センター大学 国際文化学科4年 伊庭健悟 <1号 2023年9~10月>

留学前準備

渡米前に大変だったことを幾つか挙げていこうと思います。まず初めに、留学に行く際のパスポートやビザなどの手続きについてです。私の場合、留学時に必要な書類を集める際に膨大な時間が掛かりました。パスポートは比較的簡単に作ることが出来ましたが、ビザに関しては確認しておくべき事項などが沢山あったり、間違いのないように慎重に申請を行う必要があったりするため、必要事項が分かり次第早めに作成することをお勧めします。それに加えて私は教育課程を学んでいて、アメリカに行く前に教育実習を済ませなければならなかったこともあり、殊更に手続きが滞り、他の日本人留学生と比べてなお一層余裕がなかったように思います。教育課程を学んでいて、四年生の段階で教育実習と留学を一度に行う方は是非とも受け身姿勢にならず、できる手続きは早めに終わらせていくことを心掛けて欲しいと思います。(教育実習中は、学校によって方針や受け入れ方法が違うので、場所によっては忙しさが段違いに異なる場合があります。)手続きと同様に必要なワクチンも早めに受けることをお勧めします。アメリカでワクチンを打つことになったものが幾つかあるのですが、私の場合は最低でも合わせて$200以上掛かりました。日本で受けると数千円分は負担が軽くなる筈ですので、こちらも早めに済ませておく事を推奨します。

渡米してから講義が始まる前

留学と聞くと、新たな出逢いを思い浮かべたり、海外の人と楽しくコミュニケーションをしたりするなんてことを考える人が多いと思います。確かに実際に待っているのは、見慣れない地での新しい生活であったり、英語を使って海外の人と楽しくおしゃべりをしたりといった楽しい一時が待っているわけですが、私はそのような感覚とは逆で、ある種の恐怖を感じていました。英語を話せるどころか聞き取れることすら怪しいまま海外に行って、果たしてきちんと生活できるのだろうかと留学前は毎日考えていました。留学の手続きや卒業論文の中間発表の準備で忙しかったこともあり、英語学習に割く時間が大きく削られた上に、英語学習に対するモチベーションが下がった結果、留学の準備をしっかりとすることが出来ないままアメリカに渡航する日を迎えました。結果として、英語話者との会話に入れないだけでなく、

センター大学で見かけた花
センター大学で見かけた花

英語母語話者でない外国人留学生達との会話でさえ聞き取ることも、会話に入ることもできずに、悔しさを募らせる日々が続くことになりましたし、渡米してから二週間は思ったように眠れず、常にどのようにしたらこの状況を改善できるかを考え続けることになりました。講義が始まる前にも関わらず、この時点から大きくつまずくことになりましたが、この失敗も今となってはとても大事な経験になりました。

講義について

私が履修している講義について簡単に説明していこうと思います。因みに、1学期に最低でも計12単位を取ることが求められていますので、県立大学と同じようにシラバスに書かれている単位数をよく見比べながら講義を取っていきます。

時間割は以下の通りになっています。

  Monday Tuesday Wednesday Thursday Friday
8:30~9:30   CHN-110      
9:10~10:10 CHN-110   CHN-110   CHN-110
9:40~11:10   THR-117   THR-117  
11:30~12:30 SOC-110   SOC-110   SOC-110
12:40~14:10   IST-110   IST-110  

CHN-110 Fundamental Chinese-I

初心者向けの中国語講義となっています。私たちが常に使う漢字について全く知らない人たちも受ける講義なので、部首の意味や成り立ちなどを最初に学び、それらを基に中国語を勉強していきます。一週間に四回講義があり、基本的に習った語法を使ってパートナーと会話をするといった形になっています。中国語に触れる機会が多いため、講義を受ければ自然と中国語が身に付くようになります。

THR-117 Acting-I

演技とは何かを事前課題で学びつつ、実践を通して習得していくといった講義になります。他の生徒たちと会話をすることが多いため、リスニング能力とスピーキング能力が上達します。他の学生たちの目の前で演技を披露することになるため、勇気と準備が必要になりますが、それを乗り越えた先にはかなりの達成感を得ることができます。

SOC-110 Introduction of Sociology

アメリカの社会構造などについて学ぶことができます。社会学的想像力を養い、その上でアメリカの社会問題(教育、文化、社会階層、人種、ジェンダーなど)を学んでいき、小さいグループでディスカッションをするという形式になっています。教育課程を取っている人たちにとって、この講義はアメリカ教育について深く知る良い機会になりますし、アメリカ全体が抱える社会問題についても学ぶことができます。課題が多い分、様々な単語や知識を得ることが出来る講義だと思います。

IST-110 Introduction to International Studies

人種、植民地、移民問題、先住民との問題などについて取り上げています。こちらもSOC-110と同じく小さいグループを作り、ディスカッションを通して理解を深めるというものになっています。SOC-110で習った単語や考え方を応用する機会にもなりますし、教授も交換留学生に対して寛大な方なので、とても取りやすい講義のように思います。こちらも課題が中々に多いですが、SOC-110とはまた異なった視点からの知見を得ることができます。

留学生活

講義が始まってからは一日の反省する暇もない程に忙しい日々を送っていました。課題の量が県立大学とは比較にならないというのは有名な話ですが、おおよそ一つの講義一回につき、平均で30ページほど資料を読みます。取る講義によってそのページ数は大幅に変わりますが、少なくともSOCとISTの二つは膨大な量の資料を読むことになります。しかし、それらの課題をこなすことで、様々な英単語を習得することができたり、それぞれの講義で習った考え方を結びつけてグループ中で発表することができるようになってきました。

金曜日の夜や休日では、イベントやパーティーなどの催しものが行われるため、暇があるときにはそういった場所に出向き、友達とおしゃべりするというような日々を過ごしています。日本ではあまり見ることのない食べ物を食べることができたり、知らない文化を知ったりすることが出来るいい機会になりますので、出来る限り欠かさず参加するようにしています。日本サークルも今年度設立したことにより、今後より一層日本文化についてアピールしていく良い機会になると思いますので、そちらの活動にも専念していこうと思います。

センターの時計塔にて
センターの時計塔にて
Cincinnatiの水族館にいたチンアナゴ
Cincinnatiの水族館にいたチンアナゴ
Cincinnatiにある球場で野球を見た際の写真
Cincinnatiにある球場で野球を見た際の写真