曲阜師範大学 国際文化学科3年 野村唯衣 <最終号>

はじめに

 新年を迎え、1月2日、3日の期末テストを終えて、4日に日本に帰国しました。中国人の友人や留学生との別れは寂しく、帰国した今、曲阜での生活を振り返ると、すでに懐かしさを感じます。これが最後のレポートということで、11月・12月にあった出来事、そして帰国する前や帰国後について紹介します。

三孔・孔子博物館への訪問

 11月に大学の行事として、孔府と孔廟を訪れました。2年前に語学・文化研修で訪れたことがあったため、何となくは覚えていましたが、その時はガイドの説明を全く聞いておらず、どのような場所なのかまでは理解できていませんでした。今回は中国人のガイドでしたが、以前より解説を聞き取ることができ、より深く学ぶことができました。そして留学生の友人と一緒に曲阜市の孔子博物館を訪れました。この博物館は、2019年9月6日にオープンしたばかりで新しく、孔子の歴史や孔子にまつわる書物や遺跡などが展示してあります。また日本と孔子の関係について展示しているブースもあり、初めて学ぶことばかりでした。


孔府と孔子博物館での写真

2019年中韓大学生交流パーティー

 韓国の安東大学校の学生が曲阜師範大学を訪れており、学生同士の交流会に参加しました。安東大学校は孔子学院で、曲阜師範大学とは深い関わりがあります。民族楽器の演奏やダンス、歌などの鑑賞をしましたが、両国の文化を知る良い経験になりました。



曲阜のクリスマス

 中国の大都市では、クリスマスにちなんだ催しや装飾が増えてきているようですが、キリスト教徒が多い他の国に比べてみると、まだまだ少ないです。私の中国人の友人は、クリスマスをお祝いしたことがなく、クリスマスは普通何をして過ごすのかと、聞かれた時は驚きました。また曲阜市ではほとんどクリスマスの雰囲気を感じる事ができませんでした。唯一感じたのは、クリスマスイブの日です。その日はスーパーや果物市場で多くのりんごが売られており、賑わっていました。中国ではクリスマスイブの日にりんごを渡すという習慣があり、少し変わった色のリンゴや文字が彫られているリンゴを小さいプレゼントボックスに入れて渡します。私も中国人の友人からりんごをもらいました。クリスマスの日には、留学生と一緒に大きなクリスマスケーキを食べてお祝いしました。


皆で食べた大きなクリスマスケーキ

新年の迎え方

 日本では1月1日に新年を迎え、様々な伝統行事を行いますが、中国のお正月は旧暦に祝います。「春節」といわれ、中国のビッグイベントです。中国だけでなく、韓国や台湾なども春節を祝います。今年は1月25日が春節で、1月24日から1月30日の7日間が休みです。日本のお正月飾り、門松や鏡餅などのような、「福字」「春聯」という飾りがあります。家の門や入り口に「福」という字や健康や豊年、事業の繁栄を祈る言葉を貼ります。また中国の北方では水餃子、南方では湯圓を家族が集まり、作って食べます。
 12月31日から1月1日にかけて、日本のような新年を迎えるという雰囲気がなかったため、私たち日本人にとっては少し寂しい新年の迎え方となりました。しかし31日は、日本の文化を伝える意味で、留学生たちとそばや、うどん、卵焼きなどの日本食を作って食べました。そしてみかんを食べながらカードゲームをして新年を迎えるという、新しい新年の迎え方でした。


中国人の友人に送ってもらった春節の夕食

帰国準備

 曲阜を離れるのが、期末テストが終わった日だったため、期末テストの勉強をしながら帰国の準備をしました。一年分の荷物やお土産があるため、多くの留学生たちは自国に荷物を送る国際郵便を利用していました。私はそこまで荷物が多いほうではなかったので飛行機に23kgまでの荷物2つまで預けることができる航空会社を選びました。また来期山口県立大学から交換留学で2人来るというのを聞いていたので、彼女たちが住む部屋に使えそうな食器類や調理器具、物干し竿などの生活用品などをまとめて置いています。
 その他にも帰国するうえで悩んだのが、中国の銀行口座の解約と、中国のSIMカードについてです。中国の銀行口座を作ったときに、銀行から帰国する時に解約しに来てくださいと言われていましたが、私は一日上海に滞在してから帰国する予定だったため、携帯や電子マネーが使えないのは不便だと思い解約せずに帰国しました。

帰国後

 帰国後は、留学の体験レポートの作成や、単位交換の手続きなどをしなければなりません。また私たち留学組は、就職活動に向けた準備が他の大学生に比べてほぼできていないため、企業研究や自己分析など、一から始めなければいけません。留学中にしておけばよかったと後悔はありますが、やはり海外でできることにも限界があります。新学期が始まるまで時間があるので、インターンシップや企業説明会などにできるだけ多く参加して、3月からの就職活動に間に合うようにしたいと考えています。そして、TOEICやHSKなどの試験準備も忘れずにしなければいけません。

留学を振り返って

 この1年間を振り返ってみると、20年間生きてきた中で、こんなに充実してこんなに時間が早く過ぎていった1年は初めてです。慣れない場所で、しかも外国で暮らすというのは簡単なことではありません。それでもたくさんの人との出会いがあり、周りの人たちのサポートのおかげで、新しいことに挑戦できたこと、そして新しいことを学ぶことができたのは、人生の財産だと思います。留学するまでは不安ばかりでしたが、その不安は現地に着いて一週間も経たずになくなっていました。困難や苦しいこともありましたが、自然と自分で解決する力も身につきます。「人生なんとかなる」という言葉を聞いたことがありますが、身をもって感じることができました。「なんとかなる」という言葉が、留学中の私を助けてくれ、そしてこれからの私の人生の助けとなるでしょう。


帰国後友人に送ってもらった曲阜市で雪が降っている様子