山口新聞「東流西流」掲載コラム(文化創造学科教授 山口光)


このたび、文化創造学科 山口光教授によるコラム連載が、山口新聞のコーナー「東流西流(とうりゅうせいりゅう)」にてスタートしました。2019年9月~10月までの毎週土曜日、山口教授の研究領域(プロダクトデザイン)等に関するコラムが掲載される予定です。

ここでは、コラムの内容について、写真も交えながら詳しくご紹介します。


第8回コラム「地域デザイン研究所」(2019年10月26日掲載)

2018年4月、学内に「地域デザイン研究所」を設立。
現在は、大内塗漆器振興協同組合・山口市との産学官連携により、新商品開発と後継者育成事業を進めています。

地域デザイン研究所
https://www.yamaguchi-pu.ac.jp/ca/design/

大内塗漆器の新商品「大内人形マトリョーシカ、山口椀 令」
https://www.yamaguchi-pu.ac.jp/ca/qu/theme/jyutakukenkyu-jirei2018oouchi/index.html


第6・7回コラム「新幹線と『匠の技』、匠の板金とデザイン」(2019年10月12日・10月19日掲載)

※山口新聞ホームページにジャンプします。
●第7回 https://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/touryu/2019/9-10/touryu1019sat.html
●第6回 https://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/touryu/2019/9-10/touryu1012sat.html


第4・5回コラム「銘木との出会い、銘木とデザイン」(2019年9月28日・10月5日掲載)

※山口新聞ホームページにジャンプします。
●第5回 https://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/touryu/2019/9-10/touryu1005sat.html
●第4回 https://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/touryu/2019/9-10/touryu0928sat.html


「銘木」にこだわったデザイン
 有限会社鳳山堂は1970年に創業された家具工房で、その多くが一枚板(貼り合わせをしていない天然木の板)から制作されているということです。質の良い木材にこだわった、いわゆる「銘木家具」の工房で、木の製材から加工まで、すべて工房内で行なっています。お客様の多くは「鳳山堂の木を使って家具を作って欲しい」と考えているようでした。
 鳳山堂は地域に根ざした銘木家具の工房として発展してきました。これからも地域と共に歩む「創造の拠点」として、未来を切り開いて行くことを楽しみにしています。



 銘木を使ってデザインをしている間に、節に近い部分も「個性的な木目」であることに気づきました。結果的に小さな端材(廃棄していた木材)を有効利用した、エコロジーな商品を開発しました。

●Kickory(木のお皿)
木目を強調したお皿。木を削った跡を残すことで、様々な模様が生まれます。

 少しずつ増えてきたのは、異業種とのコラボレーションによる作品です。例えば、徳地和紙を活用した団扇には「良い香りの銘木」を使っています。大内漆器から販売されているお椀には「木目の立派な銘木」を活用しています。色々な活動の中で、「銘木」は地域振興・異業種連携には欠かせないものだと感じるようになりました。


●KOUSA(徳地和紙と銘木の団扇)
徳地和紙(山口市)のとのコラボレーション作品。団扇の柄には「香の良い木」(クスノキ)を使用して、心地よい風が生まれます。



第3回コラム「萩ガラスとデザイン」(2019年9月21日掲載)

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●第3回 https://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/touryu/2019/9-10/touryu0921sat.html

「萩ガラスらしさ」とは「素材が放つ光のオーラ」

萩ガラスの場合、素材や加工技術、さらには幕末の歴史(萩ガラスのルーツ)まで、アピールポイントには事欠かない状況でした。色々とお話を聞いた上で、やはり最もこだわっている部分は「素材」だと感じました。結果として「素材が放つ光彩」を主張するデザインとなり、装飾の少ない形状となりました。


●はぎのみどり お酒の杯

萩の自然(みどり)とガラスが連動しているイメージでデザインしました。ガラスの厚さが変化することによって、「澄んだ緑色」の濃淡によるグラデーションが生まれます(ガラスが薄ければほぼ透明)。

The Wonder 500 認定商品。ミラノサローネ2015展示。


●URUSHITO GLASS

「ガラスの表情」を見せるために、純国産漆を使用している「浄法寺漆器」とコラボレーションしました。相互に素材へのこだわりが高く、相乗効果の高い商品となりました。

2013年グッドデザイン賞受賞。ミラノサローネ2015展示。


第2回コラム「萩ガラスとの出会い」(2019年9月14日掲載)

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<萩ガラスについての解説>

 萩ガラス工房(萩市)は、幕末の科学者であった中嶋治平氏の遺した資料を元に、現社長である藤田洪太郎(こうたろう)氏が平成4年に復刻しました。藤田社長は別にセラミック関連の会社を経営されていて、元々は理系の化学者です。アーティストの立場とは異なりますが、その分、素材に対しての相当なこだわりがあると言えるでしょう。国内では珍しい、素材から作られているガラスです。次の世代にも継承されて、新たな歴史を生み出して欲しいと思います。


●玄武岩(げんぶがん)ガラス

 萩ガラスは、萩市・笠山(かさやま)から採掘される「石英玄武岩」から作られています。岩石に含まれる鉄分が高温で還元されることで、萩ガラスの特徴とも言える「澄んだ緑色」が生まれます。また、1500度以上で焼成されたカリガラスでもあり、通常のガラス(ソーダガラス)の5倍以上は硬い製品ができると言われています。




●内ヒビ貫入ガラス

 耐熱ガラスの間に通常のガラスを挟み込む3層構造になっていて、熱収縮で内部だけにヒビ(クラック)ができるものです。お湯を入れると、熱収縮でヒビが変化します。元々はハンガリーの技法で、日本で始めたのは萩ガラス工房が初めてのようです。



萩ガラス工房ホームページ

第1回コラム「地域産業とデザイン」(2019年9月7日掲載)

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