センター大学 国際文化学科3年 井上由梨香 <2号 2019年11~12月>

はじめに

 アメリカに来て4か月が過ぎ、新しい年を迎えました。今回の報告書では、Fall Term終盤とアメリカでの生活、休みの期間について紹介します。

ケンタッキー州は寒くなったり暖かくなったり気まぐれな気候です。
11月11日に初雪が降りました。写真は植木が凍っているものです。

秋学期後半

 履修中の授業の後半部分と、学期末試験についてです。

ARS 110 Introduction to Drawing
 この授業は最初平面の図形を描くところから始まったのですが、回を重ねるごとに立体、植物、布などだんだん複雑で難しいものに変化していき、後半はボーダー柄が入った布や骸骨、インテリアスペースなどを描きました。絵を描くだけではなく、それに影を付けたので、よりリアリティのある作品が出来ました。授業が進むにつれ描くスピードが速くなり、特徴もつかみやすくなったように思います。この授業はテストがなく、その代わり自分が好きなようにセッティングしたものを描いて、最終プロジェクトとして提出しました。今までは毎回テーマに沿ってみんな同じようなものを描いていたのですが、今回は完全に個人個人でオブジェクトを選んだので、どの作品にも個性が出ており、見るのが楽しかったです。最終日には先生がドーナツとオレンジジュースを持って来てくれたので、テスト期間でしたがリラックスした雰囲気で授業を終えることができました。

最終プロジェクトです。

CHI 110 Fundamental of Chinese
 超基本からのスタートだったので、後半に入るとだんだんと難しくなっていくのを実感しました。やらなければならないことも多く、2回目の中間テスト、プレゼンテーション、中国人留学生へのインタビュー、ペアでのスキット、先生と一対一の口頭テスト、学期末テストをこなしました。授業中にきちんと説明があり、分からないことはすぐに教えてくれるので、どれも事前にしっかり練習をして取り組むことができました。学期末テストは2回行われた中間テストと同じ形式で、どのように出題されるかもあらかじめ分かっていたのですが、今学期習ったもの全てが範囲だったので、覚えるのが少し大変でした。しかし、今まで全く分からない言語だった中国語がふと耳に入ってきたときに、断片的に分かるようになり、自分の成長を感じることができました。成長が目に見えて分かりやすいのも初級クラスで語学を勉強するメリットのうちの1つだと思います。

PHI 140 Intro to Ethical Thinking
 この授業は私が一番苦戦している授業ですが、後半の応用編に入ってからは少し気が楽になりました。しかし、今までと比べて新しめの文献が多く、文法は理解しやすいですが、専門用語がたくさん出てくるので、単語を調べる回数はむしろ増えたような気もします。前回も少し触れましたが、授業で扱ったトピックはポルノグラフィ、ヘイトスピーチ、薬物乱用、安楽死、貧困、資源の再分配で、これらの是非を倫理・道徳の観点から考えます。より具体的な内容なので、違う立場の人同士で議論が白熱していたり、日本人とは違う視点を発見できたりして面白かったです。「日本ではこうだよ」というのを言ってみると、みんな興味深そうに話を聞いてくれました。前半と同じように、一人一回ディスカッションのリードとレポート提出があり、私は貧困と資源の再分配について担当しました。貧困問題は世界中でよく取り上げられていますが、「貧困を解決できずそのままの状態にしている政府や自治体は、倫理・道徳的に悪であるか」という、私にとって新しい観点からの切り込みだったので、とても新鮮でした。学期末テストは、やはり今まで勉強してきたこと全ての集大成で、膨大な量の勉強をしなければならず、やってもやっても終わらないといった感じで、本当に大変でした。テストは3時間あって、終わり次第抜けられるのですが、私は最後まで粘りました。終わった後のすがすがしさは忘れられません。この授業のせいで精神的に弱くなった時期もありましたが、先生が親身になって相談に乗ってくれたり、レポートの出来を褒めてくれたおかげで、何とか乗り切ることができました。

MUS 110 Fundamentals of Music
 後半は主にコード(和音)や曲の構造・進行について学び、自分たちでオリジナルの曲を作りました。何回か短い曲を作ってくる課題が出たのですが、小さい頃から音楽をしていたのもあって、思い浮かんだメロディを曲にしたり、コード進行からメロディを考えたりすることができ、先生も他の生徒も、毎回私が作った曲をすごく褒めてくれました。作曲は初めての経験でしたが、自分で音楽を作り出すのはとても楽しかったです。この授業の学期末評価は、テストではなく最終プロジェクトで、今まで習った知識を使って32小節以上の曲を作ってくるというものでした。最終日は、作ってきた曲がピアノや歌やバイオリンなどで順番に演奏され、それをみんなで聴きました。曲が終わると毎回拍手や歓声が起こり、おまけに先生がピザを持って来ていて、それを食べながらの鑑賞だったので、とても賑やかで楽しかったです。この授業は課題も少なく、自分が好きな音楽について学ぶことができたのでお気に入りでした。

MUS 183 Centre College Choir
 授業は前半と変わらず、毎週月曜日の夜に2時間ありました。授業というよりは、クラブ活動の雰囲気に近いような気もします。11月21日に学校のホールでコーラスのコンサートがあったため、そこで歌う曲を練習していました。コンサート本番、みんなでハーモニーを奏でるのはとても気持ちがよく、楽しくステージを終えることができました。テスト週間直前の土曜日には、キャンパスの近くの教会で、センター大学の学生が音楽を披露するイベントがあったので、私たちも一曲歌いに行きました。アメリカの教会に行くのは初めてだったので、とても貴重な体験をすることができました。

コンサートではみんなでお揃いのドレスを着ました。

普段の生活について

 前回のレポートで書けなかった、アメリカ留学生活の基本的なことについて紹介します。

 センター大学では、学生のほとんどが寮で生活しています。そのため、キャンパス内に20か所以上の学生寮があります。寮によって部屋の形態は様々ですが、学年が低いうちは二人一部屋が基本です。(県立大学からの留学生は、様々な面で1年生の枠に当てはめられます。)私はLamotteという寮に住んでいます。寮の中で一番古い建物ではありますが、私のルームメイトの希望でpresident roomに住むことができています。同じ寮の他の部屋と違う点は、少し広く、シューズクローゼット、ウォークインクローゼット、そしてバスルーム(洗面台・トイレ・シャワー)が部屋の中にあるというところです。普通は寮のフロアごとに共同のバスルームがあってそこを利用しなければならないので、自分の部屋の中にあって便利です。1階の部屋なので、キッチンや冷蔵庫、洗濯室にも近く快適に暮らせています。ルームメイトは、アメリカ人の2年生です。普通は大学側が、調査を基にルームメイトを決めますが、申請をすれば特定の人となることができるようです。私は、去年留学していた先輩からの紹介で決まりました。

私たちの部屋です。それぞれの勉強机・ベッド・洋服ダンスは元々置いてあります。

 食事は、基本的にキャンパス内にあるKowanという食堂で済ませます。1週間に7食/10食/14食/無制限のミールプランがあり、私は1週間に14食のプランを利用しています。学生証をスキャンすることで食堂の中に入れ、ビュッフェ形式なので、食べたいものを食べたいだけ取ることができます。ヘルシーな野菜や、ピザやハンバーガーなどのジャンクフード、アイスクリームやケーキなどのデザートまで何でも揃っています。学生証には、学内の2か所のカフェで使えるフレックスダラーというお金が入っています。その金額はKowanでのミールプランと連動しており、Kowanでの食事回数が少なければ、フレックスダラーとして使える金額が大きくなります。
 毎週土曜日には、大学から近くのスーパーやマートまで無料のシャトルバスが出ており、それに乗って日用品など必要なものを買いに行くことができます。マートはとにかく大きく、何でも揃っているので便利です。

休みの期間について

 この2か月間で、Thanksgiving breakとWinter breakの2つの休暇がありました。

 Thanksgiving breakは、テストの2週間前にある5日間の休みです。Thanksgivingはアメリカではとても大きな行事で、ニューヨークではパレードも行われます。私はホストファミリーのように親切にしてもらっている老夫婦の家に行き、テレビでパレードを見たり一緒に食事をしたりしました。二人のお孫さんたちの誕生日パーティーもあったため、とても賑やかで楽しかったです。

 Winter breakは、秋学期の終わりから次のCentre Termが始まるまでの休みで、3週間ほどあります。私は5日間フロリダへ旅行しましたが、それ以外は大学のあるダンビルで過ごしました。
 フロリダではディズニーワールドをメインに旅行しました。4つのパークがあるほど規模がとても大きく、世界観も壮大でした。ダンビルでは、同じ交換留学生である野口さんのホストファミリーの家に行ってクッキーを作ったり、先ほども紹介した老夫婦の家でクリスマスパーティーをしたり、教会の行事に参加したり、日本食会でシャルコフ先生の家にお邪魔したりしました。またクリスマスには、お孫さんたちも来ていたのですが、プレゼントが一人一つではなく、次から次に何個も出てくるので驚きました。
 キャンパス内に残っている留学生のために、少し離れたレキシントンやルイビルという街への無料送迎車が出る日もあり、それを利用してショッピングに行ったりもしました。私たちのような留学生以外のほとんどの学生が実家へ帰っているため、キャンパス内はとても静かでした。もちろんルームメイトも帰省していたため、部屋は一人で使うことができました。


ディズニーワールドでの写真です。

エプコットというパークでは世界の様々な国が再現されており、日本のエリアもありました。


クリスマスに家族でクッキーを作るのもイベントの一つだそうです。

 休みの期間は学内の食堂やカフェも閉まっているため、食事は自分たちで何とかしなければなりません。週に一回のシャトルバスは変わらず出ているため、買い物をして自炊をしたり、近くのカフェに行ったりしました。

大学の近くにあるカフェが休暇中にキャンパスに残っている留学生のために無料で食事を提供してくれました。

まとめ

 これまで不安と葛藤と勉強とで大変な4か月間でしたが、1学期を無事に終えることができてとても安心しています。まだまだ言語の面で苦労することはたくさんありますが、最初の頃に比べると、自分自身の成長も感じています。冬休みにしっかりと休息を取ることができたので、自分のペースで着実に次のステップへと進めるよう、次の学期からもまた切り替えて頑張っていきたいです。