ラップランド大学 国際文化学科4年 小田咲幸<最終号 2025年5月~6月>

はじめに

5月31日に日本を出発し、無事に日本に到着しました。まだ長袖必須のフィンランドとは打って変わって日本は半袖必須なので、なんとかこの状況に適応しようとしている私です。そんな私の日本帰国後初めての購入品はカルピスでした。「これこれ!」となった自分に、カルピスが恋しくなる程長い時間をフィンランドで過ごしたのだなと、しんみりとした気持ちになりました。日本に帰国して2週間経った今は、もうフィンランドの風景が恋しくなっています。この号では5月(最終月)についてお伝えするとともに、私の大切な9か月をまとめて振り返ろうと思います。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

Finnish3

フィンランド生活最後の月のハイライトはなんといってもFinnish3です。5月5日より受講をはじめ、帰国前日の5月30日に試験を受けて受講を終えました。この授業は今までの授業とは異なり、「Open university」という、授業料を支払えば誰でも受けることが出来る授業だったので、学生と社会人が混ざったクラスでした。もちろんラップランド大学の学生は無料で受けることができます。中には奥さんがフィンランド人という方がおり、Finnish3の取り扱う範囲も相まって、クラス全体が意欲的でレベルの高い授業でした。私はスケジュール的に受講が可能で、「せっかくだし受けてみよう」という興味本位の受講だったのでとても苦労しましたが、今回もまた、友達にたくさん助けてもらって受講を無事に終えることが出来ました。試験に関して、帰国準備と並行しての受講と試験準備だったので大変でした。また、試験に落ちても追試を受けることができないというプレッシャーで試験当日はとても緊張しました。アパートの掃除のために必要なグッズを買いにスーパーへ歩いている最中、暗記しなければならない単語をぶつぶつ唱えていたあの頃が懐かしいです。その努力のおかげか、帰国後無事に合格のメールをもらうことが出来たので本当によかったです。そして、1月から学習を始めた割には上出来なのではと、自分をたくさん褒めました。最後の最後までフィンランドに浸った留学生活でした。

カフェにて試験勉強
カフェにて試験勉強

フィンランド周遊

フィンランド語の学習に取り組む一方で、フィンランド国内旅行に行ってきました。4月はオウルへいったので、5月はケミ、タンペレ、そしてヘルシンキに行ってきました。フィンランドには簡単に行くことが出来ないので、行ってみたかった場所にすべて行って、やりたいことも全部してきました。タンペレではなんと桜を見ることができ、フィンランド国内でもこんなに景色や気温が変わるのかと、身をもって経験することが出来ました。また、旅の途中でフィンランド人ともお話することが出来たのでとてもいい思い出になりました。それと同時に、フィンランド語をマスターして話せるようになるまでの道のりは長いなと実感しました。しかし、とても楽しい思い出となったので授業のいい息抜きになりました。

ヘルシンキの「桜公園」の桜
ヘルシンキの「桜公園」の桜
タンペレのオールドマーケット
タンペレのオールドマーケット

この9か月を振り返って

この9か月を一言で表すと、「自分を認めてあげるようになれた9か月」だと思います。渡航前は一つひとつ完璧に、常に成長しなければという考えが強くありました。その背景には初めての長期海外滞在で気が張っていたことがありますが、それ以上に留学の機会を無駄にしてはいけないという想いが強くありました。そのせいで秋セメスターは自分に厳しくなりすぎてとても辛かったです。これが出来なかったあれが出来なかったと、出来なかったことばかりに目がつきました。しかしフィンランドの長い冬で自分に向き合い、友人に励ましてもらうことで、常に成長しなければという考えは変わらないまま、ちょっとした成長でも自分を褒めてあげることが出来るようになりました。今でもこれが出来なかったと落ち込むときがありますが、出来たことを探したり次の行動に活かす方法を考えたりということも同時に行うことが出来るようになったので、成長したなと感じます。そして、この寛容さはフィンランドの「自分のペースを大切にする」といった文化のおかげも大きいと思います。

9か月間お世話になったアパート
9か月間お世話になったアパート
ロヴァニエミおすすめ散歩コース
ロヴァニエミおすすめ散歩コース

おわりに、そしてみなさんへ

9か月は長いようで短いような時間です。何をしたいか、成長させたいところは何かを事前に考えておくことは大切ですが、時の流れと共に変化することもあります。時にそれはたくさん考えた末のものであったり、ノリといった突発的なものであったりします。それらに優劣をつけるのではく、その時その時の自分の心に素直になって行動するのが一番留学を楽しんで実のあるものにするコツではないかと私は感じました。みなさんがもし今、私の体験記を読んで漠然とでもフィンランドに行ってみたい!と思っているなら、私はまずその気持ちを大切にしてほしいと思います。何が出来るか、したいかはこの後たくさん出てきます。絶対に。なんなら滞在中にもたくさん出てきます。なので、大きな理由が無かったとしてもどうかその気持ちを無下にしないでください。私にはここではお伝え出来なかった経験が山ほどあります。皆さんが想像している以上にラップランド大学での学びとロヴァニエミでの生活は色んな景色を見せてくれます。その中にきっと、みなさんがやってみたいことがあるはずです。そしてみなさんが既に望んでいるやりたいことも、出来るはずです。そしてフィンランドの冬は本当に厳しいけれど、人々は温かくて親身になってくれる方ばかりで、留学生仲間も素敵な人でいっぱいです。今までの号を通して、ラップランド留学に興味を持ってもらえたら嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。Moi moi!

お世話になったラップランド大学
お世話になったラップランド大学