ビショップス大学(2018年度交換留学生)国際文化学科4年 村岡誠 <最終号>

はじめに

 帰国してもうしばらく経ちましたが、今でもたまに留学中のことを思い出すことがあります。正直、大変なことも多い留学生活でしたが、今ではその思い出さえ愛おしく感じてしまいます。今回で私の定期報告は最後になりますが、改めてこれから留学に行く方にもそうでない人にも、この文章を少しでも多くの人に読んでいただけると幸いです。

カナダに行くまで

 私が留学したいと思ったきっかけは、高校時代に参加した国際交流プログラムです。そのプログラムを通して多様な人々と関わる中で、普遍的な交流のあり方とは何かを模索したいと感じるようになり、その考えを深めるためにも留学に行きたいと思い始めました。大学1年生のときには海外語学・文化研修で2週間シンガポールへ行き、長期で留学に行きたいという気持ちはさらに強いものになっていきました。しかし2年生の時の交換留学生募集の際にはTOEICの点数が条件を満たしておらず、募集することができませんでした。諦めかけていましたが、その年の7月に受けたTOEICで条件以上の点数を取ることができ、その時点で残り一枠だったのですが、応募してみることにしました。そしてその後留学へ行くことになりました。正直、留学生として選ばれたときはとても嬉しく感じましたが、その分不安も大きかったです。なぜならシンガポールしか外国に行ったことがなかったので、海外経験が極端に少ない私がこの留学生活を乗り越えることができるのかと思ったからです。そんな複雑な気持ちを抱きながら留学生活は始まりました。

留学生活の中で

 留学生活で一番大変だったのは、最初の1週間でした。まず現地の人々が話す英語が全く聞き取れなかったことは本当にショックでうちひしがれました。そんな中で、オリエンテーションウィークのアクティビティに参加し、チームの仲間との交流やワイワイガヤガヤとはしゃいだのは楽しい思い出であると同時に複雑な心境だったことを覚えています。そんなこんなで授業もスタートし、「カナダでの生活のしかた」も徐々に覚えていきました。異文化の波に毎日揉まれ、その「違和」について考えることは自文化を考えるいい機会にもなりました。そして友人と会話したり、どこかに買い物に行ったりご飯を食べに行ったり、様々なことができるようになっていく中で、この留学で何が残せるのだろうかと思ったときに考えたのが、オリジナルTシャツの作成でした。貴重な留学生活の中で自身の勉学とは別に、自分の好きなことに打ち込めたことは本当にありがたいことでしたし、良い経験でした。最後のお別れパーティでは、恥ずかしながら涙を流してしまいました。終わりが近づくにつれ、良い体験だったなあと感慨深く感じてはいましたが、泣くとは思っていませんでした。ですが、パーティで気の知れた友人たちが楽しく会話する姿を見ると「2度と戻れない日々にいるんだ」と思うと急に涙が溢れてきました。一番泣きそうにないのに泣いている私の姿を見て皆は笑っていました。その皆のキラキラした目は今でも覚えています。


オリエンテーションウィークのチームで英語が拙い私を支えてくれたジュリエットとの1枚。当時いつも「楽しんでる?」や「今の説明わかった?」など優しく気にかけてくれました。

最後のパーティ、みんなで1枚。

学んだこと

 この留学生活で学んだことは数え切れないほどありますが、なかでも、たくさんの人との関わりの中で「優しさ」を学びました。不安だらけの毎日で、周りが見えていないことも多かったです。しかし周りにはたくさんの優しさがありました。大切なのは自分がその優しさに頼れるかどうかだと思いました。ときに友人たちとの衝突もありました。でもその度に、相手が知っている私の知らない私というものに気付かされ、本当に人とのつながりや交流は面白いなとつくづく思いました。特に国籍や人種などの文化のバックグラウンドが大きく異なるからこそより複雑なものになってきます。でも私にとってそれを考えるのがとても面白く貴重な経験でした。高校時代に模索したいと思った「普遍的な交流のあり方」が何なのか自分の中で見つけられたような気もします。

さいごに

 当時のことを思い出しながら文章を書いていると、1年も2年も前のことのように感じられ、懐かしく感じますが、それでもそれぞれを鮮明に覚えています。留学で学んだことは今後の生き方の指針にもなるような場面がたくさんあり、これから様々な場面でアウトプットすることが楽しみです。まずは、先述したように他者に対して「優しさ」を差し伸べられるように励んでいきたいなと思います。

最後に留学仲間の二人とも、本当にありがとう!