2020.07.20

はーと♡ふくし講座 リレーメッセージ版―福祉を学ぶ大学生から高校生へ―


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 社会福祉学部が毎年開催してきた高校生を対象とした「はーと♡ふくし講座」(山口県立大学高大連携事業)は、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、今年度の実施は中止となりました。
 今の状況を考えると、当面の間、高校生の皆様に本学にお越しいただくことができないため、高校生と大学生との交流が実現できないことを大変残念に思います。しかし、社会福祉学部の学生たちは、「高校生に福祉を伝えたい」「高校生に私たちが学んでいることを伝えたい」という想いを強く持ち続けています。
 そこで、講座が開催できるまで、「はーと♡ふくし講座リレーメッセージ版―福祉を学ぶ大学生から高校生へ―」として、大学生からのメッセージを掲載します。

リレーメッセージ

子どもたちの幸せを支えるために~子ども食堂のボランティア経験を通して~

社会福祉学部3年
小林 瑞歩

子ども食堂のボランティア経験から学んだこと
 私は、大学1年生の時から、子ども食堂でボランティア活動を行っています。子ども食堂とは、子どもやその親、および地域の人々に対し、無料または安価で栄養のある食事とあたたかな居場所を提供する活動です。また、学習支援も行っています。大学生である私は、主にこの学習支援のボランティアとして活動にかかわってきました。中学生やそのきょうだいである小学生を中心に、学校での宿題を見守ったり、受験勉強に向けて苦手なところのサポートをしたりしています。途中の休憩時間では、みんなでトランプなどのミニゲームを行い、地域の子どもたちとのかかわりを深めていきます。さらに、今年は『体験の風を吹かそう』というテーマで、子どもたちと一緒に、リンゴ狩りやバーベキューをしました。このようにボランティア活動を通して、子どもたちとかかわることで、私自身も楽しみながら地域貢献をし、たくさんの刺激をもらっています。
 私が大学生になってボランティア活動をしようと思ったのは、高校生の時にボランティア活動を思うようにできなかったからです。私は高校生の時、家から学校までの通学時間が長く、さらに部活動をしていたため、ボランティア活動に興味があったものの、時間を作ることが難しい毎日でした。そのため、ボランティア活動に参加したことがあるのはほんの数回でした。大学生になったら、新しい経験をたくさんしようと決めていました。そこで、入学してすぐに、ボランティア活動の紹介を聞いて、参加しました。
 このボランティア活動で学んだことは、子どもの実態と地域での支えあいです。家庭の経済的な理由により、塾に通うことができずに周りとの学力に差がついてしまう子、食事は食べているものの、栄養の偏りがある子など、社会の中には、困難を抱えいる子どもたちがいます。近年、このような子どもたちに対して、子ども食堂や学習支援等、地域で支えあう活動が拡がっています。そして、様々な立場のボランティアがかかわっています。ボランティアは、私たち大学生を含め、地域の高齢者、会社員、主婦などさまざまな人がいます。ボランティア活動を継続することで、ボランティア同士の絆も深まり、仲間同士で子どもを取り巻く支援環境を変えるために」知恵を出し合い、新たな活動を展開したりします。子どものために何かしたい、力になりたいという思いを持った人々が集まり、地域の子どもの居場所がよりよいものとなるよう活動しているのです。私は、大学時代に、子ども食堂のボランティアを経験したことで、机上ではできない貴重な学びを積みかさねてきたように思います。そして、そこで出会った子どもたち、保護者、ボランティアの方から、たくさんのことを教えていただき、数えきれない思い出ができたことは、私の一生の宝物になるように思います。
 みなさんはボランティア活動に興味がありますか?もうすでに活動したことがいる人もいるかもしれません。もし、まだ経験していない人は、どんなボランティア活動があるか、調べてみてくださいね。

高校生へのメッセージ
 高校生のみなさん、大学についてどのようなイメージを持っていますか?私は、先日高校の教育実習を行わせていただきました。そこでは、大学生のイメージについて、生徒から「大学生は勉強で忙しく、大変なイメージがある。」という声を耳にしました。確かに、大学では、高校の時よりも自分がやりたいことについてもっと専門的に学ぶことができます。しかし、勉強づけの4年間だけではありません。部活、サークル、ボランティア活動にアルバイトなどさまざまなことに挑戦することができます。特に大学生は、自由な時間を自分なりに過ごすことができます。私は、自由な時間にアルバイトをして貯めたお金で、友人とフィリピンに行き、児童養護施設でボランティア活動をしました。2週間の生活の中で、児童養護施設で暮らす子どもたちが安全に学校へ通うことができるように道を作りました。元々、海外に興味があったこともあり、海外と福祉をつなげた貴重な経験をすることができました。福祉は日本国内だけのものではなく、世界でも促進されるべき共通問題であり、日本の大学生と現地のフィリピン人ボランティアたちと、環境を改善する活動を行い、話し合いました。自分の趣味と福祉に関する勉強を掛け合わせるという一石二鳥な経験ができました。
 また、自由な時間を活用し、保育士の資格を取得しました。入学当時は、子どもに興味があったため、子どもの発達、成長についての知識を身に付けたいと思い、勉強をしました。福祉には、高校生を含め子ども、高齢者、障がいのある方、生活が苦しい方などさまざまな人が対象とされます。自分の興味のある分野について、自由に学ぶことができるところも大学の良いところだと思います。
 このメッセージを読んでくれている高校生のみなさんは、福祉系に進もうか、保育系に進もうか、どのような方向に進むのがよいか、迷っている高校生がいるかもしれません。どんな大学に進むことがよいのか、どんな専門領域が自分にあっているのか、しっかり考えて前に進んでください。そして、大学に入学した後は、自分次第で学びの幅を広げることができるます。大学に入学したら、自由な時間を使って、いろいろな経験をしてくださいね。
さて、私は、卒業まで残すこと、8カ月となりました。残りの学生生活を、大学生として与えられたの自由な時間を使ってさまざまなことに挑戦していきたいと思います。
 私のメッセージが、高校生のみなさんに少しでも参考になれば、うれしいです。


日本の大学生ボランティアとフィリピンのボランティアの人との記念撮影
(真ん中あたりの紺の服を着ているのが小林瑞穂さん)

「はーと♡ふくし」リレーメッセージ版 ―障害のある子どもの教育にかかわる特別支援学校教員について―

山口県立大学社会福祉学科4年
筬島 梨里

障害のある子どもの教育にかかわる特別支援学校教員について
 みなさん、こんにちは。今回は私の将来の夢である特別支援学校の教員についてお話したいと思います。
 私は小さい頃から子どもと関わることが好きで、将来は幼稚園の先生になりたいと考えていました。しかし、大人になるにつれて、より多くの人の役に立ちたい、一人でも多く笑顔を引き出せるような存在になりたいという想いが強くなり、社会のしあわせについて考える「福祉」への関心が高まり、この大学を選びました。
 そんな私が、特別支援学校の先生になりたいと思ったきっかけは、「福祉」について学んだ大学生活が大きく影響しています。大学に入るまでは障害のある子どもとの関わりも少なく、障害のある子どもたちがどのような環境で生活し、学んでいるのかも知りませんでした。大学ではソーシャルワーク実習やボランティア活動を通じて、実際に障害のある子どもや家族との具体的なかかわりを通して、感じたこと学んだことが私の夢につながるきっかけになりました。
 特別支援学校の教員になりたいという想いが強くなったのは、大学の附属施設である地域交流スペースYuccaで定期的に開催されている「ママかんフリーカフェ」に参加して、障害のある子どもを育てるお母さんのお話を聴かせていただいたことでした。そこで、子どもが通う施設や学校の支援のあり方は、子どもと家族の生活に大きく影響するということを知りました。その話の中に、特別支援学校の先生に感謝されたり、期待されているお母さん方の声を聴き、私は、子どもの成長発達を支えるだけでなく、お母さんや家族を支援できる人になりたいと心から思いました。
 大学に入り、様々な学修や経験を積む中で、障害に対する見方・考え方も大きく変わりました。私は、「福祉」を専門に学んだことを強みにして、障害のある子どもと家族の幸せを支えることができる教員になりたいと思っています。
 数か月後、私は、地元の長崎県で特別支援学校の教育実習を行う予定です。どんな生徒たちに出会えるかなと楽しみな気持ちと、生徒への教育支援や授業がうまくできるか不安な気持ちが交錯しています。しかし、この経験も夢に近づくためのものなので、精一杯、がんばりたいと思います。
 今日の私からのメッセージを読んでいただき、特別支援学校について知ってもらえたらうれしく思います。特別支援学校高等部には、みなさんと同世代の生徒さんたちが、自立と社会参加を目指して、国語等の教科だけでなく、作業学習や現場実習等の勉強を毎日、がんばっていらっしゃいます。私のように、教員になりたい夢を持っている人もいると思いますが、ぜひ、特別支援学校のことも調べてみてほしいと思います。

高校生のみなさんへ
 大学に進学したいと考えているみなさんは、大学に入って勉強以外にやりたいことはありますか?
 私は、大学に入って「よさこい」に出会い、サークル活動「よさこい部奄美連合萩組」に打ち込みました。このサークルでは、山口県内外を問わずさまざまなお祭りやイベントに参加するため、地域の方々との出会いや交流が多くあります。活動を通して、同年代の障害のある方のパフォーマンスに出会って感動したり、地域づくりに貢献している素敵な大人たちに出会ったりしました。また、サークルを通して仲良くなった友達、先輩や後輩との交流は大学生活を楽しく充実したものにしてくれました。ダンス初心者の私でも、日々の練習の積み重ねで、4年間で大きく上達することができました。本番でうまく踊れた時は、みんなで喜びを分かち合いました。このように、大学生活で、夢中になれるものに出会うことができ、まさに「青春」を過ごした日々はかけがえのないものだと思います。高校で部活に熱中している人はもちろん、大学生活をより楽しく過ごしたいと思う人は、是非サークルに入ってみてくださいね。
 また、大学では「ゼミ」という専門の研究室を選択します。私は、障害児教育研究室(藤田久美教授)に所属し、障害のある子どもや家族の支援のあり方について学んでいます。机上の学びだけでなく、先ほど紹介した「ママかんフリーカフェ」の運営に携わったり、専門家養成のための研修会に参加したり、ボランティア活動を通して障害のある子どもの支援にかかわったりする体験もあります。このような経験は、将来、特別支援学校の教員になる私にとって貴重な学びになっています。ゼミの仲間は4年生7人、3年生9人です。仲間と一緒に勉強や活動をすることも魅力です。また、卒業論文の執筆過程では、励ましあってがんばることができます。全員、女子なので、おしゃべりもとても楽しいです。
 今日は、みなさんに私の大学生活について伝えさせていただきました。大学進学を考えている人は、学校の勉強、受験勉強の日々だと思います。大学に入学したら、自分の夢を見つけたり、青春したり、素敵な出会いがあったりします。みなさんにもそうした日々が来るよう、祈っています。


※写真:よさこい部奄美連合萩組のイベントで

「はーと♡ふくし」リレーメッセージ版 ―障害のある人との出会いから学んだこと―

山口県立大学社会福祉学科4年
奥田 花菜

障害者支援施設での実習を通して学んだこと
 私はソーシャルワーク実習を通して、感じたこと、考えたことを伝えようと思います。
 私は大学3年生の時、3週間、障害者支援施設でソーシャルワーク実習をさせていただきました。障害者支援施設とは、「障害者につき、施設入所支援を行うとともに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行う施設」と法律で規定されている施設です。入所だけでなく、「生活介護」等、通所しながら受けるサービスもあります。
 実習中、「生活介護」のサービスを受けている障害のある方と一緒に作業をさせていただいたり、昼食や休憩時間を一緒に過ごしたりしました。 ソーシャルワーク実習の事前学習で様々なことを学んだものの、実習に行く前は、不安な気持ちがありました。障害のある人にかかわった経験がなく、自分がどのように支援すればよいか等、とても心配でした。
 しかし、実習を通して、障害のある人の生活の場で、共に過ごし、共に作業などの仕事をしていくことを重ねる中で、イメージが大きく変わりました。
 ある日、配属されていた班で作業を一緒にしていた時、私が、慣れない作業に戸惑っていると、生活介護を利用されている男性が、私に作業の方法を分かりやすく教えてくれました。その方とコミュニケーションをとる中で、私が今まで抱いていた「障害」や「支援」のイメージが大きく変わっていくことを感じました。障害のある方に自分がどういった支援ができるか心配していた私が恥ずかしくなりました。
 その後も、施設を利用されている方との具体的なかかわりを通して、私は多くのことを学びました。障害のある人と共に過ごすことのできた日々の中で、大切な気づきを与えていただきました。
 人と人とがコミュニケーションをするということのすばらしさ、相手に気持ちや想いを伝えることの大切さ、相手の想いに寄り添うことの大切さ、喜びや悲しみを共有してくれる人がいる幸せ等、人が生きる上で、大切にしていきたい日常がここにありました。
 さて、世間一般の人は、障害のある人に対して、どんなイメージを持っているのでしょうか。もしかしたら、障害のある人と関わったことがないため、不安を感じている人や、周りから聞いたマイナスのイメージを強く持っている人もいるかもしれません。
 私は、ソーシャルワーク実習を通して、障害に対して正しい理解をするためには、障害のある人と出会う経験が必要なのではないかと考えました。また、出会う経験がなくても、障害を理解する学習を学齢期に導入する必要性も感じました。そうすることで、障害に対するマイナスのイメージがプラスのイメージに変わる可能性があるのではないかと思います。
 このようにソーシャルワーク実習で得た学びは、私の障害観や福祉観、支援観に大きな影響を与えました。その学びを繋げ、卒業研究のテーマを「大学生における幼少期および青年期の肢体不自由者との交流経験と障害者スポーツに対する関心度との関連」としました。研究では、大学生における障害者スポーツの好イメージとは中高校生時の障害者との交流経験が関連することが明らかになりました。今年度は、このような思いを「はーと♡ふくし講座」で、高校生のみなさんに直接、伝えることができずに、とても残念でしたが、今日のメッセージを読んでいただき、少しでも、障害について関心を持っていただくことができれば、うれしく思います。

高校生へのメッセージ―大学に進学を考えている人へ―
 みなさんが大学に進学したとして、大学ではどのようなことをしたいですか?勉学に励む、サークル活動を楽しむ、アルバイトをする・・・いろいろなことが考えられます。そして、みなさんが考えていることの多くは、学生生活の中で実現することができると思います。
 私も学生生活を通して、様々な経験をすることができました。今回はその中の一つ、学生スタッフについて紹介します。学生スタッフは、大学行事や講義の補助、大学行事への準備の手伝いなど、大学で行われることに関する業務をします。定期的ではなく、大学から募集があった時に応募し、採用されたら学生スタッフとして動くことになります。
 私はこの学生スタッフを1年生の頃から行ってきました。そこで、オープンキャンパスの補助や保護者懇親会のキャンパスガイドといった人と接するものから、データの入力や配る書類を袋に入れる作業といった黙々と行うようなものまで、様々な業務を経験しました。学生スタッフをする中で、コミュニケーション能力や繰り返しの作業をこなす能力が高くなったのではないかと思っています。また、大学で行われる業務に学生スタッフとして関わることで、より大学のことを知ることができました。能力の向上や学びだけでなく、他学科・他学年の学生、大学の職員、高校生など多くの人との縁を感じることもできました。
 私が学生スタッフを通して得られたことはとても多く、これからにもつながるものでした。学生スタッフを募集しているかは大学によって異なると思いますが、もしみなさんが進学した先の大学で募集していた際は、学生生活を充実させる一つとして応募することを考えてもらえたら嬉しいです。
 学生スタッフという、大学生活を送る中でできることを紹介しました。ただ、大学ではより専門的なことを学びたい、勉強に力を入れたいという人もいると思います。大学では自分の進んだ学科の講義だけではなく、興味があれば他の学科や大学の講義を受けることができる場合もあります。私は山口県立大学の社会福祉学部で取得できる、高等学校福祉と特別支援学校の教員免許の他に、他学科受講をして司書教諭の資格も取得する予定です。司書教諭の資格を取得しようと思った理由は本が好きということもありますが、障害がある児童・生徒にも本を読む楽しさを伝えたいという思いがあったからです。
 大学生のうちにできることはとても多いです。あくまで無理のない範囲で、様々なことに興味を持ち挑戦していくことで、充実した大学生活を送ることができるのではないかと思います。


※写真:健康福祉学研究室(角田 憲治准教授)で健康スポーツ(ゲートボール)の体験学習を行っている様子(写真中央が奥田花菜さん)

「はーと♡ふくし」リレーメッセージ版 ―人々のしあわせを支えるために―

山口県立大学社会福祉学部4年
嶺 智泉

人々のしあわせを支えるために~福祉事務所の実習を通して学んだこと~
 みなさんは福祉事務所という言葉を聞いたことがありますか?これまで福祉事務所についてあまり意識したことがないかもしれませんね。福祉事務所は、行政の機関であり、色々な施設や保育園、社会福祉協議会などと協力して、人々のしあわせをささえる役割を担っています。私は3年生の時、ソーシャルワーク実習として、福祉事務所で3週間の実習をさせていただきました。今日は、私が福祉事務所での実習を通して学んだことをふまえ、高校生のみなさんにできるだけわかりやすくお伝えできたらと思います。
 みなさんの住んでいる地域には、市役所があると思います。私の実習先の福祉事務所もその市役所の中にありました。
 福祉事務所は、福祉行政の中核的な現業機関として、福祉六法(「生活保護法」、「児童福祉法」、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」、「老人福祉法」、「身体障害者福祉法」「知的障害者福祉法」)に関する業務を行う機関です。  福祉事務所は、人々の生涯にわたってのしあわせを支えるための行政機関としての役割を担っています。みなさんがまだ生まれる前のお母さんのお腹にいるときは、母子手帳の交付をします。そして、生まれてからは健診をしたり、育児の不安解消のために、お母さんが集まり話す場所を提供したり、相談を受けたりします。もう少し大きくなって、保育園に行くことになれば、保育園に入園する手続きを行います。もし、発達に心配があったり、障害があることがわかれば、必要な福祉サービスが受けられるように証明書の発行や施設への手続き、施設と学校、保育園をつなぐ架け橋の役目も担います。さらに大人になって、働く場所に困ったら、仕事探しのサポートをします。何らかの事情で働けず収入がない、あるいは少なかったりしたら、生活保護という制度を利用する手助けをします。年を重ね高齢になり、介護が必要となれば、介護の必要性の度合いの調査を行ったり、老人ホームなどへ入所の手続きの手助けをしたりします。 このように、福祉事務所は、生涯を通じて私たちの暮らしをサポートしているのです。私は、このように支えてくれる福祉事務所があるからこそ、私たちは安心してしあわせに生活することができていることについて実習を通して学びました。
 高校生のみなさんにも、私たちのしあわせを支えてくれている福祉事務所に少しでも興味を持っていただけたらうれしいです。

高校生のみなさんへ
 みなさんは今どんな高校生活を送っていますか?勉強、部活動等、がんばっていらっしゃるのでしょうか?
 私は、教員になることを目指し、本学に入学しました。山口県立大学社会福祉学部では、福祉を専門として学びながら、高校の福祉科教員免許と特別支援学校教員免許が取得できることが魅力だったため、本学を選びました。大学では、バレーボール部に入りました。ポディションはレフトです(写真:背番号1番が私です)。体育系の部活動なので、週3回の練習はとてもハードですが、子どもの頃から継続してやっている大好きなバレーボールができることで、大学生活がとても充実しています。部活動は、社会福祉学部の学生だけでなく、国際文化学部や看護栄養学部の学生との交流でき、友達の輪が広がります。山口県の大会で優勝できた時には、喜びを分かち合い、一生の思い出になりました。
 私は、今、高校福祉科の教員を目指し、採用試験の勉強をがんばっています。特別支援学校の教員免許も取得する予定なので、高校教員になることができたら、障害のある生徒への教育支援のあり方について考えていける教師になりたいと思っています。
 このように、私は教員を目指していますが、社会福祉学部卒業後の就職先は多岐にわたります。福祉職と聞いて想像するのは、児童養護施設や、障害者の通所施設、老人ホームなどの職員だと思います。もちろんこのような施設に就職して、利用者への支援を行う仕事に就く人もいますが、社会福祉士を取得して福祉事務所で働く公務員になったり、社会福祉協議会に就職して相談援助や地域支援を主とした仕事に就いたりする人もいます。在学中に、保育士試験の受験もできるため、資格を取得することができれば、児童福祉施設で社会福祉士と保育士を両方取得して働くこともできます。また、精神保健福祉士を取得して精神科病院や、精神障害のある方への就労支援に携わることもできます。
 社会福祉学部の学生は、講義だけでなく演習や実習を通して実際に利用者と関わっていく中で自分の夢を見つけていく人もいれば、元々なりたかった職業を目指して学んでいく人もいます。
 高校生のみなさんは、将来、どんな職業に就きたいですか?今は明確にどこで働きたいかという夢はなくても、大学で学んでいく中で見つけることができます。このメッセージを読んでくださる人は、きっと福祉に関心がある人だと思います。そういった気持ちを大切にして、大学生になって、福祉を学んでくれたらとても嬉しいです。

「はーと♡ふくし」リレーメッセージ版 ―私たちの生活を豊かにする「ふくし」―

山口県立大学社会福祉学部4年
西 美里

私たちの生活を豊かにする「ふくし」
 「ふくし(福祉)」という言葉を聞いて、高校生の皆さんはどのようなものだと考えますか?また、どのようなものをイメージしますか?
 今日は、私から高校生のみなさんに、福祉について伝えてみたいと思います。
 私は、福祉とは「私たちの生活を幸せにしてくれるもの」だと考えています。決して、今自分の周りにいる、高齢者や障害者、生活に困っている人たちのためだけにあるものではありません。
 私自身、大学に入学する前は、「ふくし」と聞くと高齢者福祉や障害者福祉などをイメージして、今の自分にはあまり関係がないものだと考えていました。しかしそうではなく、意識していなかっただけで、私自身も、生まれてからこれまでにたくさんの福祉サービスを利用していたということを、大学の講義を通して知りました。
 私たちは生まれてから死ぬまで、一生の間に、必ず福祉サービスを利用します。例えば、皆さんが小さいころ通った保育園も、児童福祉の一つです。また、私たちは年を取れば必ず高齢者になりますし、いつ事故や病気などで障害を抱えることになるかわかりません。そんな時、福祉サービスを利用すれば、私たちの生活は豊かで、幸せなものとなります。福祉は、私たち一人ひとりの生活を幸せにしてくれるものだということを知ってもらい、そして身近に感じてもらいたいという気持ちを込めて、皆さんにメッセージとして送ります。
 今日、お伝えしたことは、ほんの一部です。もし、興味を持っていただけたら、みなさん自身で「福祉」について調べてみてほしいと思います。

高校生のみなさんへ
 みなさんは、今、高校で勉強や部活にがんばっていらっしゃるんだと思います。その中で、進路に悩むことなどあるのではないでしょうか。
 私は、特別支援学校の教員になりたいという目標に近づくため、教員免許を取得できる大学に入学したいと考えていました。最初は、教育に関する多くの知識を身に付けて教員免許を取得したいという思いから、教育学部がある大学を目指していました。しかし、高校3年生の時、担任の先生から「特別支援学校の教員を目指すなら、福祉の知識を身に付けた方がきっと現場で役に立つ」という助言があり、山口県立大学社会福祉学部をすすめていただきました。その後、受験勉強をがんばって合格することができた時は、夢に一歩近づいたように思えて、とても嬉しかったです。
 大学に入学して4年目になり、私は、今、特別支援学校の教員になりたいという目標を実現するため、夏に実施される教員採用試験に向けて勉強に励んでいます。本採用は少数枠の狭き門であるためプレッシャーを感じていますが、試験本番で自分が持つ力をすべて出し切ることができるように頑張りたいです。
 また、卒業論文の執筆にも取り組んでいます。卒業論文は、大学を卒業するための最後のハードルとなるものです。自分の興味のあるテーマについて探求し、考察を深めていく作業は楽しいですが、たくさんの文章を練り上げていくことに難しさを感じています。執筆が進まないこともありますが、ゼミの仲間みんなで支えあい、励ましあいながら頑張っています。また、ゼミの先生から個別指導を受けることができるので、心強く思っています。
 私は、今、この2つの取り組みを同時に進めていくことで時間が足りないように感じています。時々、くじけそうになる時もあるけれど、そんな時は、悩みや不安な気持ちを共有してくれる友人や家族がいます。ですから、これからも周りの人たちの力をかりながら、頑張っていきたいと思います。
 高校生のみなさんも、日々、勉強や部活等、がんばっていらっしゃると思います。私のように周りの人に助けてもらいながら、無理せずに日々を過ごしてください。応援しています。


(写真右:西 美里さん)