センター大学 国際文化学科3年 法水美咲 <1号 2022年9~10月>

留学準備について

 センター大学への派遣が正式に決まってから、実際に留学準備に取り掛かるまでには数か月の期間があったため、なかなか自分が留学に行くという実感が湧きませんでした。しかし、2月にセンター大学の方から初めてメールを受け取ってからは、怒涛の勢いで準備が始まりました。
 まず初めにパスポートの準備をすることから取り掛かり、ビザ取得のための準備、ビザの面接、フライトのチケット予約等他にも準備することは沢山あります。これは今までセンター大学に派遣に行かれた他の先輩方も言っていることですが、早めのうちに準備をすることをお勧めします。なぜなら、留学準備に必要な書類は、申請してから取得に時間がかかるものが多いため、早めに準備をしたつもりでも締め切り間近になってしまう恐れがあるからです。そのため、準備できる状態になったらすぐに取り掛かることをお勧めします。また個人的にお勧めすることしては、マイナンバーカードを作っておくことです。私はマイナンバーカードを持っていなかったので、各申請で追加の書類を準備する必要がありました。したがって、特別な理由が無い限りはマイナンバーカードを作っておくことをお勧めします。
 留学の準備については過去の先輩方も言及してくれていますが、私はその中でもビザ面接について詳しく書こうと思います。私は、「のりこ留学物語」(URL: アメリカ大使館・領事館 US Embassy Tokyo & Consulates in Japan - YouTube) というアメリカ大使館・領事館の公式YouTubeチャンネルの動画を利用して準備しました(先輩が過去に紹介してくださっているものです)。実際にビザの面接を行うまでには、面接に向けての書類一式を準備し、漸くオンラインでビザ面接の予約を取ることが出来ます。面接予約を取るには、DS-160という書類をオンライン上で記入する必要があるのですが、私はこの書類にとても苦労しました。動画内では全ての記入に一時間半ほどかかると言われていますが、私は四時間ほどかかりました。記入には時間がかかるため、内容を一時保存してまた別の日に記入することが出来ましたが、私はそれが上手くいかず、二度ほど初めからやり直しになってしまいました。もしそのような事が起きても対処できるよう、隙間時間に少しずつ記入するよりも、時間のある日に一度に行う事をお勧めします。そして記入が終わり、その他の書類も準備出来たらようやくウェブ上で面接予約の日程を選択できるようになります。
 しかし、私はここでもハプニングが起きました。予約可能な日時と自分のスケジュールを吟味するため、日程を選択していたら、急に日程予約画面にアクセス出来なくなり、面接予約が出来なくなってしまいました。大使館の方に直接連絡して分かったことなのですが、面接予約枠を閲覧できる回数には制限があり、何度も日程を確認しているとアカウントが凍結されてしまうそうです。凍結の解除には72時間がかかるため、皆さんは何度も日程を選択しなおすことのないよう留意してください。このようなハプニングも乗り越え、面接の予約も完了し、無事面接を受けることが出来ました。ビザ面接当日の持ち物についての規定がとても厳しかったため緊張していましたが、予想していたよりもあっけなく面接は終了し、開始してから約30分足らずで終わりました。規定さえ守っていれば、面接当日のことに関してはそこまで心配する必要は無いかと思われます。

秋のキャンパスの風景は、目を見張る美しさです。

到着後~大学生活

 現地時間8月16日にレキシントンの空港に到着した後は、センター大学の方が空港から大学まで車で迎えに来てくれました。大学に到着してすぐ、ISOという他国から来た留学生のサポートをしている方たちが大学や、自分たちの寮を案内してくださいました。私はセンター大学に来る前は、学校のような大きな寮が一つあるのかと思っていましたが、キャンパス内にはいくつもの寮が点在しており、そこにランダムで振り分けられるという形になります。私の寮はBinghamという寮で、比較的古めの寮でした。部屋やキッチンに特に問題はありませんが、私を最も苦しめているのは共同のシャワー・トイレルームです。私の部屋の階には何人もの学生が住んでいますが、シャワーは4つしかありません。しかも、そのうちの一つは壊れておりお湯が出ないため、実質3つしかありません。
 また、シャワーの反対側にはトイレがあり、シャワーの個室はカーテンで区切られているだけなので、着替える場所もなく、最初は毎日ストレスを感じていました。今は自分なりのシャワー方法を見つけ、殆ど気にすることもなりましたが、日本にいた頃の快適なお風呂が恋しいです。その反面、友達の新しい寮はシャワー室も綺麗な上に、1つ1つのシャワー室が部屋として区切られているため、羨ましく思っています。寮は完全にランダムなため、自分の運にかけるしかありません。

私の住んでいる寮、Binghamです。

 到着してから最初の一週間は留学生のためのオリエンテーションがあり、そこで沢山の友人を作ることが出来ました。ですが、着いてから数週間は英語でのコミュニケーションにとても苦労しました。毎日オリエンテーションのスケジュールが決められているため、他の留学生の人たちと毎日顔を合わせて食事をするのですが、食事の際の会話に全然ついていけず、最初の頃は食事の時間が来るのを憂鬱に感じていました。皆さんも最初は同じような経験をするかもしれませんが、必ず時間がたてば英語力は成長するのでどうか諦めないでください。私は二か月半が過ぎた今でも最初の一週間を過ごした留学生の子たちと食事をすることが多いのですが、今では楽しく会話をすることが出来るようになり、寧ろ食事の時間に友人と食堂に集合するのが楽しみになっています。

オリエンテーションの最終日には、新入生のセレモニーがありました。留学生の皆で、記念に写真を撮影しました。

授業について

 私が今学期履修している授業は、ARS110-a、PHI171-b、MUS120、THR117-b、MUS183-aの五つです。まず初めに、センター大学はセメスター制で、月水金にある授業と、火木にある授業に分かれています。そのため、「次の授業までにこの課題ね」と言われても、次の授業とは一週間後ではなく二日後ということを意味します。また、過去の先輩方も書いてくれていますが、毎回の課題の量が本当に多いです。特に、文系科目の授業では、一回の課題でリーディング平均15~20ページ程出ます。そのため、リーディングの課題を必要とする授業(宗教学、人類学、社会学、政治学等)は多くても二つで限界だと思います。もちろん、本当に受けたい授業があり、それが今学期に重なっているという場合はアドバイザーの先生と相談して決めることも可能です。

・ARS110-a
 この授業では、Drawingについて学んでいます。私は小さい頃から絵を描くことが好きだったことと、この授業ではリーディング等の課題が出ないため、負担を減らす意味合いも兼ねてこの講義を選びました。よく美術館で展示されているような絵画ではなく、位置関係や影を計算しながら、規則に従って様々な物体を描いていきます。

Vertebra(人間の脊椎)の骨を描く課題です。骨の位置を変え、4パターン描きました。

 この講義の教授は今年入ってきた新しい方なのですが、とても優しく、専門用語が分からない時も丁寧に説明しながらアドバイスをくださいます。この授業は、Introductionなので、クラスメイトの殆どが経験の無い人ばかりです。しかも、位置関係などを調べながら描いていくため、絵の上手さは特に求められません。したがって、余程絵を描くのが苦手な方でない限りは最初の学期にこの授業を履修することをお勧めします。

・PHI 171-b
 この授業は、Philosophy(哲学)の講義なのですが、正式な講義名はIntroduction to ethical thinking なので、どちらかというと倫理学(ethic)寄りの哲学といった感じです。この講義の説明を最初に読んだ際、主にヘイトスピーチ、安楽死制度などの倫理的な問題に取り組むと書いてあり、その上ディスカッションベースでスピーキング力も伸ばせると考えたため、この講義を履修することを決めました。しかし、授業の前半は、アリストテレスやプラトン、ミル、カントといった思想家・哲学者の文章を読み、倫理的な考えを養うことに費やされました。私はこの期間、本当にこの授業に苦しみました。この授業は月水金にあるので、前述した通りリーディングの課題を毎回二日で読まなければなりません。量は毎回14ページ程とそこまで多い方ではないですが、私は分からない単語もまだ多く、調べながら読み進める必要があるので、一周読むだけでも凄く時間がかかります。その上、アリストテレス等の哲学者の文章は一回読んだだけでは内容が理解できず、より深い理解を必要とするため、同じ文章を何回も読む必要があります。教授は少し厳しい方で、英語のスピードもとても速いため、講義の音声を録音する許可を貰って録音し、授業の後に復習をしています。そしてこの授業はリーディング課題の内容についての抜き打ちテスト、四回のテストと最後の大きなテスト、そして二回のレポート提出があります。今学期は殆どの時間をこの授業の勉強に費やし、それでもなお何度も心が折れかけましたが、リーディング力が前よりも確実についていると感じます。最近のリーディング課題では、単語を調べる回数が大幅に減り、前より力がついているという実感を得られました。後半の授業で行うディスカッションのトピックは面白い内容のものが多いため、リーディングの課題も前より苦には感じませんが、ただでさえ哲学は日本語でも難しいので、この講義を留学したばかりの時期に履修するのはあまりお勧めしません。

・MUS 120
 この授業では、音楽の基礎的な知識について学びます。音楽といっても楽器を演奏するのではなく、コードの進行や、音階について学んでいます。私はピアノを幼い頃にやっていたため、ある程度の知識はありますが、それでも毎週チューターをお願いして課題を手伝ってもらっています。この授業の教授は陽気で優しく、「私はテストのファンじゃないんだ」と公言しているため、定期的な小テストと毎回の課題を提出すれば、Final Examはありません。課題の中には曲を作るものもあり、キャンパス内のピアノを利用しながら作曲家になった気分で楽しく行っています。

THR 117-b
 この授業は、Acting-Ⅰというクラスで、劇について学びます。過去の先輩方で履修している方が多かったことと、リベラルアーツカレッジでしか履修できないような授業だと思い、この講義を履修しました。この講義の教授は明るく、フレンドリーな方なので、クラスメイトと笑い合いながら質問しやすい雰囲気で授業を受けられています。今私たちが授業で行っているのは、モノローグで、日本語で言い換えると一人芝居です。原稿を配られる前に、どのようなストーリーのどのような役をやりたいか、というアンケートに答え、それを踏まえて教授が一人一人にあった原稿を選んでくださいます。実際に演じるシーンは本の中でも一部ですが、そのシーンを理解するために本を買って全部読み、そのシーンについて分析しました。私の演じる作品は、メインキャラクターが二人とも作家で、使っている語彙も難しく、単語の勉強にもなりました。また、原稿を暗記し、何回も声に出して練習するので、発音も鍛えられます。どこで文を区切るか、どの部分を強調するかによって全く違うシチュエーションになるのがとても興味深く面白いです。

MUS183-a
 この授業は、コーラスの授業で、毎週月・水の夜7時から8時まであります。一週間に二時間しかないため、単位も一単位です。私はこの授業以外に4つ履修しているため既に要件は満たしていましたが、リフレッシュの意味合いも兼ねてこの授業も追加で履修しました。10月に近くの教会で一度披露し、11月後半には大学の講堂での発表を控えているため、それに向けて練習しています。7曲程練習していますが、どれも素敵な曲で、パート後の練習の後に全員で合わせる瞬間は毎回感動してしまいます。この授業は講義というよりも、気分転換という感じで受けていますが、楽譜をもらって初見でいきなり歌い始めることが多いため、楽譜が読めないと少しついていくのが難しいかもしれません。

終わりに

 既にアメリカに到着してから二か月半が経ちましたが、最近になって漸く慣れてきたと感じます。私が一番驚いたことは、センター大学の学生の勉強量です。図書館が毎日深夜の12時まで空いており、学生は授業以外の殆どの時間を課題や授業の勉強に費やしています。まだ環境にも慣れておらず、友人もいなかった最初の頃は本当に毎日必死で、泣きながら永遠に終わらない課題をやっていましたが、今は友人と「I don't want to study anymore! (これ以上勉強したく無いよ!)」と言いつつも励まし合って頑張っています。また、センター大学は学生のサポートも充実しているため、例えばエッセイ(レポート)の課題が出れば、図書館の地下にあるWriting Center という所で、エッセイの添削や、文法の間違いを直してもらうことが出来ます。何より、自分だけでなく皆等しく勉強に勤しんでいるため、周りの友人からいつもやる気をもらっていますし、集中力が切れた時は、自然豊かなキャンパス内をよく一緒に散歩してリフレッシュします。
 そして勉強だけでなく、アクティビティも充実しています。センター大学の一限は朝8時から始まり、16時ごろには授業が終わります。これは、大学の、「授業は早めに終わらせて、夜以降は様々なアクティビティを楽しんでほしい」という方針からこのようになっているそうです。外部から人を招き、講堂で様々な演奏会が行われるなど、芸術に触れる機会も多いと感じます。留学中は何かと忙しいかと思われますが、是非このようなイベントやパーティーに足を運ぶことをお勧めします。無料で様々な体験が出来るのは学生の特権であるし、友人との共通の思い出にもなります。
 私はこの体験記を書くのが、留学当初からとても楽しみでなりませんでした。なぜなら、入学してから先輩方の留学体験記を読み、勉強のモチベーションをもらっていたからです。そして留学準備期間や、留学中の今も先輩方の体験記にとても助けられています。最初の体験記は読んでくださる方が多いと思うので述べておきますが、これまで留学の辛さを述べたものの、私は本当にセンター大学に留学に来て良かったと感じています。両親、友人、県立大学の先生方、他にも様々な形で携わってくださった全ての方々に心から感謝いたします。二か月半が経った今既に、旅立つ日の事を考え寂しくなっています。まだまだ書きたいことは沢山あったのですが、既に長くなってしまったため、センター大学の留学を考えている方、聞きたい事がある方は、いつでも私に直接連絡してきてください。

ハロウィンのイベントに友人と参加しました。

センター大学のオーケストラの演奏会を見に行き、壮大な演奏に感銘を受けました。