曲阜師範大学 国際文化学科3年 野村唯衣 <2号 2019年5~6月>

はじめに

 留学生活が始まって4か月が経ち、早くも前期が終了しました。曲阜での生活にも慣れ、3、4月に比べ落ち着いた日々を過ごしています。異文化の地に住んでいると、毎日たくさんの発見や変化があり、とても充実しています。

学校生活

授業
 最初の頃に比べると、授業への取り組み方や意識の仕方が大きく変化したように感じます。まず一番大きく変わったことは、リスニング力です。これまでは聞こうとしなければ頭に入ってこなかった中国語も、いつの間にか自然に入ってくるようになりました。また、3、4月頃は午後をほぼ予習・復習の時間に当てるほど、授業についていくのに必死でした。しかし今は予習・復習の仕方も変わり、授業範囲全てではなくある程度の予習をし、授業でさらに理解を深めるという効率的な勉強法が習慣づきました。そのため午後の時間にも余裕があります。

中間・期末テスト
 5月9、10日に中間テスト、7月4、5日に期末テストがありました。主に教科書やHSK(政府認定の中国語資格)の内容について出題されました。
 中間テストでは、漢語総合はピンイン(ローマ字式の中国語の発音記号)を見て漢字を書く問題や、並び替え問題、熟語を使った作文問題、教科書で習った範囲の総合的な問題が出されました。漢語閲読はHSK4級の閲読部分が出題されました。漢語口語は与えられたトピックについて先生と一対一で話す形式で、漢語聴力は教科書の内容を問うテストでした。漢語写作はHSK5級の作文部分が出題されました。
 期末テストの内容は、漢語総合と漢語口語は中間テストと形式は同じく前期で習った全ての範囲で、漢語閲読、漢語聴力、漢語写作の3教科はHSK4・5級のぞれぞれの部分のテストでした。
 私は約1週間前からテスト勉強を始めましたが、授業を欠かさず受け毎日予習・復習をしていたため、あまり難しく感じませんでした。一番苦労したのは、単語のピンインと声調を覚えることです。日本人は中国語を勉強する時、音からではなく漢字を見てその意味を覚えます。また聞き取った単語も漢字で書きます。しかし漢字を使っていない他国の留学生は音から入るため、授業で聞き取った単語も全てピンインで書いています。私にとってはピンインと声調を書くことのほうが漢字を書くことよりも難しく、テスト勉強の時はひたすら単語のピンインを紙いっぱいに書いて覚えました。
 成績は、中間テストの成績30%+期末テストの成績40%+出席、授業態度の成績30%でつけられます。

日常生活

気候・蚊との戦い
 5・6月は毎日蒸し暑く、暑い時には36℃を超える日が続きました。そのため1日中エアコンをつけて過ごし、日中は外に出ることが嫌になるほどでした。私たち留学生の部屋や教室にはエアコンがついていますが、本科生の宿舎は1部屋6人~8人で過ごしエアコンが無いと中国人の友人から聞きました。留学生の宿舎が最も過ごしやすい場所だとよく言われますが、まさにその通りで、非常に暮らしやすいです。宿舎代は前期で3,150元(約56,700円)でした。電気、水道、Wi-Fi代なども全て含まれており、非常に安く快適に留学生活を送ることができます。
 しかし厄介なことが一つあり、それは蚊との戦いです。暖かくなるにつれて蚊やハエの数が多くなり、朝起きると夜の間に8カ所も刺されていたこともありました。中国の蚊は何度も同じ箇所を刺してくるため非常にかゆく、なかなか寝付けない日もあり、蚊に悩まされる毎日でした。中国には蚊取り線香や、プラグを挿すタイプの電子蚊とり器、殺虫スプレーなどもあります。しかし蚊には効果がありませんでした。私は日本からかゆみ止め薬を持ってきておらず後悔したため、留学を考えている人は自分の使い慣れた薬などを持参することをお勧めします。


中国の蚊取り線香など

自主学習
 私は7月に日本に一時帰国した際にHSKを受験しようと思っていたため、授業の予習・復習、宿題が終わった後、時間がある時は日本から持ってきていた問題集を使って自主学習をしました。HSK対策用の授業はありますが、HSKを受けるための準備として文章読解や新出単語を習うのみで、実際のHSKの模擬試験を解いたり、HSKのリスニング問題を解いたりという内容ではありません。そのため、日本の問題集についているCDを、パソコンを使って聞いて勉強しました。留学中に本屋さんやネットでHSKの本を買うことも可能ですが、説明も中国語のため日本語で書いてあるほうが良ければ日本の教材を持参することをお勧めします。


左:HSKの授業で使う教科書 右:日本で買った問題集

中国のテレビ、映画
 先ほども述べましたが、午後や夜の時間に余裕ができたため、5・6月は中国のテレビ番組、ドラマ、映画を観て楽しみつつ中国語の勉強をしました。
 中国のテレビは多くの番組に字幕がついており、音声を聞きながら字幕を見て理解することができるため、リスニング力を伸ばすことができます。また、授業では習うことのない日常生活で使う中国語や文化を知ることができます。中国のドラマは日本と違って毎日続きが放送されるため、私は一時期とあるドラマにはまってしまい、毎日ドラマを観ていました。
 テレビだけではなく「愛奇芸」というアプリを入れると、中国だけではなく日本や海外の映画、ドラマ、アニメを無料で観ることができるため、よく利用していました。
 また大学の近くに映画館があり、そこで「千与千尋(千と千尋の神隠し)」や「玩具総動員4(トイストーリー4)」を中国語で観ました。チケットは事前にネット予約・支払いを済ませ、自分で発券することができるため便利です。また1回20元(約360円)と、日本に比べて非常に安く映画を観ることができます。
 机に向かっての勉強だけではなく、楽しみながら中国語を勉強できるため、非常に効率の良い勉強方法だと思います。

余暇
~中国の友人と料理~
 私たちの宿舎には共同のキッチンがあるため、そこで中国人の友人に中国料理を教えてもらいました。日本にも中華料理はありますが、日本人向けに作られているため味付けが全く違います。また中国の料理は脂っこく辛いものが多いため、教えてもらった時使う油の量には驚きました。


麻婆豆腐やトマト卵の炒め物など

~尼山~
 1号のレポートでも述べた通り、ここ曲阜は孔子の故郷です。非常に大きい孔子の像やショーを見て、孔子についてさらに詳しく知ることができました。

孔子の像

~夜市~  大きくはないですが、公園で毎日夜市のようなものが開かれています。日本でいう屋台のようなものが道に並んでおり、食べ歩きや買い物などを楽しむことができます。

屋台と小さな公園

旅行

 6月7日の端午節(日本でいう端午の節句)を利用して、2泊3日で青島に旅行に行きました。日本から青島大学に留学している友人と久しぶりに再会することができ、たくさんの観光地を一緒に訪れることができました。曲阜市にはない地下鉄やコンビニの物価の違いなど驚きの連続で、非常に生活しやすい場所だと思いました。同じ中国でも曲阜とこんなに違うのかと思ったのが正直な感想です。しかしそれと同時に曲阜市の良さも改めて知ることができたため、充実した旅行でした。


公園から見た青島の景色

青島海底世界


青島ビール博物館でビールの試飲

五四広場

おわりに

 前期を共に過ごしてきた他国からの留学生はほとんど半年で帰国するため、後期からはまた新しい留学生がやってきます。別れは悲しいですが、後期からの留学生活に期待を膨らませています。そして後期からは勉学はもちろん自分の興味のあることを見つけ、新しいことにもどんどん挑戦していきたいです。