ビショップス大学 国際文化学科4年 坂華美 <1号 2019年9~10月>


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はじめに

 カナダのケベック州に来て、早くも2か月が経ちました。授業の教案作りや、提出物の採点、クラブ活動など、様々なことに追われ、あっという間に時間が過ぎてしまいました。カナダのモントリオールについた日には、これからの生活への期待と不安、そして時差でなかなか寝られず、一日が長く感じたのを覚えています。

B&Bでの生活


Riverside B&Bの外観

Riverside B&Bの部屋

 今年度から、宿舎を学校の寮か、ホームステイのような宿泊施設B&Bを選択できるようになりました。B&Bの特徴としては、月々の費用が安く、自分で食事を用意できることです。私が泊まっているRiverside B&Bは大学から徒歩5分のところに位置し、ご夫婦で経営されている宿泊施設です。部屋は個室で、お風呂、トイレ、キッチン、ランドリールームは共用となっています。奥さんのナディンさんは綺麗好きな方なので、共同スペースはいつも綺麗に保たれています。綺麗好き故に、ごみの分別に厳しく、部屋に食べ物を持ち込まない、キッチンでは必ず換気扇を回す、お風呂を使用した後は水気を取るなど細かいルールがあります。また、旦那さんのルックさんは朝5時に起きて仕事に出かけ、ナディンさんはご病気のため体調がすぐれない日もあるので、夜遅くに活動しないなど、ナディンさんたちの生活スタイルに合わせる必要があります。しかしながら、お二人ともとても優しく、洗濯の待ち時間にランドリールームで待っていると、「そんなところじゃ暇でしょう。テレビでも見る?」と声をかけて下さり、一緒にドラマを鑑賞しました。また、私をとても気遣ってくださり、週末には様々な場所に連れて行ってくださいます。先日は、遊園地に連れて行ってくださり、地元のおいしいレストランや教会にも行きました。
 学生と毎日一緒にいたいという方であれば、他の学生も宿泊している寮をお勧めしますが、B&Bでは食事は自分で用意するので、寮のミールプランよりも安く食事ができ、また、スーパーで買い物をするのでカナダの食文化を学んだり、学生が知らない地元の美味しいレストランやイベントに参加でき、シャーブルック市の方とも交流してみたい、カナダでの生活をより体験してみたいと思う方にはオススメします。

TAの業務内容

 日本語のクラスはJSE101、JSE201、JSE301、JSE150があり、それぞれ週に2回授業があります。その中で私はJSE101、JSE201、JSE301の授業に関わっています。私が行っている業務は主に授業後半の練習時間、テストや宿題の採点、学生のサポートです。

 まず、授業では後半の約30分弱の時間を担当し、教科書の練習問題を行っています。楽しく学んでもらうために、ゲームを用意したり、プリントに面白い画像や例文を記載するなど、日々教案作りに奮闘しています。しかし、ゲームを用意してもルール説明でうまく伝えられなかったり、予期していなかった箇所で学生がつまずいてしまうなど、うまく出来たぞと自信を持って言うことのできる授業はあまりありません。日々、日本語クラス担当教員の日沢先生に助けてもらいながら、なんとか授業をこなしています。

 毎回授業の頭にテストがあります。文法、単語、漢字のクイズに分かれており、前回学習した文法、新出単語・漢字のテストです。宿題も必ず毎回の授業で配布され、文法の問題や、漢字の練習、リスニング、JSE201とJSE301では書く練習もあります。それら全部を次回の授業で返却できるよう、採点しています。今年度はJSE101が32人と多く、宿題の数が多い日や、クラブ活動があり忙しい日には大変だと思う時もありますが、採点は時間をかけて丁寧に行うことを心掛けています。学生が間違えた個所をただ修正するだけでなく、細かく解説を書いたり、分かりやすいイラストを描いて間違いを説明したりなどしています。また、面白い回答をしていたり、学生自身についての質問があると必ずコメントを書き、学生とコミュニケーションをとることを心掛けています。授業で顔を合わせますが、あまり話をする時間がないので、宿題を通して、学生と交流することを心掛けています。学生の学習意欲を高めるためる効果もあると思いますし、毎回の授業でテストと宿題があるとなると、ただでさえ忙しい学生は、宿題をこなすのが大変なこともあると思うので、少しでも楽しく宿題に取り組めるよう、時間をかけて丁寧に採点しています。


学生とリスの話をした後の宿題

学生が間違えた個所に詳しく解説を載せたもの(つたない英語です)

 学生のサポートをするのもTAとしての重要な業務です。授業のない時間帯や、週末を利用して、補講授業の開催をしたり、学生との交流を図ったりしています。例えば授業に追い付いていない学生がいれば、フェイスブックでメッセージを送り、連絡が取りやすい環境を整え、気軽に質問や補講を申し込むことが出来るようにしたり、授業のない金曜日には補講を行い、学習した内容の復習や日本について楽しく話したりする時間を作っています。週末に予定がなければ、学生に連絡をしてカナダのオススメの場所に連れて行ってもらったり、日本語でメッセージを送ったりして、積極的に交流を図り、日本語に接する時間を増やすことを心掛けています。

パーティーの開催


金曜日の補講の様子(新出漢字の山、口、目を教えている時に学生が書いた絵)

金曜日の補講の様子(手に落書きし合ったので手が大変なことになってます)

 日本文化に触れてもらうため、定期的に日本のパーティを開催することを目標としています。先日は「おにぎりパーティー」を行いました。TFT(Table For Two)のボランティア活動の一環で、おにぎりの写真をSNSにアップすれば、アフリカの子どもたちに給食を届けることが出来るという活動に参加しながら、おにぎりやその他の日本食、日本の伝統的な遊びを体験してもらうパーティーを開催しました。おにぎりの他に卵焼き、からあげ、味噌汁を用意し、簡単な日本語を使って楽しめる遊び、だるまさんが転んだ、貨物列車シュッシュッシュをしました。初めてのパーティーで準備に戸惑ってしまったり、パーティーの進行がうまくいかなかったりなど、開催するのはとても大変でしたが、多くの方にサポートしてもらい、無事に終えることができました。
 パーティーは日本文化に触れてもらうだけでなく、学生の学習意欲を高めるいい機会だと考え、学生を巻き込み、一緒に作り上げました。車を持っている学生には買い物をお願いしたり、盛り上げ上手な学生には日本のゲームの説明や司会をお願いしたり、料理が上手な学生には、料理の準備を手伝ってもらったり、日本語が上手な学生には私の通訳係をしてもらうなどして、日本語クラスの学生を招待客としてではなく、同じチームの一員としてパーティーに参加してもらいました。そうすることで、より日本文化への理解が深まったり、日本から交換留学に来ている学生とも交流することができ、ただパーティーを開催するよりも、日本への興味関心を高めることが出来たと思います。また、そうすることで自分のリーダーシップ力の向上にもつながりますし、ひとりでパーティーの準備を行うよりも、多くの人に関わってもらうことで様々なアイディアが出て、より楽しいパーティーを開催できると思います。


パーティーの集合写真

「だるまさんが転んだ」をした時の様子

休日の過ごし方

 休日は基本的に金曜日、土曜日、日曜日の3日間です。金曜日は、補講のクラスを開講したり、テストや宿題の採点を終わらせ、成績表を作成したりする時間にあてています。土曜日と日曜日は、学生に遊びに誘われたら出かけ、ナディンさんたちと教会やランチに行ったり、日沢先生とお出掛けをしたり、一人で買い物に行ったりなどして過ごしています。ありがたいことに、暇な日がないほど学生たちに様々な場所に連れて行ってもらっています。先日のハロウィンの時期には、お化け屋敷に連れて行ってもらいました。ケベック州に文化村のような、昔の家や暮らしを再現した村があり、ハロウィンの時期にはお化け屋敷をしているということで、片道1時間半かけて学生に連れて行ってもらいました。反応がいいからなのかは分からないですが、何度もお化けの標的にされ、本当に怖かったです。その他にも学生の家でカラオケ大会やゲームをしたり、レストランで地ビールの飲み比べをしたり、学校や教会で無料の食事を堪能したり、とても充実した時間を過ごしています。


お化けと撮った写真(呑気に腕を組んでますが、この後追いかけられました)

学生とレストランに行った時の様子

これから

 段々とTAの業務にも慣れてきましたが、まだまだ授業では緊張しますし、学生の質問にうまく答えられなかったり、自分の日本文化への無知さに驚愕したりなど、日々様々な問題にぶつかり、落ち込むことも多々あります。教案の作成や採点の時間に追われ、私の目標としている「学習者の学習意欲を高める活動を行う」ことは予想以上に難しく、やりたいことは沢山ありますが、準備する時間をあまり設けることが出来ていない状況です。そこで、これからは効率よく時間を使うことを意識して業務に取り組み、学習者に様々な提案をしていきたいと思っています。異国の地で日本文化に触れる環境を整えるのは大変ですが、日沢先生や学生に助けてもらいながら、学習者の日本文化への興味関心を高めるために活動していきたいと思います。