虚弱な高齢者の健康づくりに関する生活習慣等の調査研究
受託研究委託者 | 上関町 |
受託研究研究者 | 栄養学科 講師 弘津 公子、助教 兼安 真弓 |
研究背景
我が国の死亡原因は生活習慣病(がん、心筋梗塞、脳血管障害)、肺炎が上位にある。一方、高齢者が要介護状態となる要因として、閉じこもりや低栄養状態、口腔機能の低下等も問題視されている。
そこで、今回、地域在住の介護予防特定高齢者(要支援・要介護になる可能性のある高齢者)及び要支援者を調査し、風邪やインフルエンザ及び要介護状態の予防となる生活習慣等を明らかにし、自立期間の延伸に繋がる取り組みを行うことを目的とする。
研究内容
対象者:虚弱な高齢者 男8名、女30名
調査内容:
・身体計測
・体力測定、介護予防のための基本チエックリスト
・半定量食物摂取頻度調査
・生活習慣調査
・口腔内免疫機能調査

本調査により得られたデータを、昨年度に行った同町の自立高齢者の調査結果と併せて解析し、次年度の介護予防施策の参考資料とした。
調査の様子
研究結果及び考察
年齢は、女性の虚弱群が高かった。体力では、女性の自立群が握力、TUG、基本チエックリストの運動能力において、高かった。食品群別摂取量では、女性の自立群が果実類、油脂類、調味料量類においてに多かった。栄養素別では、女性の自立群のビタミンCの摂取量が多かった。女性の自立群、虚弱群の食品群別摂取量を、平成20年度の国民健康栄養調査結果(70歳以上)と比較すると、同地域において、菓子類、油脂類の摂取量が多く、その他の野菜、果実類の摂取量は少なかった。また、この傾向は、本県の県民栄養調査と比較しても同様の結果が得られた。さらに、栄養素別摂取量のPFC比では、脂質のエネルギー比率が高かった。
体力、運動能力において、自立群の女性は前期高齢者が大半を占めており、基本チエックリストの運動能力の差は、先行研究結果を支持しており加齢による筋力低下が要因と考えられた。食生活は、本地域の特徴として、菓子類、油脂類の摂取量が多く、その他の野菜、果物類の摂取量が少ない傾向が見られた。
応用・展開
自立高齢者においては世帯構成による食生活の差が認められることから、今後、さらに検討を加え、高齢化率47%の地域における介護予防の取り組みに繋げたい。