センター大学 国際文化学科4年 中山樹 <3号 2022年1~2月>

はじめに

 冬休みも明けて、いよいよ新学期が始まる時期になりました。今回の報告書では、Center Termと春学期の授業の紹介と説明についてお話します。まずは、以下にCenter TermとSpring Termの日程を掲載します。

Center Termについて

 冬休みが明けると、センター大学では春学期がすぐに始まるのではなくて、その間にCenter Termという一カ月程度の短い学期があります。この学期では、一つの授業を一か月間集中的に受講します。授業は土日を除いて毎日開講されます。授業時間は3時間でした。3時間と聞くと長く感じられるかもしれませんが、このクラスでは後半に、授業資料として映画やドラマを一時間ほど見ていたので、そこまで長く感じませんでした。クラスは、秋学期ほどではないにしろ、音楽や歴史、理系の科目など幅広く開講されています。私は、「The English Civil War」の授業を受講しました。この授業はその名の通り、イギリスで起こった内戦について学ぶ授業です。この内戦の歴史的な概要から、この内戦で活躍した人物や彼らがどのようにしてこの内戦に関わっていたのかといったことや、この内戦がイギリスや世界にもたらした影響などイングランド内戦について包括的に学ぶ授業でした。秋学期とは違って、一つのことを集中的に学ぶため、予習や復習に使える時間が増えて、より多くのことを学べるようになったので、学習がとても楽しく感じました。授業の予習にたくさんの時間を割くことが出来たので、授業内容もより深く理解できた気がします。授業構成は、授業前半では、スライドを使用して、課題の範囲での出来事やそれらの背景や歴史的意味などを学びます。その後は、前述の通り、映画やドラマを一時間程度鑑賞する、というものでした。私はイングランド内戦やその前後のイギリスの歴史についてはほとんど無知だったので、インターネットで関連用語や時代背景を調べながら、課題の教科書をひたすら読んでいました。授業の後は予習や復習に専念できるからといっても、時間は無限にあるわけでは無いので、あまり一か所に集中しているとすぐに授業スピードについていけなくなる状況は相変わらずだったので、やはり、自分の学習スペースと授業スピードを比較して、どこかで割り切ることも必要だと感じました。Readingの課題の他にも、いくつかのEssayやDevataの課題もありました。授業を通して歴史的物語の面白さに改めて気づくことが出来ました。歴史は起こった出来事だけでなく、その背景にある人物の考えや動機、他の歴史的出来事との関連性など幅広い事象にフォーカスして学ぶ分野です。今まで「歴史」という教科をなんとなくつまらないと思っている人も、この授業を受講することで歴史が持つ面白さ、楽しさを感じることが出来ると思います。

春学期の授業について

 Center Termが終わると1週間程度のお休みを挟んで春学期が始まります。春学期は秋学期と同じ授業の流れです。中間テストや最終試験、ReadingやWritingの課題があります。私が春学期に受講した授業は以下の通りです。

MondayTuesdayWednesdayThursdayFriday
9:10~10:10REL 110-aREL 110-aREL 110-a
12:40~1:40THR 133-aTHR 133-aTHR 133-a
2:20~3:50ANT 252-aANT 252-a
3:00~4:00HIS230-aHIS230-a
・REL 110-a Biblical History and Ideas
 この授業は今学期で私が一番充実感をもって受講できているクラスです。この授業ではその名の通り主に聖書について学びます。旧約聖書と新約聖書両方の内容を題材にして、それらの意味や歴史的背景などを学びます。この授業は、基礎的なクラスであり、聖書のことについて何もわからない状態だった私でも、何とか授業についていくことが出来ています。アメリカの文化や価値観は聖典やそれに基づくキリスト教を抜きにしては語ることが出来ません。聖書は文化の基本であり、道徳の教科書のようなものです。この授業を通して、聖書の意味だけでなく、その受け取り手であるアメリカや他のキリスト教・ユダヤ教圏の国の文化や価値観の根底になっているものを学ぶことが出来ると思います。私のような聖書になじみのない人にとっては、授業ごとのReadingの予習の分量はとても多く、内容やその意味を解釈することはとても大変で、難しい作業に感じました。予習の段階ではまず、聖書の本文を優先的に読むように心がけました。ネットには日本語訳を英文と一緒に表示してくれるサイトもあるので、それらを活用しながら効率よく予習をこなす必要があります。ただ、担当の教授がとても優しい方で、私が授業終わりに毎回質問や雑談をしに行っても、快く迎えてくれます。私が授業を聞いていて、聞き逃したり分からなかった箇所について聞けば、最初から丁寧に教えてくれます。また、メールでも真摯に対応してくださいます。中間テストの時ももともとReligionのクラスを留学中一つは取る予定だったので、今のところ楽しく学習できています。今まで聖書になじみが無かった方でも気軽に聖書の魅力を知ることが出来るのでお勧めです。

・HIS 230-a Inventing the United States-I
 この授業は秋学期に受講したHistoryのクラスと同じクラスです。異なる点は、学ぶ年代が秋学期のものより、以前であるという点です。この授業では、アメリカ大陸に人類が到達してから、ヨーロッパ人の入植の時代を経て、アメリカが独立し、南北戦争へと突き進んでいく過程を時系列を追って学習していきます。秋学期の歴史の授業では、スライドを使って授業をしていましたが、この授業では教授がその日ごとのテーマに沿った歴史上のエピソードを紹介するというもので基本的にすべてスピーチ形式で行われます。そのため、一言一句聞き逃さないために、教授の話を集中して聞かなければならず、大変です。私は後で授業を聞き返せるように許可を取って、授業を録音しています。この授業は、その日のテーマに関連した面白いエピソードだったり、人物の激動の人生だったりをお話の題材にしているので、高校の時の歴史の授業のような、ただ教科書の内容を聞くだけの退屈な授業ではありません。そのため、アメリカの歴史を楽しく学べることが出来ると思います。授業スピードは速く、授業ごとのReadingの課題は相変わらず多めですが、教科書はアメリカの歴史を簡潔にまとめたインターネットサイトを主に使用しているので、他の教科の教科書よりは読みやすいと感じました。教授も明るく気さくな方で、質問をすれば、いつでも快く答えて下さいます。歴史はつまらない教科だと思っている方も、退屈せずに、分かりやすく、歴史を学ぶことが出来ると思います。

・THR 133-a Foundations of Drama & Theatre-I
 この授業では、主に古代のヨーロッパやアジアの劇の歴史を学びます。また実際の劇の台本を読んでその感想やその劇に抱いた考えなどをクラスメイトと共有し、劇への理解を深めるというセッションもあります。この授業は、個人的には今回受講してる中で一番課題の量が多いと感じています。一週間に必ず一日は、劇の台本を読むという課題が課されます。これは、ページ数が数十ページある劇の台本を読んで、その劇の世界観やテーマ、キャラクター性や衣装、音楽に至るまで、多岐にわたってその劇が作り出す世界を分析し、それを文章にまとめて提出する、という内容です。他の課題もこなしながらこの授業の課題を完ぺきにこなすのはとてもハードで難しいことだと感じています。個人的には、台本をすべて読み通すことは不可能だと思ったので、ネットでその劇の要約や内容を簡潔に述べているところを探して、それを参考にしながら課題をこなしています。全てを完璧にこなすのは不可能なので、こういった「作業の効率化」を積極的に利用するべきだなと感じました。また、中間テストに向けて覚える単語や範囲も膨大です。今回は、教授が事前に学習する単語をピックアップしたものを配布して下さったので、何とか範囲内の単語を復習することが出来ました。また教授から、グループや複数人での復習を勧めていました。確かに交換留学生はノートを完璧に取ることが難しく、またそれらを一から復習するのには、とても時間がかかります。クラス内で友達を作って、彼らと効率よく復習を進めるのも一つの手かなとは思いました。中間テストの回答形式が、グループを作って、そのグループ内でお互いの答えを確認しながら回答するというものだったので、あらかじめグループで復習をしておけば、テスト当日にスムーズにグループを作ることが出来ますし、回答も正確に回答できると思います。また、Moodleという学習サイトに授業のスライドが掲載されていたので、一人でも渡された用語の範囲を復習することは可能だとは思います。勉強スタイルは自分に合ったものを選択してください。注意点としては教授の話すスピードがとても速いということです。速い上に量も多いので、全ての内容を書きとることがとても難しいです。適宜、授業後やOffice Hourに聞き逃したところや単語だけ聞き取れたが、完全な内容が分からなかったところを積極的に質問しに行くことが必要だと感じました。

・ANT 252-a Tombs, Temples, and Trash: Intro to Archaeology
 この授業もその名の通り、Archaeology(考古学)について学びます。名前にもある通り、考古学の中でも主に、遺跡やそこから出土する遺物に関連した用語や知識、研究方法やその歴史について学習します。授業形式は広義ベースでスライドを使って、教授がその日のテーマについてお話します。授業ごとに資料一冊や教科書数十ページ分のReadingの課題が課されます。その他にも、Practicum(実習)の課題が数回課されます。内容は様々ですが、印象的だったのはお墓の調査です。学校の近くにある墓地に行き、そこにある墓石の石材や形状、年代などのデータを測定し、それを基にして各要素を分析して、論理的な考察をするというものでした。日本ではあまり注目して観察しない墓石ですが、そこから様々な情報が読み取れることが分かって、面白かったです。このほかにも人類の歴史や今までの研究結果などの参考文献についても多く学べるので、日々の課題や授業についても楽しく勉強できています。私は文系肌ですが、問題なく受講できています。時々、難しい単語や翻訳できない単語などがあるので、その際は教授に積極的に質問しに行っています。


実習で行った墓地の様子です。

最後に

 こちらに来てからもう既に6カ月以上が経過しています。日々の生活の中で感じることは時間が経つのが非常に早い、ということです。英語での授業にも慣れ、徐々に授業中に教授や他の生徒が話している内容も少しずつ聞き取れるようになっていきました。また、授業ごとの予習についてもコツをつかんできて、効率よく進められるようになってきました。今までは予習が不十分だったために授業でどんなことが話されているのか理解することが難しかったため、改めて予習の大切さを認識しています。ただ、今だ完全には予習をこなせていないのでまだまだだなと感じています。ただ、今回受講している授業の担当教授が例外なく優しくて、気さくな先生方ばかりだったので非常に助かっています。授業が終わるたびに質問しに行っても、いやな顔一つせずに、親身に話を聞いてくれるので勉強のし甲斐があります。予習の時にできるだけ疑問点を探しながら学習をすすめることで、教授とのコミュニケーションが図れますし、勉強の理解度がより深まるので、ただ、課された予習をこなすのではなくて、それをさらに発展させて、より自分の知識へと昇華させることが大切だと感じています。残り少ない留学生活ですが、悔いのないように精一杯過ごしていきたいと思います。




Spring Breakは学校の周りを散策していました。