センター大学 国際文化学科4年 山下璃帆 <最終号 2019年5~6月>

はじめに

 今回の報告書が私にとって最後の報告書になります。交換留学と日本語TA、合わせて2年間センター大学で過ごし、多くの人と出会い、考えが大きく変わりました。想像していた留学生活よりはるかにいいものとなり、交換留学後のTAとして留学して本当に良かったと心から思っています。これまでの2年間を振り返り、今回はまとめの報告を書きたいと思います。留学を考えている方、これから留学に行かれる方の参考になれば幸いです。

留学手続き

 山口県立大学、またはセンター大学の担当者を通じて指示通りに手続きをしたため、特に難しいことはありませんでした。ビザの手続きなどの件で問い合わせをすることがありましたが、担当者の方はとてもフレンドリーで反応も早かったため、不安なことがある時は迷わず相談することをおすすめします。

留学準備(医療・保険・語学・持っていったらよかったもの)

 普段飲んでいる薬があれば、事前に多めに処方してもらい持っていった方がいいです。私は何度か体調を壊しましたが、アメリカの薬は市販のものでも副作用が強かったり、持っている薬と飲み合わせが悪かったりすることもあるので、日本から持っていく方が安心です。
 アメリカに行く際に必要な予防接種もあるので事前に確認し、日本で受けていく方が安心な上に安いので健康面のチェックはしっかりした上で留学に臨みましょう。
 保険は、大学で紹介されたものに加入しました。旅行会社でも長期の海外旅行保険について提示されましたが、大学で申し込んだ方が格段に安かったです。

語学
 留学前は耳を慣すことが大事かなと思います。正直、日本にいながら話す練習をするのは難しいので、映画やドラマなどを見て耳を慣らしておけばアメリカに行っても早く順応できると思います。個人的には英語圏での居住経験があるため、特に準備は行いませんでした。

準備物
 留学に行く前は準備物についてかなり考えて準備をしたつもりでしたが、それでも日本から持って来ればよかったな、と思ったものが多くありました。その中でも特に留学先で勉強する科目で、信頼している日本語の教科書がある場合、それを持って来るべきだと思います。どの国で勉強するにあたってもその国からの視点になってしまうので日本人としての意見がある日本の本は大変おすすめです。また論文などを書く際にもアイデアが広がると思います。私の場合、中国語を英語で学んだため、中国語を日本語に訳すことがとても難しく感じました。TAに関しては日本語の絵本、本などがあれば授業でも使えたと思います。
 ダンビルは小さな町で、ショッピングセンターに行くのも一苦労なので、車を持っている友人に乗せてもらうか、土曜日のシャトルバスを利用すれば日用品などはすぐ届きます。また、アメリカではネットで簡単に買えるため、アマゾンをよく利用しました。服は現地で低価格のものを購入し、寄付して帰りました。

センター大学での学び(授業スタイル・予習/復習・課題)

授業のスタイル
 ほぼ全ての授業が少人数クラスでした。課題で出された論文を読んでおくことが前提となっており、その内容を元にした議論形式で授業が進んでいきます。授業によっては、冒頭に学生によるまとめのプレゼンテーションが行われることもありました。

予習・復習について
 各授業、毎週100ページほどの論文を読むことが課されていました。基本的には、授業の前日に翌日分を読み込み、休日に論文の課題をするというような忙しい毎日でした。授業の評価法によっても変わってきますが、復習はあまり重要ではないように感じました。私は与えられた論文をプリントアウトし、しっかり読み込みました。量が多いので疑問に思ったこと、授業で聞きたいこと、自分の意見を言えそうな所を蛍光ペンで印をつけ、簡単に付箋でメモをつけていました。1時間、または1時間半の授業の中で議題もコロコロ変わるので、全体の内容を把握することは大事ですが、しっかり理解を掘り下げることも大事です。私は予習の段階で理解できなかった所を別の蛍光ペンでマークし、補足を書き足していました。
 アメリカに来たばかりの2年前に比べ、最後の方は意見を言えるようになってきましたが、授業中の議論の流れの中で自分の意見を主張するのは、とても難しかったです。そのために事前にできるだけ準備し、「今日の授業ではこれを言う!」と決めておくと発言しやすいと思います。

課題
 課題は前述したリーディングと、ペーパーが出ることが多かったです。ペーパーは大体の場合、自分で授業に関連するトピックを選び、教授に相談したり、ライティングセンターに行ったりして、アドバイスをもらいながら書き進めていきます。日本でアカデミック英語を履修し、英語でレポートを書くことがありましたが、それとは比べ物にならない量の多さです。長い英語の論文は書き慣れていなかったため、ペーパーには大変時間が掛かり、とても苦労しました。できるだけ早く、自分が興味を持てるトピックを見つけ、掘り下げたうえで文献を探すことが大切だと思います。教授はオフィスアワー以外にも、連絡すると時間を作ってくれることも多いため、大まかなアウトラインを書いて教授のところに相談に行き、フィードバックをもらうことでより良い論文が書けると思います。日本語TAは授業の履修が少ない分、ペーパーの課題が重なることは少ないですが、日々の業務に併せて課題が重なると負担が大きくなるので、課題が出された時から早め早めに準備を進めることが良い評価につながると思います。

学習面でのアドバイス
 授業も4つもしくは5つ、TAだと2つしか授業がないため、授業時間は比較的短く感じます。そのため、自由時間が長いので、いかに自分を律することができるかが、センター大学での学びを左右します。予習に時間をかけること、また分からないことは教授に聞くことが大事です。テスト前はグループ学習なども行われることが多いので、積極的に参加することをおすすめします。

留学先の環境

滞在先
 交換留学性もTAでの留学も、キャンパス内にある寮に滞在することになります。ここでの違いは交換留学の時は特別手数料として65万円を山口県立大学に支払ったことです。TAはこの手数料を払う必要はありませんでした。
 寮は基本的にランダムで部屋割りされ、1年目はアイルランド人と同室になりました。事前にアンケートがあり、夜型、朝型、同い年の人がいいなどの希望を出すことができます。2年目は仲の良かった黒人の子とルームメイトになり、黒人文化を学ぶことができました。白人が多いセンター大学では黒人の学生が少なく、人権について考えさせられる場面が多くありました。山口県立大学に留学に来ている人とルームメイトとなることも可能なので、希望がある場合は事前に相手の子に頼んでおきましょう。
 大抵の寮は、ベッドと机があります。掛け布団・シーツ・枕はついていないので、現地で購入する必要があります。冬季休暇は食堂もしまっており、ほとんどの学生は帰省するので閑散としています。休暇は一年の留学を通して4回(秋休み・サンクスギビング・冬休み・春休み)あるので、その間に何をするのかも早くから考えておくといいでしょう。

大学の設備
 大学の図書館、またダンビルの街中にも図書館があります。蔵書数も多く、論文を書くのに役立つ本を探すのを司書の方に手伝ってもらうといいと思います。キャンパス内はすべての場所でインターネットが使え、あらゆる場所で勉強することができるので、お気に入りの場所を探すの楽しいです。

ケンタッキー州・ダンビル
 ダンビルの治安は悪くなく、ニューヨークなどの大都市に比べて、夜出歩くことにあまり心配はなかったです。しかし、日本の常識で物事を考えていてはいけません。暗くなってから一人でキャンパスの外に出ることはおすすめしません。田舎なので、夜中は車通りも人通りも少なく、暗い印象です。キャンパス内であれば夜に一人で歩いても心配になるような場面はありませんでした。

食事
 寮の食事は美味しくないと聞いていましたが、全く問題ありませんでした。寮に帰ってもルームメイトがいるため、一人の時間を作るのはとても難しいです。私は毎日決まった友人メンバーと食堂でご飯を食べていたため、食堂で食べることが多かったですが、たまに一人でゆっくりしたいときは、近くの店でテイクアウトしたり、デリバリーを頼んだりしました。

銀行(お金の管理)
 学内はセキュリティーがあまり整っておらず、物がなくなったという話をよく聞きました。私は現地の銀行で口座とキャッシュカードを作り、日本で両替したドルを入れていました。日本のカードを使うと手数料が高く掛かってしまうからです。オリエンテーションの時に口座を作るのを手伝ってもらえるので、その時に作ると良いでしょう。学内にもATMがあるので、引き出しやすく便利です。

危機管理
 出国前に山口県立大学で危機管理セミナーを受けます。学内でも自分の荷物からは目を離さない、など最低限の注意はもちろん必要です。心身の健康管理では、自分を追い込まないことが大切です。せっかくの留学生活、一切の日本人・日本語と距離をとろうとする人がいますが、やはりどこかでつらくなってくると思います。充実した留学生活を送るためにも、適度な息抜きが必要だと痛感しました。

サークル活動
 学習以外の活動も充実させることができるのもセンター大学の魅力です。8月末に新学期が始まると、まずオリエンテーション期間があります。そこで様々な学生団体が新入生を勧誘します。色々なイベントに顔を出してみるのがおすすめです。日本の学生団体とは活動の仕方や、運営方法も異なるので、とても興味深いです。
 TAは日本語クラブの運営を担う大事な役割があるので、とてもやりがいがあります。今後、より活気のあるクラブになっていくと思います。

留学中の就職活動について

 私はアメリカにいる間に就活を行わなかったのでアドバイスはあまりできませんが、帰国後でもまだ選考を行っているところはあります。履歴書等をメールなどで受け付けているところもあるので、分からないことは直接企業に問い合わせてみるのが一番だと思います。証明写真は専用のアプリで撮影した後に、近くのドラッグストアやスーパーで印刷することができます。
 私は交換留学とTAとしての留学のため、卒業が2年遅れました。しかし、単位が足りずに留年したわけではないので、就活に不利になるとは思いません。これから就職すると同期になる人が年下、また先輩が同い年や年下の人だという可能性はありますが、私はあまり気にならないので2年遅れて卒業することに抵抗はありませんでした。留学期間中にやりたいことが変わることもあるかもしれませんが、就活についてはしっかりよく考えてから留学に臨む方がいいと思います。

最後に

 センター大学で多くの友人と出会い、アメリカで様々な経験をしました。全ての経験が私を人として何倍も成長させてくれました。やりたかったことにはすべて挑戦することができ、後悔はありません。これからの人生の糧となる、忘れられない2年間となりました。留学に悩んでいる人はぜひ、挑戦して欲しいと思います!


最後のランチ!

お世話になった寮!