メッセージ

各方面から本授業にお寄せいただきましたメッセージをご紹介します。

点を線にする学び

山口県立大学 田中マキ子 学長

みなさんは、「学習」と「学修」の違いについて、意識したことがありますか。「学習」とは習い学ぶことですが、「学修」になると、「知識・理解」「汎用的技能」「態度・志向性」「統合的な学習経験と創造的思考力」を鍛え、自身が身につけ、実施する/行動することまでが求められます。言い換えれば、学習は点であり、学修はいくつもの点を紡ぐ線とも言えます。

一つひとつの学び=点が、つながり、線となり、線と線で面をつくり、面が合わされば立体になるように、複雑な課題も、過去から現在そして未来という経過の中で、点の学びから線の学びへ、そして立体へ統合・発展させていくことが重要です。

学部学科を超え、様々な人とコミュニケートし、学びを深める機会は、なかなか与えられません。こうした時間を大切にし、自分探し、自分磨き、将来の自分を示唆してくれる、点を線にする学び「やまぐち未来デザインプロジェクト」から大きく成長してください。

"Think Globally, Act Locally"

京都大学人と社会の未来研究院 広井良典 教授

「ローカリゼーション」という言葉を皆さんは聞いたことがあるでしょうか。これは「グローバリゼーション」の反対で、これからの時代は「ローカル」な地域から出発して様々な課題に取り組んでいくことが重要であり、またそれがグローバルな問題の解決にもつながるという考え方です。加えて日本の総人口は2008年にピークに達しましたが、"すべてが東京に向かって流れた"と言える人口増加の時代とは異なり、今後の人口減少・成熟社会では、日本の各々の地域の個性や多様性に人々の関心が向かい、私たちはいわば「地域への着陸」の時代を生きていくことになるでしょう。

こうした状況でスタートした「やまぐち未来プロジェクト」はきわめてタイムリーな企画と言えます。さらに本プロジェクトの特徴は、「国際文化」「社会福祉」「看護栄養」の各学部の学生が参加する分野横断的な内容になっている点です。なぜこの点が重要かというと、これによって「地域×アート(文化)×ケア」という、これからの地域課題の解決において大切となる新たな融合が生まれるからです。私は2022年度から授業を1コマ担当させていただいていますが、授業の中での学生の皆さんの質問や、授業後に出される意見やコメントはとても印象深く、大いに手応えを感じてきました。

"Think Globally, Act Locally"(地球規模で考え、地域で行動する)という、以前から言われてきた表現がありますが、こうした考え方がいよいよ地に足の着いた、現実のものになる時代を私たちは迎えています。本プロジェクトから皆さんが未来に向けての様々な糧を得ていくことを期待しています。

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