し、好きなことに全力で取り組む環境を与えてくれた家族、中国でお世話になった先生方や友人、日本から温かく見守り支えてくださった多くの方々にとても感謝しています。本当にありがとうございました。谢谢!