ビショップス大学(2018年度交換留学生)国際文化学科4年 村岡誠 <4号 2019年3~4月>

はじめに

 3月10日からサマータイムに入り、日本との時差が14時間から13時間に縮みました。その頃から陽も長くなり、気温も段々と上がってきました。とはいっても、不安定な天候の時も多く、ときどき雪が降ることもあります。日本では桜が満開だった4月初めは、まだまだこちらでは残った雪もあり、肌寒い日が続いていました。 カナダに来た当初は見るもの全てが新鮮で新しく、毎日が新しいことだらけでしたが、それらも今ではすっかり「当たり前」の一部になってしまい、慣れたという点では嬉しい気持ちですが、留学が終わると思うと寂しい気持ちでいっぱいです。そんな3、4月は現地の授業とは別に、就職活動や卒業論文にも少しずつ取り組み、忙しいながらも充実した毎日を過ごしました。本号では、授業それぞれのMid-term、Final-termや、その他の出来事について書いていきます。

 左が3月下旬、右が4月中旬の部屋から見た景色の比較写真です。この期間に気温がたいぶ上昇し、かなり溶けてきたことがわかります。溶けてくると、路面が融雪剤や泥などで汚れていて歩きづらいです。

学校生活

冬学期の授業

ESL125 / English Phonetics and Pronunciation
 期末テストは無く、いくつかの課題や小テストで評価されました。今回はそれぞれ取り組んだ4つの課題について紹介します。
まず、授業を通して発音におけるルールや理論に関する小テストが4回ありました。癖のある問題が多く、かなり難しく感じ、なかなか納得のいく点を取ることができず、苦労しました。最後には4回のテストを踏まえ、まとめのテストがありました。
 また、Mid-termとFinal-termに「読み」のテストがありました。Final-termで読んだ文章は、初見では読めないような単語が沢山散りばめられた文章で、前回同様、1分間程度サッと目を通す時間がありました。しかし実際に読んでみるとわからない単語ばかりで、自分でも何を読んでいるか分からなくなるような感覚になり、あまり上手に読めませんでした。
 3つ目は事前に渡された文章を読み、録音し、その音声ファイルを提出するものでした。録音なので何度も練習し、満足できるものを提出しましたが、採点が返ってくると、減点もありました。例えば「L」と「R」の発音、これは意識して読んでいるつもりでしたが、ネイティブからしてみればまだまだ自分の発音は曖昧なのかと反省しました。次に「V」の発音です。これは下唇を噛むように発音しますが、意識を怠ると「B」に聞こえるようで、意識的な改善が必要だと感じました。最後にネイティブのような「つなげ読み」です。ネイティブのようにスムーズに読むには単語の語尾と語頭を繋げながら上手に読むことが大切です。これに関するルールは授業で習いましたが、実際に読む際に意識しながら読むのは難しく、逆におかしな繋げ方は減点の対象になりました。
 最後は5分間のプレゼンテーションです。題目は「My career」か「My studies」のいずれかでした。私は「My studies」でこれから取り組む卒業論文について話しました。話す内容やパワーポイントの使い方はもちろん評価の一部ですが、音声学の授業なのでやはり発音が特に厳しくチェックされていたように感じました。
 このように取り組む課題の数が多い授業で、特に4回行われた小テストには苦戦しました。しかし、「音」という観点から英語を考えるのは面白く、改めて自分の英語の発音と向き合う良い機会になりました。

UNI399 /Special Topics: English for Tourism and Hospitality
 この授業では6回のフィールドワークや役立つ英語に関する課題、そして中間・期末テストが行われました。テストでは主に授業で習ったことが出題されました。また課題の中でも面白かったのは、大学近辺の高台にある博物館にフィールドワークに訪れたことです。そこでは、英国の歴史や展示品を見たり触れたりしながら、アフタヌーンティーを楽しみました。授業を通して、とても優雅な英国文化に触れることができ、悠々とした午後を過ごしました。


気に入ったティーカップを選ぶことができます。紅茶を注ぐ時にできる泡は幸運の証だそうです。

かわいいお菓子が並び、おしゃれなお茶会になりました。

PSY101 / Introduction to Psychology
 残りのテストが二つ残っており、特に最後のテストは最もウェイトが大きかったので、慎重に取り組みました。授業の理解度を測るテストで、専門用語を覚えることや、その内容をしっかり頭に入れることが難しいところでした。いかに興味をもって意欲的に取り組めるかが大切だということを実感しました。

MUS131 / Materials of Music I
 全体で8回の課題提出がありました。覚えるルールや使えるコードが増え、また曲の終わり方(カデンツ)なども自分で作っていかなければならなくなり、段々と課題のレベルが上がっていきました。授業ではみなさんがよく知っている「ド(C)・レ(D)・ミ(E)・ファ(F)・ソ(G)・ラ(A)・シ(B)」を、ローマ数字(ⅰ〜ⅶ)を使って表します。その考え方を踏まえて、授業の後半はベートーヴェンやバッハ、シューベルトなどといった著名な作曲家の実際の楽譜を見て、ローマ数字にする「コード分析」を行いました。最後のテストでは、コード作りとそのコード分析が出題され、コードを作るだけでも2時間かかりました。


 これは課題で出されたバッハの「Chorale」のコード分析(解答)です。この分析をすることで曲がどういう風に盛り上がっていき、どういう終わり方をし、進行していくかが分かります。しかし、不慣れな自分にとって、分析はとても時間がかかる作業です。
 またコード作りもこの写真のように、ソプラノ・アルト・テノール・バスの四声部のメロディーを記入していく作業になります。

オリジナルTシャツの作成

 以前からこの留学が形として残るようなことをしたいと思っていたので、カナダのオリジナルTシャツ作成サイトを利用し、冬休みごろからデザインを考えました。冬学期初めくらいに、Tシャツ作成サイトへデザインを送り、発注をしました。前面の顔は岡本さんが冗談半分でメモ用紙に描いたものがベースになっていて、背面のデザインは私が特に印象に残っている秋学期の思い出をライブ会場風にもじり、バンドのライブツアーTシャツ風にデザインしました。出来上がったものをSNSに投稿すると仲の良い友人たちが「村岡が帰国したら買ってあげる」と言ってくれて、作った甲斐がありました。また、ある授業でこのTシャツを着て行った時、先生やクラスメイトに「いいデザインだね。」と言われて嬉しく感じました。


岡本さん、横田さんと一緒に撮りました。いつもありがとう!

おわりに

 テストやレポート、それに就職活動や卒業論文にも少しずつ取り組みながら、仲間との最後の思い出づくりも楽しんだ3・4月でしたが、私たちは4月の中旬に帰国しました。帰国後の就職活動などのことを考慮したので、他大学から留学に来ている学生に比べると少し早い帰国でした。4月から帰国までの期間は本当にあっという間で、「今日は何ができるだろう、何をしようか」を考える毎日でした。今思うと、日々の中でのほんの些細なことでさえ貴重な経験だったのだなと感じています。次号では、この8ヶ月のカナダ交換留学のまとめを書いていこうと思います。