センター大学 国際文化学科4年 伊庭健悟 <最終号 2024年5~6月>

テスト期間前からテスト期間中

今学期は秋学期の出来事を考慮して授業の難易度を下げたり、休日を課題の予習に費やしたりなど工夫しました。それにより精神的・身体的負担はかなり軽減された上に、授業にもついていきやすくなりました。テストや提出物等に関しても例外ではなく、早めに全てを終わらせることで、心に余裕を持たせることができ、今まで習ったことの復習や思い出作りなどに専念することができました。

CHN-120 Fundamental Chinese-Ⅱ

秋学期と同じく、中国語のみを使った台詞を作り、動画撮影を行い、投稿するといったものでした。内容は定期報告書第2号と殆ど同じになりますので、これ以上は省略します。

MUS-110 Fundamentals of Music

この講義の最終課題として、今まで習ったことを駆使し、一つの楽曲を作ることが求められます。基本的に二つの楽器やそれ以上を用いて和音やカデンツを作り上げた後に、その自作の曲をローマ数字による和声分析を行った後に提出します。こうして文字に起こすととても難しく聞こえますが、この講義自体が音楽について何も知らない初心者にも分かるように講義内容が構成されているので、特に難しいと感じることはなく、楽しく作曲をすることができました。作成した曲は、テスト期間中にクラスメート全員に軽く紹介を行った後に共有することでプロジェクト全体が終了します。

実際に作成した曲
実際に作成した曲

EDU-127 Education and U.S. Society

テスト期間中の最終日に試験が行われました。講義の集大成ということもあり、今まで習った内容も復習する必要があり、覚えなおすのにかなり時間が掛かりました。問題形式は選択問題と記述問題の二つで、特に他の試験と比べて変わったところはありませんでした。

留学を通して

簡潔に言うと、留学を経て英語能力を伸ばすことが出来ただけでなく、社会人になる上で大事なスキルやマインドセットを会得することができました。後先を考えて行動すること、自分に自信を持つこと、客観的に物事を捉えることなど、どれも基本的なことですが社会に出る上で非常に大事な要素を留学以前の自分よりも大きく成長させることができたのではないかと思います。他にも、膨大な量の課題と他者との会話が必要になるグループワークのおかげで、自ら率先して行動する自主性や積極性を高めることができただけでなく、私が今まで保つことのできなかった集中力をも養うことができました。

これらの点は、恐らく留学をするまでもなく培うことが出来るものだと思います。私の思う留学の醍醐味は、「日本とは違う世界を知り、自分自身を見つめなおすこと」だと思っています。アメリカに来て留学生活を始めるまでは、「日本人」としてではなく、「一人の人間」としてクラスメートや友達と交流をしていました。しかし、友達との会話を経たり、アメリカの社会状況や国際問題を学んでいく中で、少しずつ一人の「日本人」としての自覚が芽生え始め、自身のアイデンティティについて考えたり、そこから派生して日本の政治や社会状況に目を向けるようになりました。センター大学に来て人文学系統の講義を取る場合、社会問題や国際問題、歴史などについて考えることが求められます。日常生活では「人種問題」や「ジェンダー問題」に関するポスターやパンフレットなどを目にすることになり、以前までは他人事のように考えていたことが自身の身の回りで起きているのだということを感じさせられます。ここで一つ、私が少し戦慄した話をします。食堂で深夜の二時辺りまで課題に取り組み、帰宅しようとした時に、ふと入口に貼ってある数枚のポスターを見つけました。それらに目をやると、そこには昨今の戦争で帰らぬ人となった人たちの遺影とその人達の詳細が載せられており、深夜帯であったこともあって、背筋が凍りつくと同時に「今こうやって平和に暮らしている間にも人は亡くなっている」と言う事を思い出させられました。センター大学に留学していると、こういった政治や世界情勢に対する学生の動きをたまに見かけることがあります。他にも、"Cease Fire"と言った戦争の終結を求める書き込みが学校敷地内の歩道に書かれているのを目にすることもありました。一人一人がどれほど世界に目を向けているのかは分かりませんが、少なくとも今起きている現状に対して働きかけたいという意思を感じます。何事にも考えることを止めず、自分自身を或いは自分以外の何かを変えようと努力し続ける大切さを学ぶことが出来たのは、とても良い経験の一つと言えると思います。

次に人との関わりについて話そうと思います。留学当初からCentre Termまでは友達をどう作ればいいかが分からなかったり、英語を話す事が全く出来なかったことから、インターナショナル生とのみ関わったりすることが多くなったり、会話に参加できず黙々と会話を聞いたりしていたことが多々ありました。それが故に孤独感を感じたり、「このまま終わったら、一体アメリカに何しに来たんだ?」と焦りを募らせたりすることもありました。そのような中、春学期に差し掛かった時に何かを変えようと思い立ち、もっと話したことのない人とも積極的に話そうと決意しました。すると面白いことに、このお陰で自分が思っている以上に日本に関心を向けてくれる人や、何かしら日本に縁のあるアメリカ人が多いということに気が付くことができました。人との繋がりが広がると、英語に対するモチベーションの増加や自信にもつながりますし、アメリカ人がアメリカ人に対して話すレベルの英語を聞くことができます。勿論、誰もかれもが拙い英語に寛容である訳ではないですが、それでも話を聞いてくれる人は多いので、自分から話しかけるといった積極性がいかに大事かを実感することができました。

最後に私のルームメイトであるTylerとの思い出について話してこの体験記を終わろうと思います。彼は山口県立大学に留学に来たことのある方で、私の英語力の上達に協力してくれたり、観光として様々な場所に連れて行ってくれたりと沢山お世話になりました。私の留学生活をより濃く、素晴らしいものにしてくれた方と言っても過言ではないです。哲学的なことからヨーロッパやアメリカ国内の政治についての話を聞いたり話したりしたことも楽しい思い出ですが、それと同時に、そういった機会の積み重ねのおかげで、人に英語で物事を説明する力が身に付き始め、留学生活をさらに留学生活らしくすることができました。

帰国後

日本に帰国してから数週間経ちました。元々アメリカでもショックと言えるほどカルチャーショックを感じてはいませんでしたが、日本に帰国してからも逆カルチャーショックなども特に無く、日本での生活もすぐに慣れ、今までのアメリカ留学がまるで長い夢だったように思える程に普通の生活を取り戻りました。留学中に撮った写真を整理しつつ、大変だったことや楽しかったことを振り返る度に、とても恵まれた環境で勉学に励み、経験を積むことが出来たのだなと感じます。ただ、その反面で「もっと英語が喋れていたら...」と思う事があります。何度も言うように、英語が喋れない状態で留学に行っていた為、まだ伸びしろが多いと感じつつも日本に帰ることを余儀なくされました。少々後悔が残ったことは残念ですが、この経験を大いに活かすことのできるよう英語の勉強を今後も続けていこうと思っています。

この交換留学にあたって、サポートをして下さった両親や親戚の方々、留学する機会を与えて下さった大学関係の方々に改めて感謝し、この体験留学記を終わります。

学内のスターバックスの店員さんと撮った写真
学内のスターバックスの店員さんと撮った写真
早朝に空港まで来て
見送りに来てくれたAidan君
早朝に空港まで来て見送りに来てくれたAidan君
空港まで送ってくれたルームメイトのTyler君
空港まで送ってくれた
ルームメイトのTyler君