受託研究の事例


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たどつネタ発掘と観光ルート開発に関する研究

受託研究委託者多度津商工会議所
受託研究研究者文化創造学科 准教授 齊藤 理
研究期間 平成26年度

研究背景

 近年、各地域で観光まちづくりが盛んに試みられている。一方で、来訪者数だけを尺度とした地域評価の方向性をもたらすなどして地域文化を均質化させてしまう恐れも指摘できる。
 そこで、香川県多度津町の観光振興を目指した本研究においては、当地域文化創造論研究室独自の「動詞抽出調査法」を用いて観光資源の発掘に関わる課題に取り組むこととした。
 この調査手法は、地域性を多角的に読み取りつつ、かつ「具体的な行動(動詞)」をかすがいにして来訪者と地域住民とが触れ合えるような仕組みづくりを目的とするものである。これにより、画餅に帰することのない持続可能な観光ルートの開発を進めることができると考えた。

研究内容

調査方法の組み立て:
まず、地域の方との情報共有をとおして観光上のポテンシャルと課題を検証し、適切な調査対象エリア、調査日程等を計画した。

優位性項目:
・こんぴら街道に位置し、歴史的な町屋の景観・空間を有する。
・少林寺拳法発祥の地、四国鉄道発祥の地、JR多度津工場など、いくつもの「この地にしかない地域素材」を有している。
・観光人材(名ガイド等)が活躍している 等。

弱点:
・多度津中心部の空洞化、市街地の衰退、歴史的景観の老朽化等に伴い、将来的に観光客の受け入れに限界が生じる。

研究結果

 動詞抽出調査を実施した結果、「飾りを『探しまわる』」、「撮影スポットを『目指す』」、「川辺に『集まる』」など、およそ30の動詞を列挙することができた。これを分析し、計4種の観光ルート・モデルを新規に提案するに至った。
 地域住民も参画しながら調査を実施したことにより、「地域の皆さんが勧めるアクティビティ」と「来訪者が望むアクティビティ」を効果的にマッチングさせた観光促進の端緒を導くことができた。


動詞「広報する」を基にした地域CM。参加スタッフによる作成

応用・展開

・「動詞」の種類を広げ、また実効性の高いものにしていくことで、来訪者の中心街での滞在時間は長くなり、地域振興につなげることができる。
・このプロセスを繰り返すことで、新たな観光ルートを次々と創出でき、持続可能な観光まちづくりへと発展させていくことが可能である。