センター大学 国際文化学科3年 法水美咲 <最終号 2023年5~6月>

はじめに

5月末に日本に帰国してから、1か月が経過しました。数字にしてみるとたった1か月ですが、気持ちとしてはダンビルにいた日々が、遠い昔のように思えます。アメリカにいた頃とは全く違う日常のせいかもしれません。前回の報告書で期末試験のことについて書いたので、今回の報告書では、試験の後から旅立ちの日までのこと、帰国のこと、そして振り返りについてお話しようと思います。

友人と過ごしている様子
↑期末試験が終わり、帰国までゆったりと過ごしていました。

旅立ちまで

5月16日に全ての期末が終わり、5月19日の朝方に出発しました。試験週間はいつもよりも忙しく、一息つく暇もなく帰国の準備が始まりました。パッキングはとても大変でしたが、10か月過ごした部屋が空になった光景は少し寂しかったです。私は大きいサイズのスーツケースが2個ありましたが、パンパンで収まりきらなかったため断捨離をしました。持っていけない衣類や道具などは、各寮にあるDonation boxという箱に入れ、寄付することができたため、とても助かりました。

春学期に履修していたDrawingのクラスの教授(Dr. Brown)が、私と諫早さんを食事に招待してくださいました。ブラウン先生の奥さんは日本人のため、お二人の家で日本の食事を振る舞っていただきました。ブラウン先生は学期中の授業でも、私達をとても気にかけてくださり、BGMとして流している音楽をジブリの曲にしてくれる時もありました。食事をした日は、奥さんも交えて日本のこと、アメリカのこと、そして留学生活のことなど、本当に沢山の話で盛り上がりました。あっという間に帰る時間になり、帰り際にセンター大学のマグカップと、手作りのクッキーをいただきました。帰国した今でもマグカップは愛用しています。

友人と過ごしている様子
↑日本のカレーです。懐かしい味でした。

帰国までの数日間は、沢山の友人と会い、毎日みんなで集まりました。私が仲良くしていた友人の中には、4年生(Senior)で、今年で卒業してしまう人も沢山いたため、私たちのように最後のお別れをしている人もいました。逆に、1~3年生の友人は、私が帰国した後もセンターで残りの学生生活は続きます。「私が帰った後も、みんなの生活は普段通り続くのかと思うと、凄く不思議で、少し切ない気持ちになりました。

期末試験が終わると、母国や国内の実家にすぐ帰ってしまう人も多く、私の出発日より前にお別れをした人もいました。私がとても仲の良かったベトナム人のニンさんは、私より1日前に帰国してしまいました。ニンさんの空港までのシャトルバスは、朝方の4時でしたが、私は起きてお見送りに行きました。お別れの時はしんみりした雰囲気にも少しなりましたが、私達らしく泣かずに笑って手を振って終わりました。ニンさんが最初の留学生オリエンテーションで声をかけてきてくれてから、毎日というくらい一緒にいて、会わない日があると「今どこにいるの?」とメッセージを送り合うほどでした。他の友人に、「毎日一緒にいすぎじゃない?!」と言われた時もありました。ニンさんはとても面白く、いつも冗談ばかり言っていますが、とても努力家な人でした。彼は1年生でしたが、卒業後のことを考えてボランティアに参加し、委員会のメンバーに立候補をしていました。課題をしていてエネルギーが切れてしまうことも何度もありましたが、横で頑張っているニンさんを見て、勉強を続けることが出来ていました。ニンさんのような友人と気軽に会えなくなってしまうのは寂しいですが、次に会える日を楽しみにして頑張ろうと思います。

出発日の前夜は、友人が住んでいるBrockという大きな寮にみんなで集まりました。それまでも、週末はBrockによく集まって映画を見たりしていたため、この日が最後という実感は湧きませんでした。しかし何人もの友人がお手紙をくれ、いつもなら撮るのを忘れてしまう記念写真や動画も沢山撮りました。泣いている人もいて、「これで最後なんだなぁ」と実感が湧きました。最終日を大好きな人たちと過ごして、ニンさんと同様に朝方の4時ごろにセンター大学を出発しました。

Brockで友人と過ごしている様子
↑いつものようにBrockに集まりました。
Baskin Robbinsのアイスクリーム
↑試験が終わり、大学近くのBaskin Robbinsで友人とアイスを買い、日本のアニメを見ました。

帰国

入国の際は、新型コロナウイルスの影響により追加の書類がありましたが、帰国時はワクチン接種証明書を求められることもなく、比較的容易に帰国出来ました。乗り換えは旅行などで何回も利用したシカゴのオヘア空港であったため、特に迷う事もありませんでした。確認したいことがある際も、臆することなく英語で質問が出来ていて、入国の時とは変わった自分に驚きました。また帰りはJALを利用したのですが、機内食がとても美味しく、感動したのを覚えています。

JALの機内食
↑お蕎麦と、お味噌汁に感動しました。
機内のモニター
↑いよいよ帰国です。

帰国して

日本に帰国する前は、日本に戻って前のように生活している自分が想像できませんでした。しかし実際に帰国してみると、留学前と同じ暮らしにはすぐ慣れて、逆に「本当にアメリカにいたのだろうか」と思うほどでした。そのくらい日本の暮らしが身に染みついていて、アメリカでの暮らしの何もかもが特別で、非日常であったのだと感じました。キャンパスでリスはもう見かけないですし、大学で深夜まで友人と勉強をすることもありません。しかし、キャンパスの隅々まで繊細に思い出すことができ、スマホを見ればアメリカにいた頃の友人からメッセージが届いています。私は確かにダンビルで、センター大学で10か月過ごしたのです。長いようで短かった10か月でしたが、10か月の間に私は沢山の人と出会い、精一杯頑張ったのだと、胸を張って言うことができます。

友人たち

センター大学で出来た友人は、いい意味で高校の友達のような感覚です。それは寮生活で朝から晩まで毎日一緒にいたからだと思います。県立大学で暮らしていたころは、授業は一緒に受けるものの、アルバイトや学外の活動など個々の時間も多く、お互いが適度な距離を保っている印象でした。センター大学では、朝起きて授業に行き、お昼や休憩時間を一緒に過ごし、放課後は図書館で一緒に勉強し、週末もほぼ一緒に過ごします。食堂があるため、何も予定が無い日でも、食事の時間は必ずといっていいほど顔を合わせます。つまり1日のほとんどを、友人と一緒に過ごします。ずっと一緒にいるとお互いの嫌な部分も見え、最初の数か月は仲が良かったけど少し疎遠になってしまった人も沢山います。仲の良い友達でも、喧嘩をしてしまったこともあります。しかし、寮生活を初めて経験した私にとって、ずっと友人と一緒にいることは新鮮でした。一緒にいると、昔から知っていた幼馴染のように、何でも知った感覚になりました。留学先でたった10か月の間に、母国語の違うかけがえのない友人が沢山できるとは思っていませんでした。私は自分を取り繕ってしまったり、本当の気持ちを言う事が恥ずかしく、隠してしまったりする傾向がありましたが、自分自身の嫌な部分も見せることのできる友人が出来ました。本当に感謝しています。

アイスクリームで目を冷やす法水さんと友人のソヨンさん
↑出発する夜に号泣して、アイスで目を冷やしているソヨンさんと私です。
仲良しの友人たち
↑仲良しの友人たちです。

アメリカで大事なこと

アメリカに留学をしていて感じた、大切なことについてお話ししようと思います。よく言われていることですが、やはり「声を大きく、はきはきと、笑顔で挨拶と感謝を忘れない」ということがとても大切です。ポイントなのは、ハキハキと話すことです。日本にいても、些細なお礼、挨拶は欠かせないと思います。しかし日本では、あまり大きい声で陽気に話す事はないと思います(言語の違いも関係していると思います)。

お店や、教授や友人への挨拶、全てにおいて明るく元気に挨拶をすることをお勧めします。私が実際に体験したことですが、不愛想で少し怖い店員さんが、大きな声で挨拶をしたことによって、180度態度が変わったことがあります。そのくらい、「陽気さ」や「声の大きさ」は、アメリカにおいて大事なこととされているのだと思います。もちろん、「自分の性格には向いていない」など思うところもあるかもしれませんが、これもアメリカの人に根付いている考えで、れっきとした文化の違いなのだと思います。何より明るく挨拶をしていた方が、アメリカでの生活はより楽しいと思います。アメリカにいる間は、少しいつもより積極的に、明るく挨拶をしてみることをお勧めします。

終わりに

センター大学の留学報告書も、これで最後になります。数回に渡って報告書を書いてきましたが、書いてあることだけが全てではありません。文章にしてみると順調に進んでいるように見えますが、準備の段階でハプニングが続出したり、着いてからすぐは周りの英語についていけなかったり、倫理哲学のテストでものすごく低い点数をとってしまったり、上手くいかないことだらけでした。課題が終わらないまま授業に行ったことも何回もあります。グループワークで他のメンバーについていけず、1人話に入れないことも沢山ありました。センター大学への留学には、覚悟が必要です。これから留学に行く皆さんも、私のように、「話には聞いていたが、予想以上に大変だ」と思うかもしれません。しかし諦めず、努力を怠らなければ、周りの人たちはとても親身になってくれますし、センター大学での勉強のサポートはとても整っています。そして何より、一生ものの友人を作ることができると思います。最初の数か月間は少し大変かもしれませんが、出会いに積極的になってみてください。センター大学での生活が、みなさんにとって楽しいものになることを心から祈っております。

私の留学は、沢山の方たちによって支えられていました。留学の書類の手続きをしてくれた方々、大学のグローバルセンターや教務部門の先生方、センター大学の留学生の先生方、研究室の先生、周りの友人、そして何より両親など、書ききれないほど沢山の方に助けていただきました。この場を借りて感謝いたします。この経験をこれからの将来に必ず活かし、また頑張っていこうと思います。本当にありがとうございました。

秋のキャンパス
↑私の大好きな、秋のキャンパスです。また訪れたいです。