10か月の留学生活も、気づけば残り2カ月を切りました。はじめはとても長く感じたこの期間も今では驚くほどはやく過ぎていくのを実感しています。この2カ月は国内外の旅行や授業外の時間をたくさん楽しんだので、それについて書いていこうと思います。
デンマーク旅行
3月初旬にデンマークの2番目に大きな都市である、オーフス(Aarhus)へ4日間の旅行に行きました。この国を選んだ理由は2つあり、1つはデンマークの国民性や文化についてとても興味があったからです。留学前に授業で幸福度の高い国として知られるデンマークについて調べる機会があり、それをきっかけにいつか必ず行きたいと考えていました。2つ目は、前期で仲良くなった友人がデンマーク出身で、デンマークの実家に招待してくれたからです。彼の家の近くにあるビルンド空港に到着してすぐLEGOブロックで作られた巨大な木に圧倒され、この都市がLEGOの発祥地であることをそこで知りました。彼の実家に着くと、家のつくりの違いに驚かされました。そこには広い庭があり、日光を取り入れるためのたくさんの大きな窓、家族や親戚との食事を楽しむための大きなテーブルがありました。デンマークでは1年を通して曇りの日が多いため、晴れの日の日光が貴重なのだそうです。それからカフェに行ってBMOと呼ばれるバターを塗ったパンにチーズを挟んだサンドウィッチやコーヒーを楽しんだり、バイキング博物館でバイキングの歴史について学んだり、3時ごろに外でビールを飲みながら会話を楽しんだりしました。私が旅行している間は運が良いことに晴れていたので、みんな友人や家族と公園や広場でピクニックをしてヒュッゲを楽しんでいました。「ヒュッゲ」とはデンマーク語で「居心地の良さ」や「心が満たされる感覚」を意味する言葉で、デンマークにはこの家族や友人とゆったりとした時間や空間を楽しむ文化があります。前述したように、この文化をずっと間近で見てみたかったので、見ることができてとても嬉しかったと同時に、それを眺めている私自身も心が満たされました。予想していた通り物価はとても高かったのですが、それでも納得がいくほどサービスや商品の質も高くて、何よりそこに住んでいる人たちの優しさに心惹かれました。また訪れたいと思うほど、とても素敵な時間を過ごすことができました。



ハイキング
私が住んでいるここスペイン、ナバラ県は多くの緑に囲まれていて、近くにたくさんの自然豊かな山があります。そのためこの2カ月で4回ほど友人と山登りを楽しみました。山登りは自らすすんでするほど好きではなかったのですが、友人に連れられて山に行ってみるとたくさんの緑や自然に心が癒されるのを感じました。また友人と普段は話さないようなことなどを話したり、息をのむような壮大な景色を一緒に見たり、山の頂上について達成感を共有したりすることにハイキングの楽しさを知ることができました。特に山の頂上で作って食べるボカディージョ(パンに生ハムやソーセージ、チーズなどをはさんだスペインの伝統的なサンドウィッチ)は絶品です。ハイキングを通して、自分からすすんでやらないアクティビティにこそ経験してみる価値があると思い、今ではチャンスがあれば積極的に参加するようになりました。


人生初サーフィン
定期的に行われるエラスムス旅行で、サーフィンをしに行くイベントがありました。今までサーフィンをしたことは無かったのですが、友人に誘われて参加してみることにしました。この日は曇っていて雨も降っていたので不安だったのですが、問題なくサーフィンができるということだったのでワクワクしながらバスでビーチに向かいました。入念に準備体操をして、インストラクターに波の乗り方を教えてもらい、海に飛び込みました。初めての試みだったのですが、インストラクターのおかげで何度か波に乗ることができました。たくさんの友人とサーフィンを共に楽しむことができて、とてもいい時間を過ごせました。

山口公園でお花見
スペインの北側の地方では冬の間は寒く、ほとんど雨の日が続くのですが、ようやくここパンプローナに暖かい春がやってきました。パンプローナ市と山口市の姉妹都市提携を結んだ記念としてつくられた山口公園に、桜の木があることを知ったので、友人と花見をしに行きました。桜は満開で花びらが舞い、とてもきれいでした。芝生の上で桜を見ながらご飯を食べたりカードゲームをしたりしながら、ゆったりとした時間を過ごしました。スペインにいるはずなのに日本にいるような懐かしい気分になり、少し日本が恋しくなりました。日本を感じられる場所が留学先にあるのはとてもありがたいことだと実感しました。

バルセロナ・バレンシア旅行
私たちの大学では、4月17日から27日まで2週間弱ほどの春休みがあります。一緒に留学に来ている友人と計画して、5日間でバルセロナ・バレンシアの2都市を旅行することに決めました。費用をできるだけ抑えるために夜行バスを使い、パンプローナから7時間ほどかけてバルセロナに到着しました。バルセロナでは、サグラダ・ファミリアやカサ・バトリョ、カサ・ミラを見たり、魚介やパエリア、ワインを楽しんだりしました。また散歩をしているとバロック建築の建物も多くみられました。セマナ・サンタ(イースター)ということもあり、有名な建物あたりは観光客であふれていて、人生で1度見てみたかったサグラダ・ファミリアのチケットは2週間前からすべて売り切れていました。もし見てみたい方は、サグラダ・ファミリアのチケットはオンラインでしか売られていないので、"Sagrada Familia"という公式アプリからオンラインで予約ができるので、遅くても1カ月前から予約しておくとスムーズに中へ入ることができます。またグエル公園も予約が必要だったので、これも事前に余裕をもって予約しておくといいと思います。中心地は観光客が多くて混雑していましたが、少し市内から離れると人も少なく街並もきれいで、公共交通機関が整っていたので十分にバルセロナを満喫することができました。

バルセロナ観光が終わり、そこからバスで4時間かけてパエリアの発祥地であるバレンシアに向かいました。到着して街を歩くと、パンプローナともバルセロナとも違う建築様式の建物が並んでいて、同じ国でもこんなにも景色が変わるのかと驚かされるほどでした。バレンシアは歴史的にイスラム教(ムーア人)の影響を受けた建築がいくつか残っており、特に教会の建築は一目で分かるほどその影響がはっきりと伺えました。歩道にはオレンジの樹があちこちに植えてあり、歩いていると何度もシャッターを切りたくなるような素敵な場所でした。バレンシア2日目には早起きをしてビーチに一人で朝日を見に行きました。水平線から出てくる朝日はとても眩しくてきれいで一生記憶に残る瞬間になりました。バレンシアでももちろんパエリアやバレンシアオレンジを絞った100%オレンジジュースを堪能して、旅を終えました。とても思い出に残る、充実した春休みになりました。


