センター大学 国際文化学科3年 井上由梨香 <3号 2020年1~2月>

はじめに

 だんだんと暖かい日が増え、センター大学のあるダンビルにも春が訪れようとしています。私はアメリカでの生活にも慣れ、留学生活前半の頃と比べると余裕を持って生活できるようになりました。今回は主にCentre TermとSpring Termについて紹介します。


バレンタインの日に黒人女性のコミュニティがバラを配っていました。

スケジュール

 冬休み後の大まかなスケジュールは以下の通りです。(冬休みまでのものは第1号に記載しています。)

授業開始(Centre Term)1月7日
期末テスト、授業終わり1月28日
Break1月29日~2月4日
授業開始(Spring Term)2月5日
Spring Break3月21日~3月29日
期末テスト5月14日~5月20日
Summer Break(夏休み)、帰国5月21日~

 冬休みの後にはCentre Termという短い学期があり、1週間程の休みを挟んでSpring Term(春学期)が始まります。センター大学では国民の祝日でも通常通り授業が行われますが、定期的にまとまった休みがあります。

Centre Termについて

 センタータームは、1月に3週間だけある短い学期です。履修する授業は1つだけですが、その授業の講義を1日3時間受けます。履修登録は秋学期の後半にあり、取りたい授業を第4希望まで出します。何を取ることになるかはレジスターオフィスで決められますが、ほとんどの人が第2希望までの授業を取ることができているようです。
 私は、Hybrid Identities in the Global Age(FYS 155)を履修しました。12:30~15:30の授業だったので午前中は比較的余裕がありましたが、早く起きて朝食を食べ、図書館で勉強してから授業に行くという生活を送っていました。
 この授業は、グローバル化社会における複雑なアイデンティティについて考える授業です。文学、ポッドキャスト、音楽、映画を通して、様々なアイデンティティに触れました。人種、民族、性別、文化、言語など、同じ国に住んでいてもバックグラウンドは人それぞれ違います。アイデンティティは一つではなく様々な要素が組み合わさってできたものであり、人を外見だけで判断したりせず、お互い尊重し合うことが大事であるといった内容です。様々な人種や民族の人々がいるアメリカならではの授業だと思いました。この授業では二人一組で必ず一回、クラスのディスカッションをリードしなければならず、担当のテーマに沿って質問やアクティビティを考えました。ディスカッションではただ単に質問を投げかけて議論するだけではなく、自分のアイデンティティを絵に描くといったような楽しいアクティビティもあり、クラスの雰囲気はとてもよかったです。センタータームは授業が一つしかないため最初は楽観的に考えていましたが、リーディングの課題が多い上、それを翌日の授業までに終わらせなければならないため、思ったより大変でした。リーディングはだいたい毎日40~70ページあり、それに加え授業の前までに先生が用意した質問の答えや自分の意見をポータル上にアップしなければいけませんでした。これは学生がちゃんと課題の文献を読んできたかどうかを見るためのもので、他の授業では小テストの形で行われることが多いです。授業は5つのユニットに分かれており、ユニットが終わるごとに2~3ページのレポートの提出がありました。
 後半は音楽や映画を題材にしていたため課題は少なかったです。ルイビルという大学から2時間ほど離れたところにある博物館へも行きました。この授業は、期末テストの代わりに最終プロジェクトの提出が求められ、授業で学んだことを絵や動画などクリエイティブな方法で表現し、それを説明する3ページのレポートも作成しました。先生はとても気さくで、自身にも留学経験があったため、留学生である私の気持ちをよく理解してくれました。まさに国際文化学科に関わる授業でとても興味深く、履修して良かったと思います。

Spring Term(春学期)について

 この学期から、また通常通りの授業が始まります。日本の大学でいう後期のような感じです。今回私は5つの授業を履修しています。履修登録は秋学期の後半にあり、授業が始まって最初の2週間は変更可能です。

8:00~9:00CHN 120CHN 120CHN 120
8:30~9:30CHN 120
9:40~11:10ARS 210ARS 210
11:30~12:30ENG 170ENG 170ENG 170
14:20~15:50MUS 120MUS 120
19:30~21:00MUS 191MUS 191

CHN 120 Fundamentals of Chinese-Ⅱ
 中国語初級クラスの後半です。秋学期から引き続き履修することにしました。授業形態は秋学期とほとんど同じですが、単語や文法などが難しくなってきたので、文法の練習が少し増えました。それでもみんなでスピーキングの練習をする時間はたくさん取られています。クラスメイトも前半とほとんど変わらず、前半よりもより親しい雰囲気で、とても居心地が良く楽しいです。以前まで漢字を書くことは課題のワークブックでしか求められていませんでしたが、今回からテストでも漢字を書かなければならなくなりました。私たち日本人にとってはむしろありがたいのですが、アメリカ人にとってはやはり難しいようで、みんな以前より苦戦しています。秋学期と同じように週に一回の小テストとワークブック提出があります。今後の課題としては、中間テスト、プレゼンテーション、中国人へのインタビュー、スキット、期末テストがある予定です。


中国語を英語で学んでいます。

ARS 210 Introduction to Oil Painting
 油絵の授業です。教科書はありませんが、絵具や筆など用意するものが多くあります。秋学期にDrawingの授業を受けて私に合っていると感じたので、今回も芸術系の授業を取ることにしました。今回の教授は全体より個人にアドバイスをしていくスタイルなので、授業中に課題に取り組める時間がたくさんあります。終わらなかった分は各自空いている時間に終わらせます。以前にも書きましたが、アート系の授業は毎年毎学期担当する教授が違うようで、教授によってはリーディングやテストが課されます。私は秋学期も春学期もたまたまリーディングやテストを行わない教授の授業にあたりました。絵具を混ぜて作りたい色を作り出すのは難しいですが、楽しく取り組んでいます。


カラーチャートを作りました。絵具の混ぜ加減が難しいです。

ENG 170 Topics in Writing
 アカデミックなレポートの書き方を学ぶ授業です。これまでは、英語の文法的なことや文章の構成、句読記号の使い方などを学びました。3~5ページのレポートの提出が4回と、テストが2回あります。私は帰国後英語で卒業論文を書かなければならないので、とても役に立つ授業です。先生はとても明るくて面白い方で、授業の雰囲気も明るいです。留学生の私たちに親身になって相談に乗ってくれます。普段は教科書やインターネット上の記事を読む課題が出されますが、内容も分かりやすく、量もそんなに多くないので、復習やレポートに取り組む時間をたくさん取ることができています。

MUS 120 Materials & Structure of Music-Ⅰ
 音楽理論の授業です。この授業はコードや曲の構成、作曲について学びます。秋学期に取ったものよりも発展していて、クラスメイトも音楽の才能がある人ばかりです。課題はほぼ毎回出され、小テストも頻繁にあります。少し難しいですが、教授は相変わらず明るくて、よく歌ったりピアノを弾いたりしています。ある授業の日に、一人の学生が「天気がいいから外で授業をしよう。」と提案しました。教授はそれを承諾し、みんなで楽器を持って芝生の上で歌ったり演奏したりしました。アメリカ人の自由さと柔軟さを感じました。

MUS 191 Centre Symphony Orchestra
 オーケストラの授業です。週に2回みんなで集まって合奏します。教授は優しく面白い方ですが、たまに厳しい指導があり、授業というよりは部活のような感じもします。授業の時間は全て全体かセクションでの合わせなので、個人練習は空いている時間にしておく必要があります。センター大学にはピアノもある練習室が7~8室あるので、オーケストラや合唱、楽器などに携わる学生はそこでいつも練習をしています。練習室は誰でも利用可能です。私は高校から吹奏楽をしており、今学期は自分のスケジュールにも心にも余裕ができたので、この授業を取ることにしました。吹奏楽とオーケストラでは音の周波数や自分の楽器の役割など違いがたくさんあるので新鮮です。3月の中旬にコンサートがあるので、今はそれに向けて練習を頑張っています。

終わりに

 留学生活も後半に入り、前半できなかったことが着実にできるようになってきました。以前は英語が上手く話せなかったり、ハードな授業と課題で心に余裕が無かったりして、ストレスが溜まってしまうことも多かったですが、今は余裕もでき、「英語に自信がついて上手くなったね。」と言ってもらえるようになりました。友人もたくさんでき、食堂で一緒にご飯を食べる約束をわざわざしなくても、その時そこにいる誰かといつも楽しく食事しています。
 アメリカに来て言語以外で私が一番成長を感じることは、言いたいことを言えるようになったことです。前半は典型的な日本人マインドが抜けず、「こうしたら迷惑かな、私が我慢すればいいかな、気付いてくれないかな」と余計なことをあれこれ考えがちでした。はっきり自分の気持ちを言ったら関係が悪くなりそうな気がして嫌なことも嫌と言えず、自分だけで解決しようとしていたため、ストレスが凄かったです。しかし、外国には日本のように察する文化は無く、言わないと分かってくれません。私もこのことは知ってはいましたが、日本人の感覚からしたら「普通は気付くこと」なのでなかなか理解ができず、「ただ人の迷惑を考えられないのだ」とずっと思っていました。でもそれは違って、自分の気持ちを伝えたら嫌な顔をせずに聞いてくれ、本当に私が言うまで気付いていなかったということが分かりました。このように、アメリカと日本では食べ物や人の外見のような見える文化だけでなく、考え方や許容範囲などの目に見えない文化まで、違うことだらけです。知識はあっても実際に体験しないと分からないこともたくさんあります。
 楽しいこともつらいことも、日々貴重な経験をたくさん積むことができて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。留学生活もあと2か月になってしまいましたが、これからも様々なことを吸収して、自分をレベルアップさせたいと思います。


アメリカのスーパーに売っている寿司です。

KFCの一号店に行きました。

ケンタッキー州各地の大学のシェフが腕を振るい、王者を決めるイベントがありました。

ルームメイトとパーティーで撮った写真です。