大内漆器における産業振興と伝統継承 ―次の100年へ向けたブランディング―
受託研究委託者 | 山口市 |
受託研究研究者 | 地域デザイン研究所 所長 山口 光 |
研究背景
山口県の伝統工芸である大内漆器の代表格である大内人形が生まれてから約100年の歴史を持つ。しかし、現在、漆を塗る前の素地である木地(きじ)を加工する職人(木地挽き)は山口県内で1名のみであり、将来性に不安がある。
研究内容
木地の安定生産のため、機械加工と手加工の両面から製造方法を検討した。また、歴史的な面も考慮しつつ、次世代に向けた産業振興を目指してブランディングを行った。
研究結果
「木地」の安定生産に向けて、木材家具メーカー(有)鳳山堂との提携により、機械加工を導入した商品開発を行った。
「大内人形マトリョーシカ」
曖昧であった大内人形の形状を測定・データ化(図面化)し、デジタル加工の可能性を広げた。このことにより、機械加工による入れ子状の大内人形を開発。職人による絵柄で仕上げ、大内漆器の「装飾性」を尊重した。
「新・山口椀」
江戸時代に存在したと言われている「山口椀」モチーフとして、現在のトレンド(生活工芸等)に見られるような「機能性」を追求した多角形のお椀を開発した。
こちらの木地も機械加工により作成している。
装飾と機能、それぞれの象徴的な製品を開発することで、幅広いマーケットへの訴求を目指した。
また学内にて「木地挽き」の技法(手加工)を教えることで、技術の伝承に向けた活動も行なった。
大学生による「木地挽き」の実習風景
応用・展開
・伝統工芸における産業振興と継承
・広報・販売までのトータルプロデュース
・デジタル加工技術を活用した工芸
・新商品の開発(継続開発中)