センター大学 国際文化学科4年 中山樹 <1号 2021年9~10月>

はじめに

 センター大学に来て早くも2か月が経ってしまいました。日々、課題やアクティビティに追われる忙しい日々を過ごしていますが、キャンパス内の景色の変遷や空気の変化で季節の移り変わりを感じる今日この頃です。この報告書では、主に出国前、到着後、授業開始後の主に3つの期間についてお話したいと思います。


↑図書館前のリンカーン
出国するまで

↑夜のキャンパスも綺麗です。

出国するまで

 まず、私が最も伝えたいことを述べたいと思います。私は現在5年生です。昨年の交換留学は新型コロナウイルスの影響で中止となり、卒業を1年延長して、今年度の交換留学に参加しました。また、帰国後さらに1年卒業を延長しようと考えています。出国前に就職活動をしなかったこともあり、2年間の卒業延長がどの程度将来の就職活動に影響するのかは不明瞭ですが、私はこの延長に後悔はしていません。なぜなら、この交換留学で得た経験や知識は、将来きっと役に立つであろうということを実感しているからです。ここでは、様々なスキルが求められます。自分は元々人と接することが苦手でしたし、嫌いでした。しかし、ここではそんなわがままは言っていられません。ここでの生活を効率よく楽しむためには、人との関りは必須です。この交換留学では、今まで自分に足りなかった社会的要素を身に付けることが出来ると思っています。これを読んでいる皆さんの中には、卒業を伸ばしてまでこの交換留学に参加する価値はあるのか迷っている人もいることでしょう。私は、個人的には参加するべきだと思います。ここでしか得られないものはたくさんあります。
 次に、予防接種に関してお話します。私たちが出国するときは、ちょうど日本で新型コロナウイルスの職域接種が始まった時期でした。私たちは、山口大学や自治体の方々のお陰で出国に間に合うように、周りよりも早めに打つことが出来ました。今後新型コロナウイルスがどの程度猛威を振るうのかは分かりませんが、ワクチンは早めに打っておいた方がいいと思います。センター大学に留学するには、複数の予防接種、2回のMMRワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪の混合ワクチン)、10年以内に接種しているTetanusワクチン(破傷風ワクチン)、Meningitis (ACWY and B) (二種類の髄膜炎ワクチン)を打たなければいけませんが、私は新型コロナウイルスのワクチン接種もあったため、あらかじめ子供の頃に打ってあった麻疹、風疹の一回目、そして同じく子供の頃にかかったおたふくかぜの一回目を除いて、他は全てアメリカに来てから接種しました。日本で受ける際には、海外から取り寄せる必要があるものもあるので、自分は何を何回打てばいいのか、海外と日本で打つ際の金額の違いなどはよく調べた方がいいと思いました。ただ、ほとんどをアメリカで打ちましたが、副作用などはひどくなかったし、輸入が必要なワクチンについては、こちらで打っても金額的にはあまり大差は無いと感じました。ただ、副作用などは個人差があるので心配であれば、すべて日本で受けてから行った方が良いと思います。また、複数のワクチンを接種するには当然ですが期間をあける必要があるので、早めの準備が必要だと思いました。なお、接種した記録、母子手帳などのコピー等を忘れずに、持っていくようにしてください。
 さらに、予防接種の他にもパスポートやビザの取得、履修する授業やミールプランの決定、当日使用する飛行機の予約などやらなければならないことは沢山あるので計画的にこなしていく必要があります。全てはI-20という書類が来てから始まりますが、ビザの取得には、他の方々が書いている通り、多くの手続きが必要になってきます。ビザの取得には、面接が必要ですが、それが行われる領事館の予約は、早めに埋まってしまうことが通例です。なので、早めに面接の予約をすることをお勧めします。私は、山口に近いという点とあまり混雑していなさそうという理由で福岡の領事館を選びました。航空券の予約も早めに済ませておくことをお勧めします。不安であれば一緒に行く友達と同じ便を予約するといいと思います。日本から大学の最寄りのブルーグラス空港までは、おそらく乗り換えが必要になると思いますが、乗り換えの時間は多めに確保しておくことをおすすめします。出国の時期は、アメリカの大学の新学期が始まる時期と重なっているため、他にも多くの留学生がアメリカに向かいます。そのため、乗り換えの空港で長蛇の列ができます。私の時も、入国審査の前に長蛇の列ができていましたので、乗り換えの時間は、かなり多めに確保しておくと安心です。
 最後に、卒業に必要な単位を取得しているか、単位を変換する科目はあるのか、卒業演習や専門演習はどうするのかといった進路関係のことなどは、留学に行く前に決めておく必要があります。前述の通り、4年で卒業するのか、卒業を延長するのかは、親ともよく相談して決めて下さい。

到着後

 到着後は、私たちは隔離期間を設けられていたので、大学が提供するアパートに約一週間滞在していました。その期間は、散歩程度であれば外出が許されていたので、アパートの周りを散策していました。隔離期間が終わった後は、自分たちが暮らす寮の部屋へ移動し、新入生のオリエンテーションに参加し、必要なものの買い出しなどをしていました。授業が始まるととても忙しくなるので、この期間にキャンパスや町を探索してみるのも良いかもしれません。そして、9月の頭ごろから授業が始まります。

授業開始後

 私は、CRW-140-b、DLM-110-d、HIS-240-a、THR-117-bの四つの授業を履修しました。授業によって、テストの有無や時期、課題の量や授業のテンポなどが違うため、不安であれば、交換留学生を担当しているJessicaやISOLのメンバーに授業や教授のことを確認しておくことをお勧めします。また、出国前に履修する授業を決定すると思いますが、その時にその授業に必要な教科書が確認できますので、あらかじめ目星をつけておいた方が良いでしょう。キャンパス近くの書店で購入できますし、そこでレンタルもできます。使用済みの物であれば、安く購入できます。ただ、私が使用した教科書の大部分はネットショッピングサイトの方が安かったので、早めに書店に値段を確認しに行って、どちらで買うのが最適なのか判断したほうが良いと思います。また、教授によっては電子書籍の使用が可能な授業もありますので、出国前から早めに各授業の教授に連絡を取って確認してみるのも良いかもしれません。以下では、履修した授業をひとつずつ紹介します。まずは、時間割を紹介します。

9:10~10:10DLM-110-dDLM-110-dDLM-110-d
10:20~11:20HIS-240-aHIS-240-aHIS-240-a
12:40~13:40THR-117-bTHR-117-bTHR-117-b
12:40~14:40CRW-140-bCRW-140-b

CRW-140-b
 この授業では主に詩の書き方を学びます。詩を書く際に使用する技法や表現方法を学び、課題でそれぞれが詩を書いてきて、授業の中で良い点、悪い点を議論していきます。日々の課題として、教科書である詩集や渡されたプリントの詩の中から指定された詩を読み、それを模倣して自分の詩を作ってくることです。中間試験などは特になく、ただひたすら詩を作成します。個人的には、現段階で履修している授業の中で一番楽しいと感じています。作成する詩に特に縛りがないため、自由に自分の思いを詩に込めることが出来ます。英語の表現や使用する語彙などで困ったことがあれは、授業を担当する教授に気軽に相談することが出来るので非常に助かっています。私の様に詩に興味が無くても、気軽に自己表現の方法を学べる授業だと思います。

DLM-110-d (Identity)
 DLMの授業は新入生向けの授業です。この授業が、私が履修する中で、最もreadingの課題が多い授業です。この授業は週に三回あるのですが、その授業のたびに、一つの論文や書籍の一章分を読まなければならず、最初は授業のスピードについていくだけで精一杯でした。この授業の教授もどちらかと言えば堅物な人なので、最初はあまり好きではありませんでした。ただ、途中から、すべてを理解することは諦めて気が楽になりました。授業は、その日のreadingのまとめをする内容だったので、授業で分からないところをOffice hour(学生が教授の部屋に行って、好きなように質問できる時間)に、これでもかというくらいしつこく質問しに行きました。Readingのテキストを全部理解できなくても、授業で分からないところを聞くことが出来れば、テキストの大まかな主張は理解できます。また、積極的に質問しに行くことで、自分はこれだけ頑張っています、というアピールもできます。教授の自分に対する印象を良くするのに越したことはありません。

HIS-240-a
 この授業では、アメリカの南北戦争後の歴史を学びます。当初は、南北戦争以前の歴史の授業を取るつもりでしたが、履修期間中に既に定員が埋まってしまっていて取れませんでした。ただ、個人的には問題なく履修できています。教授がとても温厚な方なので、質問しやすいからです。ただ、毎授業のreadingの量は多いですが、その多くが電子書籍やオンライン上の資料なので、reading自体はそこまで大変ではないと感じています。

THR-117-b
 この授業は、演劇の授業で、演技の勉強をします。実際に体を動かして、様々なシチュエーションで演技をして見たり、また、演劇の台本を読んでキャラクターや情景の分析をしたりします。他の授業と比べて、readingやレポートなどの課題は少ないですが、課題はほとんどが実際の演技です。教授の前で与えられたお題や状況に沿って、自分の思い描く人物やキャラクターになりきって演技をします。身近な人を観察してその人になりきってインタビューを受ける、という課題もありました。教授とクラスメイトとの距離が近いので、フレンドリーな雰囲気の中、授業を受けることが出来ます。セリフを覚えるなどの大変な作業はありますが、教授が配慮してくれているのでとても助かっています。もっと積極的になりたいと思っている人にもおすすめです。


↑教室の様子です。この他にも照明が使用できる教室もあります。

最後に

 私は、センター大学に来て、交換留学生の支援の充実ぶりに驚きました。困ったときは、遠慮せず周りに頼ることが一番大切だと思いました。何か困ったことや不安なことは、どんな些細なことでもいいので遠慮なく周りにぶちまけることをお勧めします。そうすることで、ストレスなく生活することが出来ますし、周りも本当のあなたを知ることができます。結果として、より深い関係を気付くことができます。また、私が他の留学生を見て思ったことは、積極的に話しかけることです。私たちはネイティブではないので、発音やアクセントの間違いで、相手に聞き返されることが多くあります。そんな時にもめげないで、何度もトライすることが大切です。下手でもいいし、伝わらなくていいので、その困難を恐れず、無我夢中で周りと関りを持つことが何よりも大切なことだと思います。